劇場公開日 2010年5月22日

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「春との旅 -」春との旅 bigsea1986さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0春との旅 -

2010年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

忠男の孫娘、春のなにげない一言が、思いがけずも忠男にひとつの決断をさせることになる。

そして、春との旅ははじまってゆく。会うことも久しい、親戚たちを巡る旅。

忠男にとって、春との旅は、自分自身へのけじめを付ける旅だったのだろう。

一方、春にとっては、なにげない一言で忠夫を思い詰めさせてしまった罪悪感をぬぐえないまま、戸惑いつつも忠男に寄り添い旅を続けてゆく。そして春自身にとっても、いつしかそれは自分自身へのけじめを付ける旅になっていく。

老いた男にとっても、人生これからの孫娘にとっても、自分自身が次のステップに”成長”していく上で、お互いそれぞれにとって大切な旅に違いなかったであろう。厳しいのであるが、それはまた致し方ないことなのだ。それが人生なのだから。

人生の終演をどうやって迎えられるのか?送り出してあげられるのか?という家族にとっては厳しくとも避けられないテーマについて、丁寧に掘り下げられた良作だと思う。偏屈で頑固な老漁師を演じる仲代達也さんの迫力満載の演技や、取り巻く実力派役者さん達の演技もさることながら、孫娘、春を演じる徳永えりさんの感情のこもった熱演が秀逸!!後半にかけてのクライマックスは前半の抑揚をさらに増幅させるかのような感覚で、親の立場・子供の立場、いろんな立場で感情移入できるステキな映画ではないかと思う。

精一杯の愛情で「づっとそばにいるからね」という、春の心境を察すると、あまりにも切なくなってしまう。でも、そうやって経験して人は強くなっていくのだ。

bigsea1986