ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ : 映画評論・批評
2011年6月28日更新
2011年7月2日より有楽町スバル座ほかにてロードショー
才媛エマ・トンプソンが実力を遺憾なく発揮した、気分良く楽しめるファンタジー
製作・脚本・主演のエマ・トンプソンがいかにナニー・マクフィーを愛しているか。その愛が伝わってきて気分良く楽しめる。
原作はあるが今回のエピソードはほとんどが彼女のオリジナル。第2次大戦中のイギリスの田舎、出征中の父親に代わって子供たちが農場売却の危機に立ち向かう。イタズラ好きな子供たちに家庭のルールをしつけた前作から、勇気や助け合う心へと、ナニーのレッスンも一歩前進。家族の絆を芯に、親が考える以上に子供は親を愛しているのだと描くところはなかなか奥が深い。
続編で製作費が増えたのか、ナニーの魔法の杖の威力もスケールアップ。タイトル通り子ブタが空を飛び、シンクロナイズド・スイミングならぬシンクロナイズド・フライングまで見せて笑わせてくれる。
可愛いキャラだけでなく、セクシーで凶暴な2人組お姐さんの借金取りも登場。この毒のあるキャラは、子供の中に潜む無邪気な残酷さを意識させる。脚本家エマ・トンプソンの力量はかなりのものだ。
マギー・スミスやユアン・マクレガー、レイフ・ファインズがごく小さなパートで出演。スター俳優の贅沢な使い方もイギリス映画界におけるエマ・トンプソンのパワーの表れと見た。そのスターたちが、手を抜かずきちんと仕事しているのも好感が持てる。時代と場所、子供の設定を自由に変えられるのはシリーズの強み。すぐに3作目ができそうな予感が……。
(森山京子)