劇場公開日 2011年2月19日

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「新作にしてすでに古典」ヒア アフター soramoriさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0新作にしてすでに古典

2011年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

大津波をきっかけにパリ、ロンドン、サンフランシスコで同時展開するストーリーは、それぞれのグラーデーションを醸し出しながら、ときに激しく、ときにゆっくりと振れながらも、一点に向かって集約していく。
ラスト5%で一気にストーリーが集約していく手法は「グラントリノ」に共通しているが、より味わい深い。
筋書きを知っている古典落語を聴くような安心感と、それだけでは終わらないと予感させる精緻な演出。観客は淡々と展開するストーリーに集中したご褒美に、ラストで強烈な感動を得ることになる。
いわゆるスピリチュアルな題材を取り上げながら、胡散臭さや生温い印象は全く感じさせず、むしろ見えない世界をまっすぐクリアに表現していることにも好感が持てる。
映像にイーストウッドの姿はない。しかし観る人はこの映画の随所で彼の姿や人間性を見いだすことだろう。
エンドロールでカイルのクレジットを探したが、あったのは見つけたのはクリント・イーストウッド本人のそれだった。最後の最後にもう一度脱帽。
新作にしてすでに古典。絶対観たい、観せたい映画の一つ。

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soramori