「テンポのいい会話とユーモアと。名手ホーンビィの脚色力が光る秀作」17歳の肖像 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
テンポのいい会話とユーモアと。名手ホーンビィの脚色力が光る秀作
ニック・ホーンビィが、有名ジャーナリストの自伝記事を脚色して織り上げた珠玉の名作。ホーンビィはもともと脚本家を目指していたこともあり、こういった脚色の構成が本当にうまいし、そこに散りばめられる会話のリズムとユーモアには、いわゆるホーンンビィ節が満載だ。ちなみに彼が原作の「アバウト・ア・ボーイ」や「ハイ・フィデリティ」も、映画版では大幅に脚色されている。彼自身、小説から映画への変貌過程を心から理解し楽しんでいるようだ。
原題でもある「An Education」。これに象徴されるように、若きヒロインは自分を別世界へ連れて行ってくれる男性からの教育を楽しみつつも、やがて手痛い人生勉強に苦悶する。ただしここからが本領発揮だ。挫折して初めて「なぜ教育が必要なのか」「学校は何のためにあるのか」「教師の役割は何なのか」がわかる。説教くさくない形でこれらを爽やかに物語におりまぜた手腕とその演技に脱帽だ。
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