漫才ギャングのレビュー・感想・評価
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笑ったもん勝ち!ってヤツです
品川祐、『ドロップ』に続く監督第2作品目!
なあんて書いてみたけど、僕は品川祐があまり好きじゃないし(相方は好きだが)、
『ドロップ』も好きじゃない。
青春のガムシャラ感みたいなものは出ていたが、展開は一本調子で意外性も無いし、
何より冗長。自己満足で終わった映画という感は拭えなかった。
ところがところが今回は違った。
ほら、映画やドラマで時々あるけど、
全然笑えないギャグで観客が爆笑しているシーンとかあると背筋に寒気が走りません?
『爆笑オンエアバトル』なら120キロバトル位の点しか入らないような漫才や、
(知らない人は「キロバトルって何?」って感じだろうが)
『笑点』なら前半2分でネタ切れするような一発屋的漫才を披露する、
そういうイタい映画になってるんじゃないかと危惧した訳だ。
そもそも主演の佐藤隆太も上地雄輔もお笑い芸人じゃないし。
だが驚くなかれ、二人とも、ちゃんと漫才している!
流石にプロの漫才師ほどでは無くても、本物のお笑い番組に出てもいけるんじゃ?
って位に堂に入っております。
漫才だけでなく、会話シーンも漫才のような掛け合い。これは『ドロップ』
の時も同じだったが、前作がちっとも笑えなかったのに今回は笑える。
役者陣の笑いのスキルの差かしら。
逆に、お笑い芸人が役者として大挙出演しているが、こちらもそんなに不味くない。
主人公の元相方を演じた“ピース”綾部は一本調子だけど、
取立て屋を演じた宮川大輔なんて“本物”にしか見えない(笑)。
“千鳥”の大悟も、ちょっと異様な存在感があって良い感じ。
以下、不満点。
前半飛ばし過ぎて後半冗長。
あとクイック→スローの多用を始めとした映像演出もやかましい。
売れない芸人の生態を描く部分は生々しくて良いものの、物語はよくある話だし
御都合主義だし人物描写は薄味だし127分は長過ぎるし、
「こんなん映画じゃなくてお笑い番組じゃねえか」と怒る人は
間違い無くいるだろうなあ。
けど、笑える。
まあ僕の『笑える』は信用できないが、
若い女の子からおじさんに至るまで、
他の観客も皆クスクスと、時には声を上げて笑っていた。それも2時間ずっと!
何をもって映画を映画と呼ぶかは僕には分からないが、観終わってから
「ああ楽しかった」と明るい気分になって帰れる観客がいるなら、
そんな映画があったっていいじゃない。
気軽な気分でどーぞ。
<2011/3/20観賞>
まぁ予想通り
職業柄、年間数百本映画を見てるが間違いなく今年度最低の映画である。
まぁ監督がお笑いでも中途半端だし監督業になったら才能を微塵にも感じない。
途中で逃げ出したくなった。それ程内容の薄い作品になっている。
最後はよくある結末。見ていて違う意味で笑った。
もう二度と品川の作品は見ない。映画を舐めてる。
ダウンタウンの松本にしろ映画監督となったら超2流。
上地と佐藤隆太の演技は良かったのに、監督らしきひとの脚本で全て台なし。
まぁあまりオススメ出来ない。
年間何本か当たる駄作を見た。笑
一緒に行った妻はおもしろくないので寝てた。
最初から期待はしてなかったのでスッキリ。
ただお金の無駄。
芸人とヤンキーが漫才コンビを組んだサクセスストーリー……
予告編見たら、留置場で出会った売れない芸人・飛夫(佐藤隆太)と見た目もそのままのヤンキー・龍平(上地雄輔)が漫才コンビを組んだサクセスストーリーかと思いましたが…ひとひねりしてある。
芸人の品川ヒロシ監督の作品だけあって、劇中の漫才だけでなく、他の場面での役者たちのやり取りでも笑えました。
ストーリー展開のテンポもいい。アクションシーンもクレーンを使ったカメラワークやストップモーションも効果的で、芸人としてだけでなく監督としての才能も感じさせてくれます。
芸人仲間も役者として大活躍。元の相方役のピースの織部さんだけじゃなく、宮川大輔さんがいい。
役者の佐藤さん、上地さんも芸人さんの漫才もよかった。
一つのネタに長くこだらわず、すぐに次の仕掛けが飛び出すところが品川作品の面白さの原動力でしょう。
本日の日本最速の試写会では、会場が爆笑に揺れました。こんなに観客を沸かす作品は、近年見たことがありません。試写会終了時には、珍しく大拍手に包まれました。
『ドロップ』で興行20億を達成した、品川監督の才能は、伊達ではありませんでした。
全編が、巧妙にボケと突っ込みで計算された漫才ネタが埋め尽くされています。その脚本を主役の佐藤と上地をはじめ、登場人物の尽くが、本職の漫才師のお株を奪う絶妙なしゃべりを展開して、会場を沸かせました。
また品川作品のもう一つの特徴は、激しいケンカシーン。前作よりも描写が進化して、コマ抜きなどの技法を多用し、よりスピーディでリスリングなケンカシーンを描写していました。
ところで、他の吉本系の監督作品には、ドタバタが多く笑いが中心になるところが多いのですが、飛夫に尽くす由美子の直向きな思い、飛夫のために一身に暴力に無抵抗となる龍平など、要所にじっくり泣かせてくれる感動シーンが織り込まれているのが特色です。この笑いと涙とケンカのバランスが、絶妙に組み合わさって、一つのネタに長くこだらわず、すぐに次の仕掛けが飛び出すところが品川作品の面白さの原動力でしょう。
そして何より、売れない漫才師とケンカに明け暮れる荒くれ男が偶然知り合って、コンビを組むという突拍子もない話に、あり得るかもと納得させられる展開を築き上げた品川監督の演出の技量を高く評価したいと思います。
主な見所をピックアップすると、まず冒頭から引き込まれます。龍平と“スカルキッズ”の乱闘シーンがスタートするのですが、スタイリッシュにカット割りされた、スピード感満点の映像に加えて、要所で飛夫たちの“ブラックストーン”のライブ画面にカットバックされます。このつなぎ目が、ケンカシーンと絶妙に繋がっていて傑作でした。
“ブラックストーン”の相方である石井から、一方的に解散を告げられるシーンでは、石井の自身への不甲斐なさが良く出ていて、飛夫にとって「寝耳に水」な解散でも、納得してしまいました。飛夫と別れても、相方の心配をする石井の台詞には、ちょっとホロリとさせられます。このシーンでは、石井を借金で追い詰める取り立て人の金井が、強烈な個性を発揮しています。主役を喰らうような、激情型のキャラでラストまで本作を盛り上げていくのです。そんなヤクザな金井でも、後半は男気を見せるいいシーンが用意されているのが本作の特徴でしょう。金井役の宮川大輔は、楽しそうに役に打ち込んで、突っ込みを連発していました。
さて本作の核心は、なんといっても二人が出会うシーン。きっかけは飛夫が下痢をしたことから。たった下痢をしただけのことなのに、龍平の目の前で尻を丸出しに脱糞する気恥ずかしさから、オナラの臭さまでのネタで、5分間は会場を爆笑に渦に沸かせてしまうのです。ここで注目すべき演出手法は、飛夫の独白。細かく龍平を観察して、リアクションをどう取るべきか細かく観察する台詞に、漫才作家としての品川の緻密な分析眼を感じることでしょう。特に、いくつかの龍平のリアクションから、こいつは突っ込みの天才だぁとの結論を独白の果てに導き出すシーンは、その言葉使いがオーバーで凄く可笑しかったです。
さて、意外や意外に意気投合して、漫才の練習に励み、ライブでも着実に人気を獲得していく二人でしたが。大きく立ちはだかったのは、龍平のケンカの相手だった“スカルキッズ”から執拗にからまれます。漫才師はケンカしたらアウトなんだと飛夫から聞かされていた、龍平は土下座にションベンを引っかけられても、耐え抜きます。
ケンカシーンの圧倒的強さと相まって、この侠気の強さは感動モノです。
しかし自分への暴力は耐えても、相方を拉致してボコボコにされたのは、龍平には我慢できませんでした。このときの龍平にもう手を出さないでくれと、殴られても殴られても“スカルキッズ”にリーダーに肉薄していく飛夫の龍平への思いの強さも良かったです。 龍平は、コンビ解消を飛夫に告げた上で、 “スカルキッズ”に殴り込んでいきます。あれ?ふたりでコンビを組んで漫才で成功する話ではなかったの?と思われるでしょう。実は終盤に味なドンデン返しがあったのです。
ところで、多勢に無勢な龍平のピンチを救うのが、オタクの小淵川。たまたまケンカに巻き込まれて、ガンダムの模型を踏みつぶされたことにキレまくって、相手のリーダーをボコボコにしてしまうのです。
この小淵川も要所で登場し、爆笑を引き起こしています。小淵川役を演じるロバート秋山竜次のオタクぶりは絶品。品川作品は、本線ストーリーもしっかり描かれているのと同時に、枝で挿入されている小ネタも、しっかり存在感を主張しながら、本線ストーリーを賑やかにしているのが特徴ですね。
ところで飛夫と一端別れる由美子が出産をきっかけに復縁するくだりも、なかなか素敵です。ラブストーリーを単発で作っても、結構泣かせる話を品川監督は撮れるのではないでしょうか。
最後にとっても気になるネタバレを。
飛夫と別れた龍平は、出所後再び漫才の世界に戻ってきます。しかし龍平の相方は誰だか決して明かしません。エンドロールの最後にちらりと登場する龍平の相方とは、品川自身だったのでしょうか?ええぇぇぇ~との観客のため息混じりに、謎を残した終わり方でした。
彼らが成功を収めるところが見られなかったので、ぜひ続編が見たいものです。
追伸
ひと言書き忘れていました。
本作で、登場人物が口々に何度も語られる台詞が『人は変われる』ということ。品川監督自身が、一介の青年から人気漫才コンビに、さらに人気小説家へ、ついでに大ヒット作の映画監督まで登り詰めただけに、説得力があります。
飛夫や龍平たちが口々に、将来の希望を語り合うシーンは、品川監督が本作を見る若者たちに、精一杯のエールを送っているようで、感激しました。
今どん底でも、本作を見たら、何か変われそうな勇気を貰えることでしょう。
追伸
●映画『漫才ギャング』ラストシーンの謎●
『漫才ギャング』の試写会にまた行ってきました。
出所後再び漫才の世界に戻ってきます。しかし龍平の相方は誰だか決して明かしません。エンドロールの最後にちらりと登場する龍平の相方とは誰か?どうしても気になって、エンドロールを目を皿のようにして注目していました。
しかし画面では、細身のロングヘアーの男としてか分かりません。ただし、ストーリー進行の文脈として、龍平と敵対していたストリートギャング“スカルキッズ”のリーダー佐山ではなかろうかと思いました。
リーダーの出所で、スカルキッズを仕切ってきた城川が没落。龍平の侠気に惚れ込んだメンバーが、佐山と龍平を引き合わそうとするのです。その直後のことは詳しく描かれませんでしたが、きっと意気投合してコンビ結成となったのでしょう。
夢が膨らむエンディングでした。
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