悪人のレビュー・感想・評価
全148件中、41~60件目を表示
樹木希林が最高
あとを引く映画
幸せとは
住みにくさ
日本は食事は美味しいし、色々と便利で清潔だし、だけどなんだか住みにくさを感じてしまう。その住みにくさの正体が作品を鑑賞して分かった気がしました。
生まれた土地から逃れられない感覚、無能だと思わされる後ろ向きな空気、自分の事よりも他人の事ばかり気にする感じ、一つの選択肢の中だけで生きる人達、他人をネタにして笑う文化。私は都市部にしか暮らした事がないのですが、地方だとこの傾向は更に強いと思います。祐一も光代もその限られた中で生きる人間であり、だからこそ追い詰められてしまったのだと、凄く真面目な人間なのではないかと感じました。
殺人や自殺率の高さなど、人を極端に追い詰める土壌が日本にある事を改めて突きつけられて、それが私自身理解できてしまうのでどうしようもない気持ちです。
田舎だから
悪人は本当は、
『悪人』鑑賞
私の大好きな作品、
『怒り』の李相日監督の過去作。
ずっとずっと観たくて、
でも観るのを躊躇してしまっていた作品。
何故か分からないけど、
とんでもなく凄い作品のような気がして
怖いと感じていた自分がいたから、
李監督の演出に関しては
何度か観たり聴いたり読んだりしていて、
本物のお芝居を、
芝居じゃなく本物を
というか
その一本の芯みたいなものが凄く好みで
そして憧れでもありました。
簡潔に表すなら、
名作、いや迷作
といえば伝わるかな、
終始胸が苦しくて叫んでた。
内容や空気感、湿度が自分好みであったのはもちろん、キャストの熱量、技量、語彙が無くなる感覚でした、、。
こんな映画があって良いのか、
こんなお芝居をする人がいて良いのか。
どちらも良い意味で、です
全員が全員、
想像をはるかに超える芝居をしていて、
分からなくて、震えた
どの瞬間を切り取っても隙がない
表情や表現の変化が突然で
それはもう、追いつけないくらいでしたけど、
私の記憶としてずっと残ってくれるだろうな
と、いった感じです。
題名の、悪人。
この言葉だけを聞くと、
とっても軽く聞こえてしまうけれど
この物語はそう簡単に扱えるものではないと
私は感じました。
もっと深くてもっと苦しくてもっと痛い。
何故、
こんな苦しい物語を作ってしまったのか
作ってしまう
観てしまう
移入してしまう
結局は客観視しかできないそれでも
踏み込みたい気持ちがあるから
きっとどこまでも
はまってしまうんだろうと思います。
嗚咽になる程
愛おしくて残虐で
代わりなんて見つかるはずが無くて。
大切な人がいない人間が多すぎる
失うものがないから、強くなった気になる
いつだって傍観者で
それを突きつけてくるから悔しかった。
誰が本当の悪人、?
罪を犯した人、
その人を生んだ両親
それとも、その人を愛した人
世間
マスコミ
横目で知らないふりをした人
嘲笑った人
一緒に苦しんだ人
罪を犯した人が本当に悪人なの?
誰の立場に立てば正解で、
誰の味方をして
誰のせいにすれば正解だったのか
愛してしまったら悪人
共感してしまったら悪人
じゃあ知らないふりをしている人は、
悪人じゃないの?
責任を押し付けて吐き出す場所にして
暴力
ナイフ
刺さる言葉にしかならないし
真意なんて誰にもわからない
謝れば良いの
悔やめば良いの
自分を壊して、
誰かの苦しみを笑えば楽になりますか、
傷つくのが怖くて
自分は強い人間だって思い込むために
踏み込まずに外から暴言を吐いて守って
そんな世界は嫌だな
だからこそ
二人の、二人しかいない
透明で冷淡な世界を救ってあげて欲しかった。
できればあの時、鍵を掛けて
誰も入れない
踏み込む事ができない
騒音も雑音もない
紛れもなく綺麗な世界に
人間って、
人間って、
一度生まれてしまうと終わりまで止められないんだと思った。
本人の生まれ持ってきた資質と、後々生育環境から影響を受けて加味された部分と、両方含めて自覚の有無を問わず一生負って行かなけれはならない自分という存在。
あれだけ温かく素朴な理髪店の両親の元に生まれ育っても"満島ひかり"は誕生するし、
“樹木希林“がどれだけ大切に育てても孫は殺人犯になる。
「同じ国道を行き来するだけの人生」と呟いたのは"深津絵里“。この店員だけが運命を打破して生きようとしてたかも。
どうにもならない人生の哀しみ。それを突き放した目で描写する原作者。
そんな映画だった。
登場する若者たちはうちの子供たちと同世代なので、いろいろと他人事とは思えず、うなだれてエンドロールを見る。
救いはどこに?
登場人物全員がそれを探していたなぁ・・・
あと、撮影手法での感想-
ラストのカットで主人公の目をアップに迫るやり方、
「夢見るふたり」の松たか子。
「横道世之助」の吉高由里子。
そして今回の妻夫木聡。
安易な多用は監督の力不足=逃げにつながりかねないが、妻夫木の夕陽を見つめる顔のロングは、銘シーン。
(TSUTAYAにて、樹木希林追悼コーナーよりレンタル)
被害者の女にまったく同情出来ない
受賞で騒がれる前から見たかった作品。 深津絵里よりも妻夫木聡に最優...
受賞で騒がれる前から見たかった作品。
深津絵里よりも妻夫木聡に最優秀主演男優賞あげたいと思うほど。
出会い系で出会った女が殺される。
同じく出会い系で出会った女と逃亡生活する。
どんな出会いであれ、1つ1つの出会いを真剣に求めていた結果なのだろうか・・・。
殺人を犯した人を「悪人」というならば、その一言だけでは片づけられない。富士山のように、その人の一側面であって、たまたまその殺人者ということが山の良く見える部分を占めているだけなのかもしれない。
殺された女。
殺された女の父親。
殺される女と直前まで一緒にいた大学生。
大した楽しみのない服屋の店員。
薬の悪徳業者。
誰が悪人!?となったら、それぞれに悪い定義があってそれによって順番付けしていく。
でも。
相対的に悪人がいるのではなくて、みんな絶対的に悪人とも思えてくる。
最後にガラスが割れることで、現実が現実として、悪が悪として浮きだって印象的。
「ノーボーイズ・ノークライ」でもそうだけど、妻夫木聡は家庭環境が複雑で影のある役がすごくはまっている。うつろなような、焦点が合っていないような、それでいてたまにすごい眼力がある。そんな役は彼しかいない。
全148件中、41~60件目を表示