「弱小チームがジャイアント・キリングを起こす!大好きな設定!…のはずなんだが…」マネーボール たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
弱小チームがジャイアント・キリングを起こす!大好きな設定!…のはずなんだが…
弱小球団オークランド・アスレチックス(通称「A's」)を立て直したGM、ビリー・ビーンの実話を基にした野球映画。
人気・実績ともに低迷していたA'sを復活させるため、ビリーは「セイバーメトリクス」という評価手法を駆使するピーターという男と手を組み、チーム再建を目指す。
主人公ビリーを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、後のオスカー俳優ブラッド・ピット。
ビリーの相棒ピーターを演じるのは『もしも昨日が選べたら』『ナイト ミュージアム2』のジョナ・ヒル。
A'sの監督アート・ハウに『あの頃ペニー・レインと』『M:I:Ⅲ』の、オスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマン。
ビリーがスカウトした一塁手、スコット・ハッテバーグには『ウォンテッド』『ブライダル・ウォーズ』のクリス・プラット。
第77回 ニューヨーク映画批評家協会賞において、脚本賞を受賞!
ブラッド・ピット主演の野球映画。
とはいえ野球の描写は必要最小限に抑えられており、メインは弱小球団のGMであるブラピが、いかにしてチームを強化するか、そして彼の内面的回復・成長が描かれています。
弱小チームのジャイアントキリングかつ、負け犬達のワンスアゲインものという個人的な好みにドンピシャなテーマを扱っているはずなのですが、イマイチノれなかった…
いい映画だとは思います。ラストシーンにはホロっときましたし、クリス・プラット(今とイメージが違ってキャストを見るまで気がつかなかった…)が代打でかっ飛ばすシーンは熱くなりましたが、全体的に静かで正直つまらなかった。
ブラッド・ピット扮するビリーは傍若無人で粗野な男。キレやすくすぐに物に当たる乱暴なところがあるが、頭は抜群にキレる優秀なGM。
指パッチンとかホワイトボードに選手のネームが書かれたマグネットをなげて貼り付ける所とかいちいちカッコいい。まさにブラピのために作られたようなキャラクター。
野球選手として期待されながらも、活躍することが出来ず夢半ばでマウンドを去った経験が彼の心に大きな傷となって残っており、そのため野球への愛情を失ってしまっています。
そんな彼がデータに強い男ピーターと出会い、バディを組んでチームを強化し、リーグを闘っていくというお話し。
ピーターを演じるジョナ・ヒルの冴えない感じが凄く良かった。
映画はビリーに関する描写が多く、他のキャラクターは脇役と言っていいでしょう。そのためビリーとピーターのバディ感が薄くなっていたのが残念。
選手はチームを勝たせるためのコマとして一貫して描かれており、個々の選手の掘り下げなどはありません。
これがないのでアスレチックスというチームに愛着が湧かなかったのも、この映画にノれなかった理由の一つだと思います。
故・フィリップ・シーモア・ホフマン演じる監督の無能っぷりにイライラ。
まぁブラピに従えない気持ちもわかるけどさー。
チームが軌道に乗り始めるきっかけも描写が薄く、なんで急に調子良くなってんのかイマイチわからなかったのもよくないかなぁ。
全体的にはノれなかったが、ビリーのキャラクターは凄く良かったし、娘の歌がビリーの心境と重ね合わさるエンディングは美しい。
明日への活力をもらえるいい映画なのは間違い無いです!
アスレチックス、A's(エイズ)は凄い選手を育成しては獲られる、昔の広島みたいなチームです。ホセカンセコ、マークマグワイヤなど稀代のホームランバッター、デニスエカースリーのようなスーパークローザーが、昔の南海や大洋みたいな(古くてすみません)ダサいユニフォーム、それが合わさってのA'sなのです。だからこの話は面白かった。少年野球のような「確率論」がメジャーリーグで通用するとは。。