「オール怪獣総進撃」エクスペンダブルズ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
オール怪獣総進撃
もう実写版キン肉マンを撮る気なんじゃないかってくらいの凄まじい面子である。
これだけの豪華キャストが一堂に介した映画は、ゴジラを初めとした東宝怪獣10体以上が競演を果たした『怪獣総進撃』以来じゃないのか!?
(『オーシャンズ11』は引合いに出すにはスマート過ぎるか)
会話シーンだけでの共演ではあるが、アクション界のスーパースター3人が揃い踏みした瞬間には感動してしまった。特にシュワちゃんは久々の銀幕だからか、なんかもう生き生きしております。彼の去り際にスタローンが発する台詞が笑える。
同様に、監督スタローンは全員にしっかり見せ場を用意。
ナイフ捌きも見事なステイサム、流麗に闘うジェット・リー、あと威力もサイズもデカい銃を持った大男と多彩な投げ技で敵をなぎ倒す大男(スミマセン、この方々は誰だか知りません)。ラングレンやミッキー・ロークにも悲哀が漂っていてグッド。
某特攻野郎4人組はちゃんと作戦を用意していたが、“Eチーム”の面々は基本的にノー・プラン(そういう意味ではまさに特攻野郎)。潜入の際には一応見つからないようにしてみるものの、見つかった途端にもう手に負えないくらいの暴れっぷりである。
撃つ! 殴る! 刺す! 焼く! 折る! ボールの空気を抜く!
画面に映る車両の9割を爆破or半壊、橋や屋敷に至ってはまるごと爆破!!
その様はまさに『怪獣総進撃』。
エクスペンダブル(消耗品)を名乗る彼らだが、一向に“消耗”される気配の無いその無敵っぷりは爽快感抜群だ。
あまりに強いので「どちらかと言ったら悪役の方々がエクスペンダブルズ……」と敵の方が気の毒に思えてくる。
残念なのは各人の個性的なアクションが、せわしない編集やカメラのせいでじっくり見られない所。
ジェットやステイサムの見事な立ち回り、他メンバーの豪快な格闘技の数々をもっと見たかった。
だがストーリーは意外としっかりしている。軍事政権の頭と黒幕の関係、ヒロインの正体など、話を盛り上げる要素が上手く機能し、だらだらとアクションを見せるだけの映画には収まっていない。とはいえ基本的にはベタなストーリーなので、そこに過剰な期待は禁物。
いや、この映画を観る人が期待しているのはド迫力の重量級アクションと大物スター達の戦いっぷりだろう。それにはバッチリ応えてくれる真摯な映画だ。103分という長さも潔く、サクッと楽しめます。
<2010/10/16観賞>