「勇気ある少女」トゥルー・グリット 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
勇気ある少女
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ジョン・ウェインがオスカーに輝いた傑作西部劇「勇気ある追跡」を、コーエン兄弟がリメイク。
どんな変化球になるのかと思いきや、直球西部劇。
ある意味、変化球だ。
登場人物は一癖も二癖もあって、コーエン兄弟らしい。
マティを大人顔負けの強かな少女として描いた点が面白い。彼女目線で語られるのがオリジナルとの違い。演じるヘイリー・スタインフェルドが見事な新星!
呂律が回らないほどの酒浸りだけど、いざという時は頼れる保安官ルースター。ジョン・ウェイン以上に人間臭く、ジェフ・ブリッジスが巧演。
ジョシュ・ブローリン演じる父の仇チェイニーもどんな極悪な奴かと思ったら、どこか情けない。
これまでユニークな人物を描いてきたコーエン兄弟ならではの人物描写が光る。
父を殺された少女が、飲んだくれの保安官と共に、復讐の旅に出るストーリー。
西部劇の王道話だが、その根底に、父娘のドラマが見え隠れする。
父を殺されたマティは、ルースターにどことなく、父の面影を見てたのではなかろうか。そうだと、後日談の行動に納得がいく。
ルースターはマティの旅に同行した目的は賞金だったかもしれないが、ラスト、マティが蛇に噛まれた時、馬を走らせ、自ら抱えて、懸命に救おうとする姿は、娘の安否を気遣う父以外の何者でもない。
西部劇の王道ストーリーの中に、丁寧なドラマを演出する。
ロジャー・ディーキンスによる映像とカーター・パウエルによる音楽が、失われた大西部への郷愁をかき立てる。
コーエン兄弟が現代に蘇らした、懐かしくも新しい西部劇。
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