「綾瀬はるか(の乳)と、そんなアホなだけの映画」プリンセス トヨトミ 利根川短治さんの映画レビュー(感想・評価)
綾瀬はるか(の乳)と、そんなアホなだけの映画
キャッチコピーの「大阪全停止」なのだが、その原因が「大阪国民」が府庁前に全員集合したからって、府庁前どんだけ広大やねん?
というか、大阪の人口どんだけ少ないねん?他県民も大勢いるだろうに、その人達はどこへ?とか、いちいちツッコむ気も萎えるほど、全般的にそんなアホなが満載の映画である。
話のベースが荒唐無稽なのであったとしても、結果面白ければ良いのだが、この映画はつまらない。
そんなアホなが、そんなアホなのまま終わっている。
「ダヴィンチ・コード」もそうだったが、謎解きが主題の長い話を2時間にまとめるのはそもそも無理があるのかも知れない。
しかし「ダヴィンチ・コード」も謎解きが早すぎてダイジェストみたいになってはいたが、少なくとも原作の肝は過不足なく盛り込んであった。
こちらは、原作は読んでいないが、直木賞候補にもなったほどなのだから、こんなスカスカな話のはずはない。
映画があまりにつまらないので逆に原作を読みたくなった。
いかにもフジテレビという感じながら豪華なキャスティングも宝の持ち腐れと言う他ない。
綾瀬はるかは決して乳だけの女優ではないが、この映画の見所はスローモーションで見せる綾瀬はるかの乳揺れだけである。
あのシーンで、半分寝ていた観客の目も覚めただろうが、綾瀬はるか目当てで映画館に行った人もあれだけでは納得しないであろう。
彼女のナイスバディーを見るだけなら、グラビアアイドル時代のDVDを見た方が良い。見たことないが。
それに王女役の子はなかなか存在感があるのに、それが活かされているとも言いがたい。
いくら綾瀬はるかを見に来る客が殆どとはいえ。
しかし和久井映見が、あんなにお好み焼き屋の女将が似合うおばさんになっていたとは。はじめ和久井映見とは気づかなかった。
大阪の描き方も、ヒョウ柄の服着た騒々しいおばはんとか、タイガースの法被着た兄ちゃんとか、食べ物はお好み焼きとたこ焼きと串揚げだけとか、映る風景も殆ど大阪城と通天閣と道頓堀だけという、相変わらずのステレオタイプ。
「一般大衆」の持つ大阪のイメージはこんなものだからこんなものでいいという安直さは、テレビ屋さんが作っているのだから仕方ないのか。
肝心のクライマックスシーンも見ている方が恥ずかしく、綾瀬はるかが出ていなければ途中退場していたところだ。
本編より予告編のほうが良くできているというのは、かつての角川映画みたいである。
結局脚本と演出の力不足ということだが、追求しているのはプロモーションの力による観客動員数で、はなっからクオリティーを追求している訳ではないのかも知れない。
その戦略に乗って、テレビで改編期のつなぎでやる2時間ドラマで充分な内容のものに1800円払ってしまい、映画館からの帰りに思わず串カツ屋に入ってしまった自分に敗北感を募らせたのであった。