処刑人II : 映画評論・批評
2010年5月18日更新
2010年5月22日より新宿武蔵野館ほかにてロードショー
1作目のファンがいかに喜ぶかを第一に考えた、極めて正しい続編
01年に関係者の予想を遥かに超えるサプライズ・ヒットを飛ばし、熱狂的ファンを多数生んで、真の意味で“カルト・ムービー”となった前作「処刑人」の日本公開から9年、ついに完成した待望の第2作は、まさに首を長くして待っていた1作目のファンがいかに喜ぶかを第一に考えた、極めて正しい続編。満を持して再結集したスタッフとキャストが、溜まりに溜まった鬱憤をすべて晴らすかのように、前作にも増してパワフルでクレージーな“暴走拳銃遊戯”を繰り広げる。
確かに、前作で女性ファンのハートを鷲掴みにしたショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスの“超美形”兄弟はだいぶ歳をとったが、今回彼らはクールなイケメンぶりではなく、渋さとワイルドさで勝負する。ビリー・コノリー演じる父親も前作以上の活躍で、ピーター・フォンダ扮する宿敵と対決、男のけじめをきっちりつける。新しく仲間に加わるクリフトン・コリンズ・Jr.とジュリー・ベンツ演じるFBIの女特別捜査官の悪ノリはいささか過剰だが、前作で驚異の怪演を見せたウィレム・デフォーのカメオというには重要すぎるサプライズ出演や、前作で死亡した仲間ロッコが、タフな男の心意気を叫ぶなど、ファンを狂喜させる見せ場が盛りだくさん。
万人受けなどまったく狙わず、ウェルメイドにまとめることなどまるで眼中になく、ただ面白いと思ったことだけを徹底的にやり抜く大胆さと潔さ。全編に監督トロイ・ダフィーのマニアックな台詞や濃厚なこだわりの数々を漲らせてお腹いっぱいにさせてくれる痛快なバイオレンス・アクション。より楽しむためには、前作の予習、復習が必須条件である。
(江戸木純)