「ザ・蒼井優ショー」洋菓子店コアンドル オイラさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・蒼井優ショー
パティシエを目指し上京した恋人を探してやってきた、ケーキ屋の娘・なつめ(蒼井優)。
表舞台から突然姿を消した、伝説といわれたパティシエ・十村(江口洋介)。
二人が出会った洋菓子店『コアンドル』を中心に繰り広げられる人間模様を描いた、あったかい映画でございました。
『蒼井優ちゃんワンマンショー!』
って印象がなくもないけど、それが全然イヤでもなかったよ。
ひたむきで何にでも真っ向ぶつかっていく、天真爛漫な魅力もさることながら、
逆に、『世間知らず』じゃちょっと済まされない、変な自信と傲慢さと無神経さも持ち合わせちゃってるなつめ…結構な困ったちゃんだけど、
蒼井優ちゃんのあの透明感との融合が、絶妙で面白かった(救われたとも言う…)。
ぴったりハマり役だと思いましたたのことよ。
また、そのなつめにいろんな意味で心を波立たされるマリコ(江口のりこ)の存在がスパイシーで最高だったな。
ぶっきらぼうな態度でさりげなく描かれている中に、
マリコの<葛藤>だったり<仕事や店に対する誰よりも真摯な想い>が詰まってるんだ。
なつめの行動にイラつきながらも、いろいろ気付かされていくんだね…うんうん、いちばん共感したよ。
もう一人の主人公・十村は、
深い悲しみを押し殺しながら、でも自棄にるワケでもなく淡々と暮らしている姿が、かえって切なかった。
『江口洋介?けっこう暑苦しいんじゃないの?』
というオイラの想像は、良い意味で裏切られたわ。
戸田恵子演じるシェフも、常連客の加賀まりこも、
厳しさの奥のでっかい優しさを感じたよ。
強い人なんだな…と思った。
そんな、個性を持った人達が毎日を送る中、何かとんでもない事件が起こるワケでもない。
ただ、全ての出来事が何かのキッカケとなりえるんだ。
日常って、こうして人と人とが繋がって影響しあって、紡いでいくモノなんだよな〜…って、穏やかに改めて教えてくれる。
そんな映画でございました。