「何を求めて見るのかによる」ソーシャル・ネットワーク a2circusさんの映画レビュー(感想・評価)
何を求めて見るのかによる
個人的な感想として
ITが普及した時代でも人間の基本的欲望は変わらないということです。
映画の中でデビット・フィンチャー監督は人の欲するものを美化することなく描いていきます。
その対象が、名声であり、金であり、愛であり…。赤裸々に
ITで人々に支持される上での共通点として
クールさ、無料であること、早さ、があります。
主人公マーク・ザッカーバーグが所属する世界一の名門、ハーバード大学。
(当時の名称)「ザ・フェイスブック」はその名門所属の学生からしかメンバーを集めませんでした。
クールさを演出するためです。
また、無料で公開しておりながらバナーを貼り付けることなく、広告収入に頼らなかったのもクールなSNSというイメージ戦略に一役買いました。
(ミクシィの場合、会員が「東大生」だけということにはなりませんでしたが、あえて紹介制の「完全会員制」を導入していました。
紹介されないと入会できないというハードルがかえってクールなイメージを作り上げていたと思います)
ITに求められる早さに関しては「フェイスブック」では一悶着あり、SNSをリリースしてからマークはアイデアの盗用として訴訟されます。
この業界ではどんなに優秀なアイデアであってもそれは一秒で早くリリースした者にしか恩恵は得られないからです。
今や、超有名IT企業となった「グーグル」ですが、経営者トップ3人が三位一体となって成長していきました。
しかし、「フェイスブック」では創設メンバーのマークとエドゥアルドの2人に、IT界の大物、ショーンが加わることで運営体制の歯車が狂っていきます。
ショーンが介入してからの「フェイスブック」は圧倒的な資金と驚異的スピードでその登録者を増やしていきます。
一方で、マークとエドゥアルドの信頼関係に入ったヒビは大きくなっていき、どうなっていくのか…。
ここから先を知りたい人は劇場へ足をお運び下さい。
ちなみにこの映画のポスターですが、非常にシンプルです。
主人公マーク扮するジェシー・アイゼンバーグが登場しているだけでキャッチコピーに
天才
裏切り者
危ない奴
億万長者 とだけ書かれています。
個人的感想としては「天才である部分」と、「危ないやつとしての表現」がもう少しあってもいいと思いました。
あえてキャッチコピー風に書くなら、マークの印象は
正直者(自分自身に)
裏切り者(ハーバードでの同志にとって)
不器用(生き方)
(それでも)億万長者(になってしまった) といった感じでしょうか。
個人的には上にあげたことも理由の一つとして
5点中3.5点の評価にしました。
ちなみにあるサイトのレビューを見ると「ソーシャル・ネットワーク」を観た人の評価の平均点は80点より上くらいでした。
それでもありがちなアメリカ的なハッピーエンドで終わらせない部分にむしろ好感を持ちました。
映画「セブン」でも漂わせていたデビッド・フィンチャー監督特有の「後味の悪さ」(笑)がかえって観客に考えさせることになっていて良かったです。
私はIT界の抱えるスピード感や熱を感じたかったから、それに関しては満足を得ました。
タイトルにも挙げましたがドラマティックさや、知的興奮を求めて観にいくのなら正直あまり点数はあげられないような気がします。