「いつの間に、こんなに美味く作れるようになったんだろう」洋菓子店コアンドル shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
いつの間に、こんなに美味く作れるようになったんだろう
クリックして本文を読む
映画「洋菓子店コアンドル」(深川栄洋監督)から。
予想どおりの展開で、安心して観られると言えばそうだけど、
ちょっと物足りなさを感じて観終わった。
ケーキでも何でも「職人」と呼ばれる職業は、下積み生活から、
基礎を学び、そこから新しいものを生み出し、
少しずつ少しずつ成長していくようだ。
「洋菓子店コアンドル」のシェフ役・戸田恵子さんは、
働きたいと上京したが、2日で辞めさせた若者について
「いまさら、下積みはいやなんだって。
頑張れない子に、この仕事は向かないわ」と厳しい評価をし、
ケーキ職人を目指している主人公・なつめ役の蒼井優さんには
「職人は、手を抜くことを覚えたら、長続きしないからね」と、
一見、冷たいようだが、仕事の基本を教え込む姿勢が眩しかった。
また、なつめの試作品のケーキをを試食した常連客の感想は
「売り物としては、どうかしらね?
お店の評判を落とさないように、もっと努力しなさい」だったし
ケーキ評論家の意見は「もう辞めろ、本気で修行してるヤツのじゃまだ」。
それまでの経験と技術を否定されたが、それでも続けた彼女を救ったのは、
「おいしいね。それにしてもあの子、いつの間に、
こんなに美味く作れるようになったんだろう。おいしいね」と呟く、
かつて、試食して厳しい評価を下した常連客の一言だった。
どんな職人にとっても、自分の成長を認めてもらえた一言は、
地道な努力が実ったと感じる瞬間でもあり、これ以上のプレゼントはない。
人間を成長させる素敵な言葉。
今でも掛けて欲しいし、掛けてあげたいな。
コメントする