「永遠に続く孤独な旅の道連れ」ぼくのエリ 200歳の少女 ミアさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠に続く孤独な旅の道連れ
「血と薔薇」のようにぞくっとする程美しく、「シベールの日曜日」のように
せつない映画を期待して、夫と娘と親子3人で見た。
映像は美しかったが耽美的というほどではなく、生き血をすする姿などリアル過ぎるほどで
狩猟民族の悲哀さえ感じられるし、
最後の場面、幸せそうなオスカーとエリは長い2人旅に出るのだから、
孤独な魂が呼び合うせつなさも無い。
少し物足りない思いで劇場を後にした帰り道、夫が「あの男の子は自分で硫酸をかぶった男
の代わりになるんだな」とぼそっとつぶやいた。
そうだったんだ。言われてみればその通りだ。それなら面白く、恐ろしい。
男が木に吊るした獲物から生き血を抜く場面で、こんなやり方で集め続けられるのだろうかと
余計な心配をしてしまったが、
エリの世話をしていた彼は疲れきっていて、終わりの時を待っていたのかもしれない。
「考えすぎかもしれないが」と夫が続けて言う。
「エリはオスカーに催眠術をかけたんじゃないだろうか。
死んだ男にもかかっていたが、エリに病室で血を飲ませた時に男の催眠術は解かれ、
彼は本来の自分を取り戻して死んでいったんだろう」
永遠に12歳のままで旅を続けるエリは、絶え間なく続くいじめに苦しむオスカーを
次の道連れに選んだ。
エリは彼に恋をしたのだろうか、オスカーは便利な世話人として洗脳されていくのだろうか。
映画ではオスカーの心情しか描かれていないので、エリの本心は読み取れない。
しばらくは、2人の蜜月が続くのだろう。
その後、どんな苦しみが彼に訪れようと、至福の時を過ごした記憶が彼に残るのだろう。
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余談ですが、ウチの娘は映画を見た夜、エリにかみつかれるのではないかと恐くて
眠れなかったらしい。
「日本には雪女や座敷わらしは居ても、吸血鬼はいないから大丈夫」と言うと、
「魔物だから海ぐらい飛んで来れるかもしれないよ!
日本で映画撮るなら、12歳頃のAKBのあっちゃんと神木隆之介君がいいな!」
と、結構気にいったようだ。
エリの映像のモザイクは、パンフレットに答があると聞き、楽しみにしていたが
売り切れでがっかり・・。
もしかして両性具有かと思っていたが、エリは人間として生きていた時は男の子だったらしい。
身震いするホラーに出来る内容だが、ホラーは全くダメな私でも大丈夫だった。
ハリウッドリメイク版の方は、ホラー映画になっているのかも。