悪人のレビュー・感想・評価
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何が悪いか、誰が悪人かを考えるきっかけに・・・
孤独、出会い系サイト、殺人、詐欺、家族、友人・・・現実に在りうる事件の裏側に迫っていたと思う。もしかしたら、出演者全員が、ある意味”悪人では?”とも思えた。
なぜなら、原因があって結果に繋がるから。そういった点では、大人の社会の中での「自分さえ良ければの精神」が、一番の悪かな。(子育て放棄も詐欺も出会い系も報道人も、よせよと言えない友人も)
なぜ殺したのか?→殺したくなるほど、悔しかったかもしれないが、罪を犯して、家族も一生引きずる行為だけは、すべきでなかったね。
幼少時から孤独な人生だった祐一に、光代は 真の大切な人だった。もっと早くに出会いたかっただろう。光代と出会うまでは、愛おしいと思える人が祐一にはいなかった。彼が、光代を大切な人と思えたから、あの最後のシーンになったのですよね。彼女が待たないように。
これは、殺人がいかに人の一生を(それは、家族、知人も含め)変えてしまうかも教えてくれている。
なぜ愛したのか? それは、祐一の心をときほぐすのに、光代が必要だった。
出会い系サイトで、大切な人に出会えるだろうか?
偽らないこと、正直なお互いを認められることこそが、本当の出会いの始まりと思える。
深く、重い・・・
受賞をきっかけに鑑賞しましたが・・・
あまりにもリアルで、孤独、弱さ、ずるさ、闇を多く感じすぎ、心身ともに困憊してしまいました。
ここまで、感情を揺さぶられる作品にはあまり出会わないので、映画としては素晴らしいと思います。
観賞後の立ち直りに時間をようしたので☆3つにさせてもらいました。
主役の二人はもとより、とりまくキャストの演技も圧巻でした。
孤独
登場人物すべてに何か心の中が満たされていない孤独を感じました。
「本当の悪人は誰か」まさに考えさせられます。
この映画は作り手の押しつけが無く、見た者が自分自身で考えられる作品でした。
日常起きている事件にも見えない孤独が隠れているのだろうと考えさせられました。
とても心に響きました。
意外と身近な事件かも
ネタバレなしで観にいったけど、最初から分かり易い展開で進んでいき逆にはまりやすかったかも・・・
ただ一つだけ最後の最後に疑問が~
殺人現場の端の鉄柱にくくりつけてあった【スカーフ】
あれは・・・おばあちゃんが貰ったスカーフじゃなかったですか?
なら、何故あそこにくくりつけてある?
見間違いかもしれませんが、気になりだしたら・・・
深津絵里は思ったより悪人かな
映画賞を獲得しなければ見なかった作品だと思います。妻夫木聡は大人しい今時の青年の一面を表していたが、深津絵里はこの男が相手なので悪人になってしまったが、普通なら付き合わないか、無視してしまうと思う。題名の『悪人』も妻夫木さんの事を指しているのではなく、深津さんのことを言っている気がする映画だった。面白い映画だったけど、なんでそんなに絶賛されたか不思議。深津さんの演技は素晴らしいし奇麗とは思うけど。
共感できる
すべての登場人物の行動が理解でき、また何故そういうを行動、思いになるのか考えさせられる。そんな作品でした。
出会い系で出会った人物が深くつながり合う。一見ありえない展開であるようだが、人と人は出会った瞬間にその人物がどのような人かわかる部分がある。波長と合う部分というか、上手く表現できませんが…。
10年一緒に居てもわかり合う事ができない事もあるし、瞬間的に、普段自分の隠している感情の部分を理解し合い、通じ合う事もある。そんな事をこの作品を通じて、あらためて確認しました。
そう考えるとラストは必然だと思います。
役者も一人一人がベストもしくはベストに近い演技を見せています。特に樹木希林。魚を捌く姿や、米をとぐ姿、何気ない動きひとつからも目を離す事ができない圧巻の演技でした。
またほんのチョイ役ですが、余貴美子も良かった。この女優は本当に出演作品の空気感をそぐ事なくいい演技をみせてくれます。
そして、妻夫木聡。役の上で顔が良すぎという感想もありますが、自分の地元(北海道)にもああいうタイプの友人がいます。顔の肌荒れ具合や唇のカサカサ感、似合っていない金髪をはじめとする外形の役作りももちろん、将来への閉塞感も上手く表現していたと思います。
個人的にはいくつかいらないエピソードがあったのと、頑張っていたけどセックスシーンにもの足りなさが残りました。特にこの2人にとってセックスシーンって重要だと思うんですよね。一回目と二回目で感情の変化を感じる事ができましたが、いろいろな理由はあれども、出会い系で出会った二人な訳ですから上半身だけで無く、全身から沸き出す感情と欲の交わりを感じさせる演出をして欲しかったです。
好き嫌いはあるかもしれませんが、万人にオススメしたい良作です。
どちらかというと、妻夫木聡の方が
予告編は何度も見ましたが、モントリオールで深津絵里が最優秀助演賞をとっていなかったら見なかったかもしれない作品。でも、『フラガール』の李監督だから気にはなったかも。
作品のトーンは『フラガール』のような明るさ、脳天気さが全然なくて、終始暗くてじめっとした感じ。作っている側の意図はわかりませんが、舞台となっている地方都市のさびれた感じと相まって、画面全体に虚しさが漂っています。ストーリー的にも、登場人物が誰ひとりとして幸せにならない展開なので、演出としては徹底しています。
賞をとったのは深津絵里ですが、もともとすごく上手な女優さんなので、『悪人』での演技が彼女のキャリアの中で特別よかったようには思いません。いつもと同じようによかった、という印象でした。私が彼女に一目置くようになったのは1996年の『(ハル)』からですが、この作品でも、日々をけなげに過ごしているけど何か虚しいという女性を見事に演じていました。
どちらかというと、妻夫木聡の方が『悪人』のために役を作りこんで、他の作品での彼とは違う姿を見せていたように思えます。
にもかかわらず星3つなのはなぜだろう?たぶん、この手の路線の映画としては完成度が高いけど、私自身はこの路線がそれほど好きではないからかな。
また、タイトルは『悪人』ですが、妻夫木聡演じる主人公は、それほど悪い人に思えませんでした。もちろん殺人を犯してしまうのですから良い人ではありませんが、積極的に悪の道を突き進む人ではなく、人生に対して消極的でネガティブで、弱くて虚しい人だと思いました。『弱人』、『虚人』とかね。
それでも人は「お前は悪くない」と言うんだ
字数制限がキツいので急ぎ足でレビューする。
役者陣の演技が光る力作であった。柄本明と樹木希林の演技は流石に群を抜いているが、主演の2人も素晴らしい。
主人公・祐一を演じた妻夫木聡は、自己表現が下手な人間らしい飛び飛びの語り口、喜びと後悔が入り雑じるラストの表情が見事。
深津絵里演じる光代の憂いを帯びた笑顔にも、彼女の度を越えた“わがまま”を納得させてしまう空しさがある。
光代が同じ孤独の匂いのする祐一に惹かれたのは確かだが、彼が空しい日常を破壊してくれる『手段』だったという身勝手な側面も忘れてはならない。
彼女が彼に抱いていたのは愛情の二文字で括れるほど綺麗な感情ではない。最後の「私が悪いの」という叫びも、祐一を利用した卑劣な自分を責めていたが故か。
対する祐一は、光代が『人殺しを助けた女』ではなく、飽くまで憐れな被害者として社会に戻れるよう——自分を救ってくれた大切な人が平穏な生活に戻れるよう、徹底して“悪人”となる事を選んだのだろう。
『お前は悪くない/俺が全部悪い』
それが彼の行動の真意であり、「私が悪いの」という言葉に対する返答だったのだと思う。
様々な人物が「お前は悪くない」という言葉を口にした。
図らずも殺人を犯した男へ。
身勝手な理由で彼を逃がした女へ。
人殺しを育てたと糾弾される老婆へ。
利己的な性格がたたって殺された娘へ。
しかし「お前は悪くない」と言った誰しも、彼らが少しも悪くなかった、全く落ち度が無かったとは考えていない筈だ。
だけど、それでも「お前は悪くない」と人は言うんだよ。大切な人や辛い思いをしている人が背負った罪を、苦悩を、少しでも軽くしてあげたい、できることならまるごと背負ってやりたいと願うものなんだ。
岡田将生演じる大学生の男は正にその対極だ。
罪悪感こそ抱いていても、それとまともに向き合う勇気もなく、笑いのタネにする事で安心感を得ようとする人間。
自分の罪を贖う手段も知らない彼は、いつしか自分の罪を忘れてしまうのか。それともそのひきつった笑いで恐怖を押し隠し、惨めに生き続けるのか。
彼の最後の姿に最早怒りは湧かない。ただひたすら、憐れなだけだ。
こんな悲しい人間が世に溢れているとは考えたくないが、近頃、巷で話題の裁判のニュースでこれと良く似た男を見掛ける。興味本位の報道によってそう見えているだけだろうか。
何にせよ、悲しい世の中だ。
<2010/9/3鑑賞>
とても深津さんがいい映画
ほんとに原作に沿って脚本化されたって感じでした。
でもちょっと佳乃の生活背景の説明・描写が少ないので、彼女かわいさだけ印象に残ってしまった。
深津絵里は文句なしGOODでした
それと裕一の母親へのお金の無心についての告白って何故、削ったのでしょうかね・・・
誰が主役かわかりにくい・・・
一言で言って「詰め込みすぎ」です。
感情移入し始めると他のシーンへ飛び「あ~ぁ」という感じ。
一人一人の掘り下げが足りず、全ての登場人物に対して消化不足。
誰かに焦点を合わせてしまった方が、観る者に訴える作品になったでしょう。
と残念な気持ちでエンドロールを観ていたら、脚本に原作者が入っていたんですね。
それで納得しました。
どのシーンも思い入れが強いために起こる問題ですね。
衝撃的!
すごい衝撃的です。犯人と一緒に逃げる女、犯人とその家族、被害者とその父親、犯人と疑われた男と被害者の父親…。片方からの見方だけでなく、様々な視点から一つの事件を見ていてとてもおもしろかったです。とても重厚でした。 そして、役者がすごかった!樹木希林さんと柄本明さんの存在感はホントにすごい!二人の演技は泣けました。 これは見なきゃ絶対ダメです!
脚本が映画的ではない
脚本を担当しているのは原作者と監督だがこれがよくない。小説なら色々なところに寄り道をしながら主人公たちにフォーカスするのはありなのだが、映画では最初からフォーカスさせるべき。時間は短くても満島ひかりではなく深津絵里からはじめないとだめだ(おそらく監督が深津ではなく満島に惚れたんだろうね)。時系列通りにやっただけというかもしれないが、それなら殺人場面を飛ばすなんて論外だ。このせいで大学生が逃げている理由や祐一が最初に疑われない理由がよく分からない(作業用の手袋を使ったので指紋が出ない等)。むしろ満島はフラッシュバックとして何度も登場させるべきだろう。
全体を見ても小説家がこうすればいい画になると考えそうな場面が多く、さほど効果的ではない。やはり本職を雇うべきだった。それでも最近の説明過多のテレビ局映画よりはましなのだが、それだけでは寂しいではないか。
妻夫木聡と深津絵里は悪くないが、深津が妻夫木にひかれる描写は弱い(脚本家は主人公たちだから関係をもって当然と思ってるのか?)。物語に厚みを出すための脇役のエピソードもパッとしなくて、話が立体的にならない。もっと良くなる可能性はあっただろうが中途半端に終わった一本。
守りたい誰か、あなたはいますか?
原作ファンで、映画化と聞いた時、
祐一と光代が、妻夫木と深津と知って、
読んだ時とのイメージが違ってしまい、
どうかな・・と思ってましたが、観たら払拭。
ホントによかった。
二人とも主人公になってましたよ。
妻夫木の暗い目や、光代との最初のベットシーンでの
獲物を狙うような目は、祐一そのものでした。
深津の不安ながら、祐一に抱かれるシーンや
葛藤しているところも、よかった。
また、他の主要演者も最高でした。
柄本、樹木はもちろんですが、
貪欲な佳乃役の満島も、なかなかよかったし、
最後まで救いようの無かった大学生の増尾。
演じる岡田の笑顔が憎憎しく思えちゃいました。
残念なのは、逮捕後の光代への祐一の気持ち。
それから、なぜ捨てた母親と会っている時に
金を無心していたのかを描いてくれれば、
祐一という人間が更に解ると思うのですが。
せっかく原作にあるのに残念。
ですが、個人的には満足です。
1800円、妥当だと思います。
生き方とか、大切な人とかいろいろ考えさせられる。
大切な人がいて、生きることの価値って生まれてくるのかな。誰も悪人ではなくて、環境がそうさせていて、その環境ではそういう生き方しかできなくなってしまうのか。でも、生まれ育った環境に身を投じるのか、別の環境に飛び出す努力をするのかは結局本人次第。
かなり期待しましたが
受賞したということで、原作を読み、本日劇場で見てきました。当然ですが、原作を完全に映画にするということで無いようで、細かいところで違いがありました。主役の二人より、きりんさんの演技がよかったです。すごいな~と感心しながら見ました。とくにバスから降りた所と、金を取り返しにいくところは圧巻です。見て損は無いけど過大な期待はどうでしょうという感じです。悪人というくくりでいえば、報道陣こそ悪人だと思います。善人の仮面を被っている彼らの仕事はなんなんでしょうね。報道商売という名の下に造られる多くの被害者が犯罪被害者以上の数にのぼると思います。「自分たちこそ正義であるという」彼らこそ大悪人だと思います。
期待しすぎた感が・・・
深津さんが賞を取った事もあり、期待満々で観に行きました。
だけど少々期待しすぎたようで、ストーリー展開を楽しむ事が出来なかった。
ただストーリーとは別に、登場人物を演じられた方々の迫力は感じられました。
深津さんの首を絞められる表情、実際に苦しかったと言う話もありましたが
迫真の演技だったと思いますし、妻夫木さんも人物の情けない弱さや心底にある
人への優しい気持ち、優しくして欲しい気持ちが伝わり、深津さんに負けず
素晴らしかったです。
この二人に負けずに良かったのが脇役の方々。
特に樹木希林さん、柄本明さんは観る価値がありましたし、大学生役の岡田さんも
イメージ的にはまってて良かったです。
ちょい役的なバスの運転手の一言、岡田さん演じる大学生の友人の一人
妻夫木さんの親戚と思われる男性、それらの方々の仕草や行動にも
素敵な部分が見れました。
誰が本当に悪人なのか、誰の心にもある闇の部分は悪人ではないのか
罪を犯した人は本当に悪人なのか、人を傷付けなければ悪人ではないのか
他人の不幸を楽しそうに話す奴に同調して笑っている奴は悪人ではないのか
犯罪者を愛した人は悪人なのか、犯罪者の家族はどうなのか
偉そうに他人を語る奴は正義なのか。
全てのことに線を引いたような一つの答えは無く、一纏めには出来ない。
同じように見える事も全ては違う事。
今更なことを今更ながら考えさせられなければならない世の中。
そんな事を感じさせられながら、そんな事に軽く苛立つ感じを最後に
感じつつ見終わったっすね。
それだけで実は監督の策に嵌ってしまっているのかな?(苦笑)
大切な人に会いたくなる
誰の心にも『善』と『悪』があって、
「私は自分に誠実に生きたい。」
見終わってそう思いました。
登場する人がみんな、身内や他人や自分や
誰かを傷つけて傷ついて、
誰かのために強くなれて...
愛情表現が不器用すぎる。
不器用にしか生きていけない人達の様子が切なくて泣けました。
一番近くにいる人が一番大切だけど
一番に傷つけているのかも。
大切にしたいです。
失いたくないです。
平凡な日常の幸せを気づくこと、築くことの難しさを想いました。
それぞれの孤独と悪
誰もが抱える孤独や悪が、とてもリアルに描写されていた。 終始重々しいストーリー展開だったが、食い入るように見入ってしまうのは、やっぱり深津絵里や妻夫木聡、他豪華俳優達の演技力だと思った。
必見の作品。
初めてレビューします。
今年観た邦画の中では、「告白」「孤高のメス」と並ぶ秀作。
映画は、祐一と光代の愛の逃避行が軸となっているが、その他のエピソードあってこそ。被害者側、加害者側、それぞれのドラマが胸を打つ。孤独、哀しみ、もどかしさ等は誰もが心に抱え、誰かにすがりたい空虚な愛、希薄な人間関係、衝動的な殺人はまさに「今」を反映している。簡単に割り切れない人間の善悪についても考えさせられる。
それらを体現したキャスト全員のアンサンブル演技は素晴らしく、李相日も「フラガール」とは全く違う演出を見せてくれる。久石譲の音楽も余韻が残る。
モントリオールでの受賞も納得の、必見の作品。
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