「フィクションだが数少ない反米の映画」グリーン・ゾーン parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションだが数少ない反米の映画
米軍がイラクが大量破壊兵器を持っているという理由で侵攻したのに、大量破壊兵器がなかったことを題材に作った映画。フィクションということらしいが、まるでノンフィクションかのようなリアル感があった。
実際の所、イラクの石油利権を抑えるために侵攻したのだろうし、イスラム教の国を民主主義にするなんて無理ではないかと思う。独裁政権打倒は、侵攻するためのお題目であろう。米国にとって重要なのは、利益をもたらしてくれる金で操れる政権かどうかであって、政治体制など大きな問題でないことは、歴史が証明している。
大量破壊兵器が嘘となると、米軍の兵士もイラクの民も、すべて嘘のために戦って犠牲になったということが虚しい。大統領の側近や、CIA、軍の中枢が積極的に嘘を捏造しようとしたら、それに反対する勢力はその嘘を暴いて、戦争をやめさせることができるのだろうか?という重い問いかけが浮かんでくる。
実際、ウクライナ紛争も、イスラエルとパレスチナのハマスの紛争にも、どちらにも米軍が絡んでいる。軍産複合体が肥え太りするため、FRBがドルを刷って刷りまくるのを回収するために戦争を起こしたり、継続しているのが真実だとしたら、本当に恐ろしい世界だ。
戦闘シーンを見ながら、大量破壊兵器がなかったこと、それによってイラクが破壊され、めちゃめちゃにされて混乱が続いていること、米兵はお金や出世のため、イラクの市民は国を思って行動したこと、イラクで起こったことが、今もなお、世界各地で起こっていることに思いを馳せさせるような作品だった。
考えてみると、世界中の映画作品で、反米の視点で描かれる作品が少ないので、問題提起をする上でよい作品だと自分は思う。