劇場公開日 2010年2月13日

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ゲキ×シネ「蜉蝣峠」 : インタビュー

2010年2月8日更新

劇団☆新感線の中でもドラマ性に重きを置く“いのうえ歌舞伎シリーズ”。09年春、脚本に宮藤官九郎を迎え、“壊<PUNK>”というキャッチフレーズのもと上演されたのが、新感覚時代劇「蜉蝣峠」だ。今回は、同作が新感線の舞台劇を映画館で上映する「ゲキ×シネ」として、スクリーンで再び幕を開ける。新感線の看板役者であり、主人公の“過去がない男”闇太郎を演じた古田新太に、新感線の楽しみ方などを聞いた。(取材・文:平井万里子)

古田新太 インタビュー
「頭の悪い演劇もあるってことが分かると思う」

映画やドラマでも幅広く活躍する、新感線の看板俳優の素顔とは?
映画やドラマでも幅広く活躍する、新感線の看板俳優の素顔とは?

舞台の序盤は、宮藤の真骨頂でもあるシュールなギャグと下ネタのつるべうち。古田いわく「中学生のガキみたいな」コント的展開だが、後半は、記憶をなくした主人公の“闇”が次第に明かされ、物語はシリアスさを増していく。「稽古が始まる前は闇太郎のバックボーンが見えず、履歴書的にはつかみにくい役でした。でも、闇太郎って分からないからついてきちゃうとか、そこに入っちゃうという能動的な男なんだと気づいてからは、ラストの行動の理由が自分の中で明確になっていきました」

取材中も楽しませてくれた古田
取材中も楽しませてくれた古田

自身の過去と対峙した闇太郎が、堤真一扮する天晴と繰り広げる15分にも及ぶ大立ち回りは圧巻だ。

「つっつん(堤)とは立ち回りの距離が似てるので、とても楽なんです。ただ、今回は相手が日本刀、僕は下駄で戦う設定。殴って、刀を避けるのに倍逃げないといけないから大変でしたね。舞台なので当然撮り直しもカット割もなし。この15分間、僕ら水飲んでません!みたいな(笑)」

過酷な大立ち回りを毎日こなす中、パワーの源となったのは、堤や高岡早紀ら共演者たちと毎晩飲む酒。古田は「酒は稽古してれば抜ける。舞台の良いところは、いくら汗かいてもいいこと」と、豪快に笑う。「一度、下北沢で早紀ちゃんと手つないで『高岡と古田、ここにいます!』と叫びながら歩いたけど、フライデーされなかったなぁ。オイラ、ニュースソースとしてそんなに弱いのか?(笑)」

同作は「ゲキ×シネ」シリーズとして実に7作目だが、古田は「新感線初心者にも、とっつきやすい作品」と胸を張る。

「演劇って、敷居が高くて難しくて暗いって思われがちだけど、頭の悪い演劇もあるってことが分かるかと。急に踊り出すバカバカしさとか、笑っていいんですよ。『ライオンキング』だって、お母さんは感動して泣いてるけど、子どもは笑ってる。そういう見方でいい。『蜉蝣峠』は脚本も親しみやすいし、心情吐露のセリフがアップに耐えうる映像向きの作品だと思います。舞台上で休んでるときにカメラで抜くのだけはカンベンしてほしいけど。今度から先にカット割見せてもらわないとなぁ(笑)」

バカバカしさも笑い飛ばして楽しんで!
バカバカしさも笑い飛ばして楽しんで!

TVでは突飛なキャラを演じることも多い古田だが、意外にも表情を変えず、力を抜いているという。舞台でテンションがあがるのはどんなときなのか。

「『いま、相手と感情が一致したな』とか『ものすごく集中できたな』と思える瞬間があるんですよ。そういうとき『芝居っておもしれぇな!』ってテンションあがりますね。とはいえ、僕はオモシロ劇団出身なので、役に入り込むことがない。ツッコミ、ボケ、トーン……全部決めて演じないと笑いがとれないから、俯瞰で見るクセがある。で、仕込んでたオチ、ツッコミ、笑ってる客をシーンとさせる“引き芸”がピタッとはまったときは、『オレはいま完全にこの劇場を掌握した!』と思う(笑)」

真摯な芝居論の合間に挟み込まれる強烈なボケとオチに、インタビュー中は終始笑いが絶えない。そう、古田はこの日も完全に取材現場を“掌握”していた。

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