「おバカ秘書とテーマ曲は良かった」ゴーストバスターズ SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
おバカ秘書とテーマ曲は良かった
それなりに面白かったけど、どうも物足りない。
驚かせてくれる要素があまりなかったと思う。
一番の疑問は、どういう意味があって、昔のゴーストバスターズのリメイクをしたのか?ということ。
旧作のオマージュがところどころに入ってるのは分かった。でも、だから何?って思ってしまった。
一つ一つの要素を見ると、どれも旧作よりもダウングレードしてるように思う。
カタルシス…
お金も名誉もない、さえない中年3人組のサクセスストーリー。はじめ認められなかった彼らが、市民に大人気のヒーローになっていく。
旧作ではこれが明確で、だんだん主人公たちが人気になっていったが、今作ではインチキを疑われたり、当局に活躍を隠蔽されたりして、信じる人だけに人気みたいな、よくわからない状態になってる。
旧作では、たくさんのゴーストをやっつけていくダイジェスト的な場面があったから、主人公が人気になっていく過程に説得力があったが、今作ではやっつけるゴーストが少ないので、最後の決戦に唐突感がある。
世界観…
旧作が出た当時(1980年代)では、「超常現象」「心霊現象」「超能力」といったものに対して、今よりもずっと説得力があり、社会的な関心もあった。
旧作は、はじめは超能力の研究から入って、だんだん話がエスカレートする展開になっている。心霊現象に対する反応も、はじめは大騒ぎなんかしない。荒唐無稽な話ではあるけど、入りでは現実とのつながりがあった。
でも、今作では、現実とのつながりを感じさせる要素があまりにない。つながりは、「旧作の世界観とのつながり」だけだ。1980年代の世界観の、さらにパロディ化された世界観のゴーストを出しても、全くインパクトがない。はじめから最後まで荒唐無稽な話ですよ、というのでは、あまりにシラける。
せっかくゴーストバスターズをリメイクするんだったら、現代において説得力のある超常現象や心霊現象の世界観を新しく作る必要があったんではないか。
ストーリー…
旧作では、最後にマシュマロマンが出てくるのが、大変大きなインパクトがあった。心霊現象や大災害というとてつもなく怖いものと、とてつもなく馬鹿ばかしいものを合わせたところが面白かったのだ。
でもこれって、二度目は使えないネタじゃないか?
ゴーストバスターズといえばこれこれ!みたいに、旧作と同じアイデア出しても、それを面白いアイデアとは思えない。
旧作のマシュマロマンに匹敵するような、あっと驚くことを考えなければ、リメイクする意味はなかったんではないかな?
敵…
人間側の敵と、ゴースト側の敵。旧作では「こいつムカつくぜ!」「倒さないと大変なことになる」みたいなわかりやすい敵がいた。それを倒すからこそ、スカっとする。
今作では、人間側の敵はそれほどムカつくというほどの人はいないし、ゴースト側のボスもどちらかというと、あわれに思ってしまうところがある。
キャラ…
旧作はいわずもがなで、登場人物のほぼ全てが明確にキャラが立っていた。
今作では、どこかで借りてきたようなステレオタイプなキャラばかりで、あまり印象に残らない。唯一、おバカな男性秘書は面白かった。彼が新ゴーストバスターズの面白さの50%くらいを占めてるといっても良いと思う。
あと、男女性別逆転してるとこに、何かねらいがあったんだろうか? 日本人には分からないが、アメリカ人にとっては、男女性別逆転になにかしら政治的なメッセージがあったのかも知れない。
でも、女性だから迫害されたとか、女性だからうまくいったとか、そういう展開がなければ、何もメッセージ性を感じられないと思うんだけど…。
悪いことばかり書いたけど、とても感心したこともあった。
それは、音楽。
ゴーストバスターズのテーマが流れると、なぜかすごく面白げに見える。ほんとにこの音楽は映画史に残る名曲だなー、と思った。