月に囚われた男のレビュー・感想・評価
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原題の「MOON」で良かったと思うのは僕だけか?
予告とパッケージを見る限り、これが面白くないはずがない!と思っていた。実際見てみると、期待以上のドラマや面白みがあったわけではないが、おそらく低予算であると思えるが、「アイアンマン2」で見た小物感(いい意味)とはだいぶ違い、サム・ロックウェルの演技が素晴らしく、とても可愛く、楽しめた。クローン作っても交代制で働くのはたった1人とか、モデルの記憶を反映させるのがクローンのモチベーションを上げる以外に理由が無く、逆に効率悪くないかな?などという突っ込みは多々あった。
愛する家族が居る、待っている誰かがいる。そんな幻想が打ち砕かれ帰る理由を無くしても、地球に帰りたいと強く願う主人公の姿には涙なくして、といった感じだ。月の裏側に一人ぼっち。孤独に孤独が重なり、そりゃおかしくなってしまうのも無理はない。それでも、主人公の最後には、自然とあたたかみが感じられた。それは「自分」との友情が主人公の絶望の淵から、救ってくれたからだ。この映画は、可視化した自分の成長と変化を客観的に見える作品だ。何かは何かに優しくなれる。それはクローンだってロボットだって同じこと。プログラムされた愛から逸脱し、他人のために自己を尽くす、自然に愛が徐々に芽生えてくる。そう考えると、この作品の突っ込み所なども、愛おしささえ覚えてくるほどだ。序盤の主人公が見る幻影が、明らかにホラー的に描いていたりと、こういう変わった作品を覗いてみることも、映画の楽しみのひとつと言えるだろう。
未来の無い繭、その名は「月」。
デイヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの監督デビュー作。だがそのネーム・バリューに頼ることなく、斬新なプロットと確かな演出力で、娯楽の域を出ないSFを大人の鑑賞に堪えうる人間ドラマに仕立てた。貴重なエネルギー源である“ヘリウム3”を月面から採掘し、地球に送る任務を3年契約でたった1人で従事している主人公サム。この時点で現代におけるエネルギー問題を提議し、さらに企業による独占や不正行為にまで発展する。だからといって社会性が強いお堅い作品ではない。監督が子供の頃に観た『惑星ソラリス』『ブレードランナー』など、哲学的な名作SFにオマージュを捧げ、人間の存在価値に迫ったドラマでありつつ、サスペンスフルな物語展開で観客をグイグイ引きこむ。 ある日目覚めると、自分と同じ顔の男がいる!1人2役(3役)を務めるロックウェルの熱演が見事。たった1人の生活を始めたばかりの男と、3年間孤独な生活を送って来た男の演じ分けが物語のキーとなる。短気な男と角の取れた男、生きることに前向きな男と死を覚悟した男。それら内面的なこともさることながら、服装などのディテールにもこだわり、様々に伏線が張られている。緊張感と閉塞感にさいなまれながらも、登場する男たち(?)が徐々に信頼関係を結ぶことに驚く。殊に人口知能コンピューター、ガーティ(声:ケヴィン・スペイシー)の存在は注目に値する。『2001年宇宙の旅』のHALを想起させるが、ガーティは反乱を起こしたりせず、「『サム』を手助けする」という最優先のプログラムを忠実に守る。この男たち(?)の強い結びつきが最終的に希望へと繋がるのだ。衝撃の事実が判明すると無機質な船内に絶望感が漂う。そこは「作られた記憶」で覆われた未来の無い繭だ。果たしてその繭を破って地球へ(未来へ)生還できるだろうか?
未来にはありそうな話。
ダンカン・ジョーンズ監督のデビュー作品。
この後撮った『ミッション:8ミニッツ』が面白そうで、観たかったが劇場に行きそびれてしまった。
これは、たった一人月で生活する男の物語。ネタとしてはよくある話で
例えば『私を離さないで』のようなものだが、前半の生活ぶりを描いたところから後半のミステリアスな展開になっていくところは面白い。
将来はこういった派遣社員が出てくるような気がする。その意味では未来を読んだストーリーとも云える。
初監督作品としたら良く出来た作品と思う。
下手なSF物よりは見応えあり。
どこか温かく物悲しい余韻にひたる
月でたった1人、3年間の任務を任された主人公。あと2週間でやっと任務は終わり地球に帰れる。しかしその矢先事故に会い、目覚めると自分そっくりなもう一人の人間が基地に現れて…
というお話。月基地という密室で、登場人物はほぼ主人公のみ。自分は幻覚を見てるのか?いや違う、自分そっくりに作られたもう1人の人間、そして自分はオリジナルなのか?それとも自分もそっくりに作られた人間なのか…?
ストーリーが進むにしたがって、徐々にそんな疑問がわいてくる。そんな男の戸惑い、驚き、悲しみ…サム・ロックウェルの1人3役の演技がみもの。
そしてそんな孤独な主人公を支える基地の人工知能コンピュータ、ガーティ。その声をケビン・スペイシーが演じてます。まろやかな魅力的な声で、時に冷たく時に温かく、不思議な存在感で主人公を見守るガーティがいい感じです。
夜静かに1人で観たい映画。観終わったあと、何ともいえない温かさ、寂しさ、悲しみのようなものが胸に残る不思議な映画でした。
シンプルだけど
シンプルな舞台。少なすぎる登場人物。
よくここまで濃い内容にできたなぁと感心しました。
物哀しい、さみしい雰囲気が本当にうまく伝わってきます。
観終わった後も哀しい気分でした。笑
例のコンピューター。なんて良い子なんでしょう。
ただそこが納得できなかったところでもあって、
彼?の存在がご都合主義な感じに思えました。感情豊かすぎて。
『任務を遂行しなきゃいけないけど、それをすると
この人が可哀そう。逃げるの協力してあげよう』
↑おっさんでも入っているのかと。
でもまあ彼がそう言う行動にでないと話が進まなかったなら
仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません。
今作に囚われた女。
名画座にて。
まったく予想だにしていなかった本作の素晴らしさ。
こういうのを観られて本当に嬉しい。名画座サマサマv
D・ボウイの息子D・ジョーンズが挑んだ初の長編作品は
驚くほどの低予算ながら(500万ドル以下)センスが光る。
父上は音楽界で多大なセンスに溢れる功績を残したが、
その息子は映画界で未知なるセンスを披露してくれた。
こういう才能って、やはり継承されるのかな^^;
いわゆるクセモノ俳優(誉めてますv)S・ロックウェルの
ひとり芝居と聞いたら、よっぽど変っているか、理解に
苦しむ難解なSFスリラーを想像させるが、本作は違う。
冒頭こそ、アレ?なんだろう…と思う幻覚映像が出るが、
根本に横たわるテーマは最後までまったく変わらない。
怖いといえば、確かに怖い。そしてとても悲しい。
でも近未来(でなくても)こういう結果をもたらす事件が
起こらない保証があるだろうか。自分が彼の立場なら、
真実が分かった瞬間、気が狂ってしまいそうだ。。
自分という存在のすべてが覆されてしまいそうで怖い。
S・ロックウェルは完璧なミッションを今作でこなしている。
彼がこんな普通の人間を演じられるなんて(誉めてます)
私は彼のどこを見ていたんだと思うくらい巧い。何度も
泣きそうになった。彼の真実が段々明るみに出るにつれ、
このタイトルの意味が深く胸に突き刺さる。囚われた男…
更にHALを連想させる人工知能コンピュータ・ガーティを
声で演じたK・スペイシーの素晴らしさ。主人公と二人で
月での任務をプログラム通りに進めていく役どころの彼。
まったく澱みのない思考能力に長けた彼が、最後に選ぶ
あの決断…。これにも泣けた。なんなんだ、この映画!
恐ろしいまでの愛と意外性に彩られた秀作だと思う。
そりゃ新人賞も獲るだろうな~と納得至極。
様々な場面でサムが見せる表情、動き、喋り方までが
三年という月日を見事に語っているところに注目しつつ、
その現実に屈せず闘いぬいた彼ら(!)に拍手を贈りたい。
(すっかりこの作品に囚われてしまった。か…帰れない!?)
DVDが出たら買う
ストーリーも設定も出演者もよかった
文句をつけるところがない!
予告編以上の本編だったし(最近は予告編のネタバレがひどくて予告編以下の本編のやつあるよね)、観た後も気持ちがよい
SF好きとかじゃないので細かいこととかわからないけど、すごくおもしろかった
よかったよ。
物語がよかったのもあるけれど、それよりも感じとられるメッセージ性のようなものが印象に残った。
共通のオリジナルを元にし同じ記憶をもちながらも、まったく別々の個性をもつ2人のクローン。
責務よりも感情を選んだ人工知能をもつコンピュータ。
地球の未来、技術の進歩、クローンの人権、変わらない人間。
こうあってほしい未来とこうあってほしくない未来が感じられた。
自分も少し考えさせられた。
もっと絶望的で後味の悪いものを想像していたのでラストは個人的には少し残念なところがあったけれど、登場人物の性格や作品のテーマを考えると納得できる気がする。
雰囲気良しだが、ラストは…
基地内の美術などが70年代風の懐かしいSFを思い出させてたまらない。人ひとりと話し相手のコンピュータというところで『2001年宇宙の旅』も彷彿。
クローンであることは結構早めに分かってしまって(だいたい予想してたけど)、その後の展開がやや長くも感じたけれど、こういう低予算&ローテクなSFは久しく見ていなかったので、それだけでもSF好きとしては楽しめる一作。
……が、ラストがどうにも腑に落ちない。現代社会を痛快に皮肉ったのかもしれないが、雰囲気をかなりぶち壊した感があり。もっと絶望的なラストのほうが似合ったんじゃないかと思う。そこまで深遠だったものが、一気に現実的になってしまってやや興醒め。
話し相手のロボット・ガーティが泣ける……。
低予算で作られているので、主な舞台は月面基地内で、登場人物もたった一人で採掘管理業務に従事してる主人公のサムだけ。
特撮も昔ながらのミニチュア模型を使ったものだし(一部CGも使ってるらしい)、基地内部や月面作業車、話し相手のロボットなどの造形デザインも70、80年代のSF映画を彷彿させる。(これは監督が意図的にオマージュしたという)
しかし、安っぽさは感じない。映像的には過去のB級SF作品に見劣りしないか!?
3年の契約期間を終え、妻子の待つ地球へ帰還する直前のサムは作業中事故を起こしてしまう。基地内の医療ベッドで目覚めたサムは、以来幻影に悩まされる。自分以外の人間は、ここにいるはずはないのに…。
サム役のサム・ロックウェルのほとんど一人芝居の演技が見事。
それに「2001宇宙の旅」のコンピューター・HALを反面教師にし、ロボット三原則に忠実な話し相手のロボット・ガーティが泣ける…。
(以下、ネタバレあり)
…低予算のため、舞台を月面基地内にし、登場人物も宇宙飛行士一人だけにしてる。
そういう制約の中で、主人公に一人二役をさせながら、うまく物語を作り上げていると思う。(一人二役の場面は、画面を半分にして、後でつなぐ昔の撮影方法のように見えるが、わざとそう見せているのであって、実は最新のコンピューター処理をしてるのはではないかとも思う)
サムが医療ベッドで目覚めてからの異常は…もしかしたら、事故にあったサムが、閉じ込められたまま見ている夢なのでは?と予想した。
死の間際の人間は、自分とそっくり分身を目撃するという。(これはドッペルガー現象といわれる)
最初はわざと、サムの見ている幻想のように思わせていたのでは?
終盤で、クローンだったと種明かしするけど、その後も三人のクローンの役割分担で、ほろっとさせる。
2番目のサムが事故で負傷し死にかけてる1番目を地球へ帰還させようとするのを、もう長くないと悟った1番目が死体として事故現場に戻ることを申し出て、2番目を帰還させ、これから目覚める3番目(死体役にするつもりだった)の命も助けるなど、はじめは対立していたのが、最後には同士として譲り合うところは泣けた。
サム役のサム・ロックウェルの一人二役の演技もうまい。
う~ん…、といった感じ。
全体を流れる雰囲気とかはすごく好きな感じで、途中まではかなり惹き込まれて観ていました。
それがクローンの件になって一気に興醒め、というか意味がわかりません。
・何故、ガーディーはあんなにサムに肩入れするのか?
・事故前、事故直前のあの幻覚はなに?
・1stサムがどんどん体調悪くなっていくのは何故?
・1stサムは抜けた歯を見てなにを悟ったの?
・2ndサムは何故1stサムを探しに行ったのか。
この辺が腑に落ちれば、かなり好きな作品になったかも知れません。
あ、後は終わり方がイマイチだったかなと。
過去の作品へのオマージュ的映画として観れば良かったのでしょうか?
わたしはSF映画は好きですが、マニアではありません…。
本格派SF映画として観れば良かったのでしょうか。
色々とレビューを観ていると月面での描写等、どうも本格派という感じでもなさそうです。
わたしは、このクローンの件で「プレステージ」を思い出してしまいました。
確かお父さん出てましたよね?
「地球に落ちて来た男」は観たことないです。
「銀河ヒッチハイクガイド」繋がり&監督の長編デビュー作繋がり(?)の「500日のサマー」がすごく良かったので、変な期待の仕方ですがかなり期待していただけに、なんだかガッカリです。
サム・ロックウェルは非常に良かったです。
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