「ホラを吹くなら本気で吹いてくれ」プリンセス トヨトミ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラを吹くなら本気で吹いてくれ
原作未読者の意見。
ネタばれというかですね、いつも以上にブツクサ書いてますのでね、
この映画が気に入ってる方は読み飛ばしてもらえればと思います。
先に断りも入れたので、申し訳ないですがハッキリ言わせてもらいますよ。
もう何と言うかね、細かい事言う前に、この映画ね、
つ ま ん ね え !!
映画が終わってから思わず「なんじゃこりゃ」と呟いてしまいましたよ。
まず、タイトルになってる割に王女の扱いがザツ。
王女であることは内緒でもさ、金属バット持って
コワイ人達の事務所に向かうのは誰か止めんと。
けど見張り役はあの兄ちゃんだけだし(そもそもの発端もあの兄ちゃん)、
心配して止めに入ったのも大阪の人間じゃないし。
最後の誘拐騒動も、事情を知ってる観客からしたら
こんなバカバカしい騒ぎも無い訳で。
だいたい“全大阪が停止”しちゃダメでしょ、働け大阪国警察よ!
王女が拐われたのなら、集会に参加する前に捜索を始めるのが先じゃない?
ロクに捜しもせず勝手に勘違いして、
「大阪国への宣戦布告だ!」なんて大騒ぎして、
何やってんのさアンタら?
あとこの日は他県からの観光客とかいなかったん?
最後の銃撃も、場面転換の為の御都合展開にしか見えないし、
むしろあれのせいで大阪国民全員が危険な連中に見える。
銃を撃った奴になんで匿名性を持たせたの。
よぉこんなんで何百年も隠し通せたね。
本作は歴史ファンタジーという形を通して
郷土愛やら父子の絆やらを描こうとしたのだろう。
けどね、大阪名物をただ映したぐらいじゃ大阪への思慕なんて伝わらない。
最後の父子の絆を描いたシーンも取って付けたような感じだ。
地下道を息子に教える条件とか主人公・松平と父親のエピソードとか、
急に思い出したみたいに説明されても。
なんかもう一切合財が腑に落ちんなあ。
そりゃ結局の所、大抵のエンタメ映画ってのはホラ話ですよ。
けどそこにリアリティ持たせたり、更に荒唐無稽な話にしたりして
観客を楽しませようとする訳じゃないですか。
この映画はそのどちらも中途半端に見えます。
そもそもどこで観客を楽しませようとしてたのか、この映画。
作り手のひとり相撲を延々と見せられたような気分になった。
ホラを吹くなら、周りの人間に聴こえるように吹いてくれい。
唯一、役者陣の顔や食べ物だけは魅力的に撮れてると感じたのでスコア0.5プラス。
<2011/6/5鑑賞>