劇場公開日 2011年5月7日

岳 ガク : インタビュー

2011年5月1日更新
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小栗旬、自らも驚いた「岳」で見せた笑顔

小栗旬がスクリーン上で、これほどの笑顔を見せたのは久しぶりのような気がする。本人も「自分でもちょっとした発見でした」と振り返るのは、「岳 ガク」で演じた主人公・島崎三歩。山岳救助ボランティアとして山を知り尽くし、その素晴らしさ、厳しさを伝えていく役どころだ。愛読していた人気コミックが原作だけに、敬意を表しつつも映画ならではのキャラクターを構築。大きな助けとなったのが、ロケ地となった奥穂高をはじめとする雄大な自然に囲まれた山々だった。(取材・文:鈴木元、写真:堀弥生)

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「また、山においでよ」。映画の冒頭、三歩が救助したばかりの遭難者にかける言葉だ。彼のキャラクターを明快に表す絶妙の導入で、このときに浮かべる満面の笑みが実にすがすがしい。

ここ数年、小栗は映画では「クローズZERO」シリーズや「TAJOMARU」、ドラマでは「東京DOGS」「獣医ドリトル」と、どちらかといえばクールで、感情をあまり表に出さない役柄が続いていた。だからこそ、強く印象づけられたのかもしれない。

「僕自身もそうです。(役として)思いっきり笑うことがあまりなかったですし、俳優としてはマイナスだと思うんですけれど、自分の笑顔にあまり自信がなかったので、あえて芝居で大きく笑うことをしてこなかった。今回は何も考えず、山に行ってから考えようと思って、やっているうちに出てきたことなんです。だから、でき上がりを見たときに、僕ってこんなふうに笑う人なんだなって、ちょっと自分でも発見がありました。それは良かったですね」

もともと漫画はよく読む方だが、累計380万部を超えるベストセラーの原作との出合いは、親しい雑誌編集者からの“差し入れ”。それ以来、愛読しているが、三歩役での出演依頼には実感がともなわなかったという。

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「『岳』を読んでいて、僕にオファーするって想像できなかったですね。でも、今までは不良でケンカとかそういうことはしてきましたけれど、命を救うということはあまりやったことがなかったのでやってみたいと。これを機会にいろいろな山に登れるということにもすごく興味があったので。でも、監督が片山(修)さんじゃなかったら、僕じゃなかっただろうとは思います(笑)」

これまでも漫画が原作の映画やドラマには数多く出演しているが、常に付きまとうのが明確にある絵のイメージ。毎回のように悩まされる部分ではあるが、「岳」に関してはドラマ「花より男子」で仕事をして気心の知れた片山監督の「三歩をマネする必要はない」という言葉にも背中を押された。

「小説にもキャラクターはあるけれど、ビジュアル的なイメージがあまりないのでつくりやすい。ましてオリジナルだったら、すべてを自分でつくり上げればいい。それがコミックになると、ファンが確実に持つイメージにどれだけ近づけるのかが大事で、俳優としては難しい。ただ、最近、一緒に仕事をする監督は、原作に引っ張られすぎず映画として成立させようという思いを持った方が多いので、『岳』も僕にオファーがきた時点で、ビジュアル的なイメージをそこまで三歩にしようとは思っていないだろうなというのはありました。でも、やるとなったら原作ファンも納得させるものにしたいので、できる限りの範囲で。肉体的には今と比べれば体重が10キロくらい多かったし、丸顔にしたかったので食べるだけ食べるという感じでやりました」

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インタビュー2 ~小栗旬、自らも驚いた「岳」で見せた笑顔(2/2)
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