「汚いお金。されどお金。」クロッシング ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
汚いお金。されどお金。
A・フークア作品らしくサスペンスの練り方は悪くないが、
132分という上映時間は長すぎやしないか?と思った。
中盤~後半にかけての、いよいよか?と期待する3人の
絡みはほんの一瞬、そこが巧いかどうかは置いといて…
とにかく前半は、文句なく長い^^;
冒頭の、エ!なにそれ?的なシーンは凄い。
このE・ホークの突然の銃撃が何を意味したのかを知ると
とりあえず切なくはなるが、だからってその切羽詰まった
家庭内の状況を、捜査にまで持ち込むのはどうなんだ!
同僚のアドバイスをよそに、家を買うことにのめり込む
半ば狂った麻薬捜査官を、迫真の演技で彼は見せる。
潜入捜査官のD・チードルは、もはや身も心もボロボロ。
妻には離婚を切り出され、逮捕目的であるボスに親近感
すら抱いてしまう。どうすりゃいいのさ、という不安の中、
最もやりたくない仕事を新女捜査官から強制依頼される。
(これ誰かと思ったらE・バーキンなのね~)
この描き方は、けっこう他作品でも観てきた気がする。
いちばん情けないんじゃないか?と思わせたのが、
我らがセクシーガイ(だった)R・ギアなんだけど、エ?
何だかとっても普通というか地味な引退間近の警官役。
新人からもバカにされ、とはいえこのまま無事に定年を
迎えたいと頑張ってきた彼は、最後の事件まで自我を
押さえ続けてきたが…。
同じ警官同士(課はまったく違うけど)ということで、
この中の2人が絡むシーンが少しだけある。その時壁に
貼られている写真が、あとで重要な事件に繋がってくる。
…こんな感じで、作りや練り方は巧いのだけど、今一歩、
緊張感に繋がるピーンとしたものがないため退屈に。。
其々を其々のスタンスで描こうと身辺を色々と見せるが、
ドラマチックに描きたいのか、職務を全うさせたいのか、
様々な要素を盛り込み過ぎて、ワケが分からない状態。
だから、ラストの惨劇で…観客は唖然としてしまうんだと
私は思うのだけれど、いかがなものか。
(汚いお金は汚ないところに流れ着く。より善か、より悪か)