「帰ってきた2人+1人」メン・イン・ブラック3 キューブさんの映画レビュー(感想・評価)
帰ってきた2人+1人
さてさて、「3」の登場をどれほど待っていたことか。あの革命的に面白い1作目、色々とアレだけどそんなに嫌いでもなかったりする2作目。今回はどうであったか。結論から言うと「普通に良くできていて面白い」といったところだ。
まず喜びたいのはJとKのコンビの復活だ。トミー・リー・ジョーンズはさすがにきついのか、今回はほとんど顔を出さない。でもそれでこのシリーズの面白さが損なわれたのか。そんなことはまったくない。なぜなら、昔のKを演じたジョシュ・ブローリンが最高すぎるからだ。まさにジョーンズと瓜二つ、挙動やイントネーションまでそっくりだ。それでいて彼は自分ならではの「エージェントK」を創造することに成功している。この昔と今のKの違いが物語に重要な意味を果たしていくから、いかに彼の演技が大切だったか分かるだろう。もちろん、ウィル・スミスも相変わらず素晴らしい。1作目から10年以上経っているというのに、見た目もほとんど変わらず、同じテンションで演じ続けている。本当にこの2人は完璧だ。
だがこの映画にはいくつか欠点もある。まず今回の敵であるエイリアンのボリスの影が薄いこと。一番初めに登場してきたときが彼の一番の見せ場だったかもしれない。グロテスクな外見、それに負けず劣らず腐った根性。(この時点では)今までの宿敵たちよりも遙かにインパクトがある。だが彼はオープニングシーンですべてを出し切ってしまったらしい。それ以降は「ただの」エイリアンだ。とにかく台詞が少なくて、クライマックスの戦闘シーンもいまいち盛り上がりきらない。それに「過去と今の自分」という設定をエージェントKほど生かし切れていなくて、完全に消化不良だ。
しかしこんな欠点には気づかないほどこの映画には良い点がある。エイリアンのルックスは相変わらずぶっ飛んでるし、実際の著名人を使ったネタも笑える(今回のある著名人は珍しくエイリアンではない)。一人一人の脇役も良い味を出している。そして何よりもエンディングの秀逸さにつきるだろう。1作目と同様のどことなく哀愁漂うハッピーエンディング。これぞまさに「メン・イン・ブラック」だ。
(2012年6月30日鑑賞)