劇場公開日 2011年5月28日

「ちぐはぐ、時々ぶるんぶるん」プリンセス トヨトミ ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ちぐはぐ、時々ぶるんぶるん

2011年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

「HERO」などの作品で知られる鈴木雅之監督が、堤真一、綾瀬はるかなどの豪華俳優陣を迎えて描く、群像劇。

この作品、「大阪、全停止」やら「驚天動地」やらの大仰なコピーが宣伝に溢れ、SFまたはアクション超大作か!と予測させてしまうが、いざフタを開けてみると、親子の絆であったり大阪という都市に生きる人間の地元愛を描く小さな規模の人情喜劇であることが分かる。

そこに、本作の最大の難点が浮かび上がってくる。原作そのものが、会話を積み重ねて真実を暴くという会話劇の性質を強く持っている作品である。そのため、本来ならば全国公開の大スクリーンで拡大公開するよりも、単館上映でじわじわと、観客の口コミで魅力を伝えていくのが最も適しているはずだ。

それなのに、豪快俳優陣の大挙出演を売りにしたテレビ局映画ということで、何とか大作としての体裁を整えようという力みが滲み出ているために何やら無意味なスローモーションであったり、地元エキストラを掻き集めて凄い迫力の映像にしてみたり・・・。

軽快な会話の応酬が軸となる物語とは明らかにちぐはぐな工夫ばかりが組み込まれている。結果、大作映画に感じる爽快感も、小さな群像劇に感じる幸福感もどっちつかずになってしまう。これは、作り手の優柔不断が招いた悲劇だろう。

そうはいっても、堤の味わい深い仏頂面、岡田のスマートなイケメンぶり、そして綾瀬のぶるんぶるんと揺れる豊かな胸(ここのスローモーションは、賞賛いたします)と、キャスト陣の個性を丁寧に活かす設定は成功している。それだけに・・作り手の中途半端な姿勢には大いに残念である。

ダックス奮闘{ふんとう}