悪人のレビュー・感想・評価
全63件中、61~63件目を表示
触発
妻夫木さんのこの映画に対する思いを聞き、それに魅かれ観に行ったが、
運びはわりと単純で、胸が詰まるような場面はなかった。
髪を金髪に染め懸命の役作りは感じるが、綺麗な暗い目は悪人を
演じるにはマイナス要因になり、祐一の生い立ちからすると
もっと粗野な立ち振る舞いがあるはずなのに動きが下品ではなく、
後半も逃亡しているという汚れが感じられず残念だ。
しかし彼のイメージとは違う作品を自らチョイスし演じた事は、今後の
妻夫木さんに期待大です。
深津絵里さんはいいね。最初は燃えるような激しい感情を持った女には
見えないけれど、どんどん辛い恋にのめり込んでいく様が
よく表現されていた。彼女も光代を演じることで女優としてある部分
脱皮したのではと思う。ドロドロの涙も激しいラブシーンも納得です。
脇役のふたり、樹木希林、柄本明さんは満点。深い役作りに感心です。
こうした方々の出演で重みのある映画として成り立っていくのだなと
感じました。
悪人とは何かを問う映画でしたが、日常の中で何時自身が被害者になるか
また加害者にかわるか又その家族になるかは紙一重ですね。
若い2人のチャレンジに触発される映画でした。
やるせなく、切ない。
老いた祖父母の世話に、過酷な肉体労働。
癒えるのことのない、そんな変化のない片田舎の日常。
出会い系サイトで知り合った、若い娘の暴言にキレて、殺人を犯してしまう祐一。
自分をわかって欲しいと願い、
自分を受け入れてくれる人を探した。
他人の我儘はたいてい受け入れてしまうほど、優しい人間だ。
そんな人間が、殺人を犯してしまう。
世の中の不条理。
人を、外見で判断してしまうこと。
お金持ちか貧乏人かで判断してしまうこと。
祐一の場合にも、母親の存在の軽さがある。
自己中心的。
子供よりも自分だけ。
母親の愛って、無償のかけがいのないものだと思うけど、最近はそうでもない事件が多い。
バスの運転手さん、良かったなぁ。
親戚の矢島憲夫も良かったなぁ。
良い人もいれば、年寄りのナケナシのお金を奪う悪徳商法の悪い連中もいる。
相手次第で、善人にも悪人にもなってしまう。
裏表のある人間。
善悪合わせ持つ人間の妙。
苦しみや喜び、悲しみ、絶望、人恋しさ、いろいろな感情を、深く描いた作品。
「大切な人は、おるとね?!」
「殺人を犯した者は、本当に悪人だったのか」
「生きているんか、死んでるんか、わからんかった」
もう以前のような孤独には戻りたくない、そう願う祐一と光代。
妻夫木君の目の悲しみや憤り。
深津さんのくたびれた感、やるせなさ、情熱。
岡田君のイヤらしい身勝手さ。
柄本さんの娘を想う気持ちの強い頑固な親父。
この作品を見て、≪殺される理由≫について、考えてしまった。
その先の生き方こそ…
「失うものがないと強がって、求める姿を笑う」娘を殺された父親の言葉。
悪人じゃない普通に頑張っている人が虐げられている場面が盛り沢山。共感できる。
でも、虐げられているように演出されているが、そう感じること自体が悪人への入り口な気がする。
被害者になるなっ!! 劇中繰り返し心中叫んだ。
光代は愛を与えたのか? 狭い世界感が原因で愛を求めただけじゃないのか?
愛を直情的に貪った後に「世間的には悪人…。」と気づいて、
その先の生き方を観客に求める。
器用になる必要は無い。
全63件中、61~63件目を表示