ヒーローショーのレビュー・感想・評価
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暴力が暴力を・・・
暴力が暴力を呼び、リンチがやがて死者を出してしまう。リンチシーンは素人がつい本気になってしまうリアルさ。しかし、バイオレンス映画と一括りにするには後半の面白さが違和感を与えてくれる。お笑いの“ジャルジャル”の二人が主演ということだけど、タイプは違えど二人ともなかなかの演技だった。
全体的には定職を持たない若者たちの虚しさを描き、世の中の不条理さも描こうと努力した形跡があるが、人を殺したあとの心理状態があっさりしすぎている感も。
「バカは官僚になる、お調子者の知事になる」という言葉は面白い。こんなところにまで井筒監督の思いが隠れていた(笑)
ジャルジャルジャル。
これが実話を元にしてると知って驚きですね。
映画的な微かな希望みたいなものもなく、最後の最後まで、登場人物全員救われてない感じが、あくまでリアルで、現実を突きつけられる感じがして、ズコーンてなる。
ジャルジャルの2人が意外と良かった。多分後藤の方は、顔つきがシュッとしてて全然俳優の人感出てたなー。
バカのせいでこの世は・・
暴力が暴力を生み出す連鎖がビーバップハイスクールみたい良かった。ノワール感があって好きな映画でした。
ジャルジャルが素晴らしかったし、バディ感がちょっとだけあって良かった。
最後もハッピーエンドとは言えない終わり方で、暴力を肯定していないところが良かった。
パッチギもめちゃくちゃ良かったがこれも良かった。
最後に筒井真理子がちょこっと出てたのが嬉しかった笑
改めてすごかった
血も涙もあるからこそ、モンスターになってしまうというあまりにゾッとする出来事を描いている。見るのは多分4回目なんだけど、改めて素晴らしかった。軽はずみなセリフ一つ一つが実に重要だった。
井筒監督がジャルジャルを起用して作った映画
井筒和幸監督が吉本興業の売り出し中の若手ジャルジャルを起用して作った映画。
芸人を目指す若者ユウキ(ジャルの福徳)は、M1で優勝して1000万取るとか、年収1億稼ぐとか夢みたいなことを考えてるが、ネタを作るわけでもなく、バイトも無断欠勤したうえ店長に悪態ついて止めるなどどうしようもない自堕落な生活を送っていた。
芸人をやめた相方に誘われて、ヒーローショーを興業するイベント会社に加わるのだが、そこからとんでもない事に巻き込まれていく…。
デパートの屋上で行われるヒーローショーで、司会をする女の子を寝取ったと悪の怪人とヒーローレッドが本気でやり合うバトルに、観客の母子たちが凍りつくところには笑った。
また、ユウキが消費者金融で借金するところで、彼がお笑い芸人の卵だと知った女性従業員が急に愛想よくなるところも笑えた。
その後は、双方が助っ人を頼んだことで、暴力がどんどんエスカレートしていき、救いようのない結末を迎える。
助っ人の一人自衛隊上がりの凶暴な男をジャルジャルのもう一人後藤が演じてる。
こちらには、バツイチの子持ちの女(ちすん)とのラブシーンもあるから、儲け役か。
二人ともぎこちなさはあるが、他の俳優たちに負けずにがんばっていた。
ジャルジャルのことはよく知らなかったけど、映画見た後で番宣に出てた二人を見たら、映画のイメージとは違って、まじめで愛想のいい若者だった。
ストイックな映画
楽しみにしていた井筒監督の最新作。
初日に劇場へ足を運んだ。
感想は一言で言うと、
「ストイックだなー」
観客へ迎合したウケ狙いもなく、万人が共感できる終わり方でもない。
しかし、そこには『映画らしさ』を感じることが出来た。
昨今、不良・暴力をスタイリッシュに描く一方で、
これら二つの持つ危険性を真正面から捉えた映画は皆無だった。
そこに井筒監督が切り込んでいってくれ、
この危険性がもつ本当の怖さを教えてくれた。
明確な答えが見えないエンディングではあるが、
見た人それぞれがそれぞれの答えを見つけられることができる映画だと思う。
映画はお客さんあってのものだと思うが、
最近あまりにその傾向が強く辟易していた私としては
今回の『ヒーローショー』は久々に作家性を見せてくれる
骨太な映画だった。
最近の映画やテレビドラマに慣れてしまっている人は
この映画の本質をどこまで理解することができるのだろうか・・・。
表面的に感じた
この映画の暴力描写には「痛さ」をあまり感じることができなかった。監督はインタビューで「笑いを排除して暴力描写は徹底的に悲惨にした」と言っていたが、バイオレンスはどこかコミカルで「パッチギ!」の暴力シーンとさして変わりはない。井筒監督の描くバイオレンスは自分の肌に合わない。ラストも凡庸的。表面的ではない、良質な暴力映画を観たくなった。でも堤真一についてのセリフには共感したし、笑えた。
非銃社会のバイオレンス映画
暴力団や警察が活躍しない日本の暴力映画で、死が描かれるのを見ていて辛くなることがある。銃があれば数発放てばすぐに死んでしまう。もちろん銃がなくても刃物や頭部へのきつい一発があればすぐに死ぬが、単なる打撃によるリンチなら死ぬまでの時間は長くなる。これには良い点もある。死ぬ方は命乞いをし生命の意味を考えさせる。また必ずしも殺そうとは思っていなかったなら、やる方がどこかで一線を越えてはじめて致命傷を与えることになる。それだけの時間がかかれば暴力の意味をいやでも考えることになる。
この映画もそういった観点から作られていると思うのだが、全体としてはうまくいっていない。傾向は違うものの暴力映画ながら死を最後になるまであまり感じさせないという点では共通する「息もできない」と比べてもかなり落ちる。あとストーリー・ラインは「ミスティック・リバー」からかなり頂いていると思う。主役のジャルジャルでは石川勇気(後藤淳平)が良かった。
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