劇場公開日 2010年10月9日

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「「いつか」と夢見た世界へのきっかけ。」ナイト&デイ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「いつか」と夢見た世界へのきっかけ。

2021年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

萌える

ありえん!と馬鹿笑いしながらも、実生活では絶対に経験したくないが、ちらっとひそかにこんな冒険を夢見てた、そんな世界が展開する。
 イケメンのナイトに守られながら、こんなはちゃめちゃ、やってみた~い!

アニメチックな要素を含んだライトなラブコメディのようで、
ある程度人生経験を積んだ大人のためのロマンチック・ファンタジー。
 ロイとジューンの人生が、とんでもない状況で交差して、お互いに影響を与えていく。
 「いつかは今日よ!」
 大人だからこそ、日々の暮らしを言い訳に、「いつか」と封印している夢。そんな”夢”を持っている人にこそ、見てもらいたい映画。

愉快、痛快。とにかく面白い。

物語自体は、え?結婚式?家族の反応?とか、なぜそこ死なない?とか、場面転換とか、つっこみどころ満載。
 でも、全体的に掛け合いが面白い。
 単なる掛け合いの面白さだけでなく、「安全」をはじめとする飛行機や駐車場のやり取りが後で効いてくるとか、ボーイスカウトのくだりとか、長官の「関係者は断ち切りなさい、プロならね」の後の展開とか、ここでこうしておいて、こうくるかっといった感じで、ジーンとくるし、楽しめる。
 座布団5枚!

脚本だけではない。
 工場で、新たな敵が静かに侵略してくる様とか、オリエント急行?と鉄道マニアではない私は勘違いしそうな映像とか、闘牛の場面とか、映像も楽しめる。
 旅行した気分にもなる。

そして、役者も、これだけアクション満載、ふり幅の大きい展開の中で、繊細な演技を見せてくれる。

 ジューンに振り回されるロイは、時折困ったなという表情をするんだけれど、基本、紳士面を崩さない。イケメン・スマイル満載なんだけれど、心は笑っていない。同じスパイでも、その辺がイーサン・ハントとは違う。
 そういう仮面を崩さないのに、その仮面から漏れ出る本音。ジューンに惹かれていく様子が見て取れたり、両親に対する寂しさがにじみ出るところとか、芸が細かい。ラストの、ロイのこれまでの人生からの転換に対する逡巡も、この年齢だからこそ共感できる。
 そんな繊細な表現をしつつ、笑かそうとしていないのに、笑いがかもしだされるコメディアンぶり。
 脱帽です。

 そんなトム様をベースに、キャメロンさんの魅力爆発。
 トム様に負けない、万人を幸せにするあの笑顔。相変わらずの繊細さ。
 それでいての、年齢を重ねた図太さ、一途さ、アラ40の迷い感。
 自白剤を打たれた後の暴走ぶりにアントニオが手を焼く様とか、この方ならではの展開(笑)。
 単なるラブコメ女王ではない多彩な演技。それでいてのコメディエンヌぶり。
 かつ、『チャーリーズ・エンジェル』をベースにした外し方・決め方!!!

 イーサン(MI)とナタリー(チャーリーズ・エンジェル)のバディ!!!というだけでも、テンション上がるのに、それを下書きにして、新たなバディ、もといラブロマンスコメディを見せてくれるなんて。

 サイモンのオタクぶりもあまりにもぴったり合っていて…。『蠅の王』の息子役の傲慢さとは全く違う、すごい。

 敵キャラとか、上司とかも、いい味出して脇を固めてくださる。

とはいえ、やっぱりトム様&ディアスさんの魅力ありきの映画。
 次から次にさく裂するアクションも、このお二人ならでは。どんなにすごいアクションでも、この二人なら当然できるでしょとばかりに、コメディ感覚でサクッと過ぎてしまうこのライト感覚!こんな際どいアクションなのに、爆笑してしまうなんて!!!他の役者さんなら緊張感あふれる見せ場なのに!
 二人の関係も、ベタベタのロマンスでもいい展開なのに、二人が一線を画している感じが、一気にラストを爽快にしている。

若さだけで暴走する物語でもなりたつ主筋だけど、
ある程度のことをやり続けた・成し遂げて、世間から認められ、自分自身もこういう”自分”というものを持っている大人が、自分の殻を破るときの戸惑い。
それを見事に表現してくれたトム様とキャメロンさんにトロフィ進呈したい。

大好きな映画です。

とみいじょん