「イノセントとバイオレント」ぼくのエリ 200歳の少女 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
イノセントとバイオレント
この映画で描かれてることって、道徳や正義や人の道や、そんなところとは全く無縁ですよね。
正直言って、残酷です。誰かを犠牲にしてでも生き永らえる吸血鬼の物語。
ヒロインのエリは吸血鬼で、人を襲うし、人を殺す。
彼女に魅入られた中年男性を従えて、街から街へと渡り歩く。
そんな200歳の少女に、少年オスカーは出会う。
お互いの孤独と寂しさにシンパシーを抱き合う。
切ないまでのボーイミーツガール。
やがて、2人の間に絆が生まれる。
オスカーはエリのおぞましい姿を目の当たりにしても、彼女を愛すと決めた……
そして、あのラストですか。
何とも云えない余韻が残りました。
舞台には延々と雪が降り積もります。その純白の世界に、凄惨極める血しぶきが飛び散る。
白と赤。無垢と残虐のコントラスト。イノセントとバイオレント。
この世界を、一体どう受け止めたらいいんでしょうね。
自分なら、エリの生きるルールを受け容れられないでしょうし。
もう一度、12歳に戻れば、オスカーの様な考えに及ぶんでしょうか。
無理だなあ。あのモザイク(賛否あるそうですが)に込められた意味全てひっくるめて…
答えなんか、きっとないんですね。
コメントする