劇場公開日 2011年9月17日

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「バトルムービーファンには、お勧めですが・・・」世界侵略 ロサンゼルス決戦 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5バトルムービーファンには、お勧めですが・・・

2011年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

確かな記憶では無いが、この映画のファーストシーンで事件が勃発する様を、ニュースが捉える場面がある。
それが丁度私がこの映画を見た日と同日だった様に思うが、こうした近未来を描いた、パニック映画や、戦争映画は、妙に現実に自分が生活している時間や、環境が似通っていると、もの凄く身近恐怖を覚えるのだ。この事件が実際に起きてしまったならば、自分はどう行動をするのだろう?と嫌でも、頭が勝手に、自分の意思をおいてけぼりにして、思考を開始する。帰宅して、TVのスイッチを入れたらいきなり、こんな映像が目に飛び込んで来たら自分はどうするだろう?これ「今日の出来事」でやっていたら、と言う恐怖に飲み込まれる。
『世界侵略:ロサンゼルス決戦』名前が示すように、約2時間、全編戦闘、戦闘、戦闘とよくも懲りずに此処まで戦闘シーンばかりの連続が出来ると感心する程の戦闘の連続だ。正に連続活劇と言う奴ですね。引退前の老兵が大活躍すると言うのも、お決まりの筋書きだ。ヒーローの所属する部隊の、チームの絆や、苦難を全員で克服して前進するシーンは定番中の定番であるが、映画の中の例えにJWの例えが出て来るが、正にアメリカ人に
とっては、J・ウエインこそは、永遠にアメリカ男の理想のヒーローの原型なのかも知れないと改めてこれを見て感じた。そして、残念な事ではあるのだが、この地球のあちらこちらで、今現在も現実の世界では、リアルに戦闘が日々繰り返し行われ続けている。しかも、相手は同じこの惑星の住人である、地球人なのだ。
これだけ戦争を続けている人類史の中で、またも映画で戦闘を繰り返すのだから、「どれだけ人類は争いを続けたら終わりにするの?」と空恐ろしくなるのだ。映画が異星人を敵視して戦う位、現実世界に比べたら、ちょろい可愛い妄想でしかないのかも知れない。
『2012』『アルマゲドン』など特定の思想、ある考え方では、人類の終焉が近いと信じている思想の人達がこの世にはいる。そんな考えは映画の恰好の題材となるのだが、『マーズアタック』からようやく『第9地区』、のように宇宙戦争映画界でも、エイリャンも敵では無く、心が通い合う、生命体であると言う可能性を秘めた映画が出来て、「やれやれ少しは、平和になるのか?」と胸を撫で下ろす閑も無く、また争いの世界にはまり込んでしまったこの映画。単に特撮映画の見せ場を沢山盛り込むジャンルとして戦争映画が最適な理由で、戦闘映画が出来たのなら良いのです。
映画は時代の思想を反映しているものだから、2012年を通過するまでの、近未来SF映画の題材としてのこの手の話がもてはやされているだけならよいのですが、これからの私達の住む現実の世界での戦争が激化するのか、行方は一体どうなるのでしょうか?
この映画の戦士達の中には、黒人と女性空軍士官も登場する。それだけ現実のアメリカ社会の中でも女性と黒人の存在が、社会的地位を得たと言うバロメーターの証なのだろうか?すると、その戦士が死守しようとする5人の一般人の構成が、男女の子供と東洋系の市民を含んでいると言う事は、アメリカ社会にアジア系アメリカ人の存在が根を下ろし始めていると捉えて良いのだろうか?それともこの映画の監督自身が南アフリカ出身で、アメリカ社会で成功した監督故の理由であるのか?いずれの理由であっても、国籍及び性別を超えて、一人一人の人権が大切にされる事を願って止まない、そんな人類の皆平等なる権利について考えさせられる作品でした。

ryuu topiann