劇場公開日 2010年9月11日

悪人のレビュー・感想・評価

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5.0蛮の気配

2020年7月27日
PCから投稿

むかしスカウスを知ったとき、これはルー入れるまえのカレーだなとおもいながら、よくつくって食べた。その認識が正しいか間違っているか、どっちでもいいが、料理は、なにかをつくろうとしている行程から、いろいろなものに化ける。

近年の日本映画に、韓国映画の影響を感じる。ほとんど潮流であろう。
日本映画とは、半世紀変わらない昭和四畳半の世界なのだが、そこへ韓国映画風の非情、底辺のリアリズム、生々しい表現が加わって、潮流となった。今、ポルノ出身の長老も、鬼才系も、みんな韓国映画の影響下にいる。

それを先導したのは李相日だと思う。きっかけはスクラップヘブンと悪人だった。とりわけ悪人がその後の日本映画に及ばした影響は大きい。──と思う。

ただし、李相日監督自身は、韓国映画に影響をうけた、というより、在日朝鮮人の出自にもとづく独自路線を歩んできたひとだった。
悪人を見たとき感じたのは、まさに血はあらそえないということだ。日本人にはない、大陸へつながっている蛮の気配──なんと言ったらいいかわからないが、荒々しさが、たしかに、そこにあった。チェイサーのナホンジンとまるで兄弟のように近い蛮があった。

すなわち、それは韓国映画の影響下にある李相日ではなくて、生粋の李相日という映画だった。
ゆえに、日本映画が影響をうけたのは、韓国映画というより李相日映画──なのかもしれない。

個人的には、李監督が、こんにちの日本映画の潮流をつくったとみている。なぜなら、この映画の公開2010年は、日本映画に韓国風味が加わった頃合いと一致するからだ。そこでルーを入れた──わけである。

スカウスはルーを入れたらカレーになるし、こんにゃくを入れたら肉じゃがになるし、デミグラスソースを入れたら、ビーフシチューにもなるだろう。むろん、料理に厳格なひとや、神経質なひとにとってみれば、そんなものは邪道だが、遠からぬものはできるし、ぜんぜん食べられる。

ところが映画は、そうはいかない。今、日本映画は、李相日監督の2010年の映画「悪人」に感化された映画だらけである。日本映画のつくり手たちは、おそらく、その説を否定して、内在的なものの発露によって、今のわたしの映画がある──と主張するのかもしれないが、観衆にとって、いや、すくなくともわたしにとって、こんにち、悪人の影響を感じない鬼才系映画はない。

そこで、日本映画に言いたいのは「なんか投入したら、なんかできるだろう」みたいな、ひとり暮らしの食事みたいな調理方法じゃ、結果的になんにもできない──ってことである。
悪人は、もっと深いところ、血脈から生まれ出ているのであって、そんな魂みたいなものを模倣することじたいが、間違いなのである。

悪人には、吉田修一の翻案力もあった。
李監督は吉田修一を李相日風味で、迫力ある人間ドラマに仕上げている。たとえば松本清張を誰が映像化しても、それは松本清張である。見終わって、え、これ原作松本清張だったの、ということは、ほとんどない──わけである。
もちろんこの映画の原作が吉田修一であることは疑いの余地がないが、なんというか吉田修一に加えて、いわば大陸的な蛮の気配──やはりなんと言ったらいいかわからないが、狂おしい情念のようなものが、映画にはあった。
おなじ吉田修一のさよなら渓谷を見ると、描き手の巧拙がはっきりとわかる。

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津次郎

4.0切ない

2020年7月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

切ない

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カネナカ

4.0原作の世界を映像化

2020年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

ただ、原作読んでないと、きついかも。読んどくと、あああの場面と頷ける感じ。
どの役者さんも原作の登場人物にはまってあまり違和感ない。それぞれ実力者なんだ。
際立つ柄本明のお父さんと樹木希林のおばあさんが示す裏表のない愛情と、主人公二人の愛はその純粋さで重なる。殺された女性と置き去りにした男性の憐れさ・哀しさと対比してしまう。

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Bluetom2020

5.0樹木希林が最高

2019年12月28日
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私も夫も九州の西の方出身。
この映画の樹木希林を見て二人で
「ほんとにああいうおばさん 百人以上いるよね」
という感想。
ヘアスタイルから服装から喋り方まで完璧。

方言が無理で九州モノがダメな事はよくある。
これは逆。

樹木希林だけで
原作がどうのとか もうどうでも良くなって
さすがの女優さんだったなあと思う。

吉田修一さんが大好きで原作のコアなファン。
東京湾景だけは 映画化しないでね。

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asica

1.0禍愛

2019年11月28日
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邦画界の宿痾を見た。
思い入れが強いのだ。
一歩下がれば、もっと良くなる。

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たろっぺ

3.0原作読んじゃうと

2019年11月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

どうしても映画ではトーンダウン。

人物描写の深い原作の方が、感情移入はし易い。

そもそも原作が長いから、2時間枠では無理。

原作からのイメージの2人は、
オダギリジョーと田畑智子。

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クリストフ

4.5この世界に善人なんているのか

2019年10月27日
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導入から物語に引き込まれてしまった。

悪とは一体なんなのか。

みんな“悪人”
ただそれに気付いていないだけ。

気づけば、自分と向き合うきっかけになる映画になっていました。

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MitsuKi

3.0満島ひかり、、出演作品。同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で...

2019年9月13日
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鑑賞方法:映画館

満島ひかり、、出演作品。同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で映画化した人間ドラマ。

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てかる

4.0あとを引く映画

2019年7月14日
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悲しい

最後まで暗くて重苦しい、その分ラストは底から這い上がるような強さや勇気を感じる。
ふだん見て見ないふりしているような私たちの社会の暗い側面が浮き彫りにされて辛い
シリアスだから気楽には見られない。
しかし、よく作ってくれた、と言いたくなる映画。

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あま・おと

4.0幸せとは

2019年5月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

お母さんをずっと待っていた灯台に、自分を好きでいてくれる彼女とやって来た。

その 喜び と 懐かしさ。

それを 映像を通して 感じた。

フィクションではあるが 想像する。

彼女がずっと彼を待って 彼と 一緒になること。

彼は殺人犯であるが 、であるからこそ 幸せに なってほしい。

その為の二人の出逢いだと思う。

誰かを愛したい。

それは自分を愛する決意。

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まゆとよ

3.5ブッキーはミスキャスト

2019年5月18日
Androidアプリから投稿

この映画で一番の悪人は「深津えり(が演じた女)です。

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もーさん

3.0住みにくさ

2019年4月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

日本は食事は美味しいし、色々と便利で清潔だし、だけどなんだか住みにくさを感じてしまう。その住みにくさの正体が作品を鑑賞して分かった気がしました。

生まれた土地から逃れられない感覚、無能だと思わされる後ろ向きな空気、自分の事よりも他人の事ばかり気にする感じ、一つの選択肢の中だけで生きる人達、他人をネタにして笑う文化。私は都市部にしか暮らした事がないのですが、地方だとこの傾向は更に強いと思います。祐一も光代もその限られた中で生きる人間であり、だからこそ追い詰められてしまったのだと、凄く真面目な人間なのではないかと感じました。

殺人や自殺率の高さなど、人を極端に追い詰める土壌が日本にある事を改めて突きつけられて、それが私自身理解できてしまうのでどうしようもない気持ちです。

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ミカ

4.5役者たちの素晴らしい演技 人間臭い映画 原作の本も一度読んでみたい

2019年3月3日
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役者たちの素晴らしい演技

人間臭い映画

原作の本も一度読んでみたい

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kanae

3.5田舎だから

2019年3月3日
iPhoneアプリから投稿

田舎だからこうなってしまったんじゃないかな。この人たちは。
都会の孤独ももちろんあるけど、田舎の孤独が原因なんじゃないかな。

祐一のダサい金髪が哀しい。
下着姿の写メが哀しい。

岡田将生が演じるクズ大学生にゾクゾクきた。完璧なクズを演じる人を評価しちゃう傾向にある!

イカ刺し食べたい。

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posa

3.0観たくなって観直したけれど

2019年1月23日
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鑑賞方法:VOD

観たくなって観直したけれど、普通位の映画でした☆。

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hide1095

5.0悪人は本当は、

2018年11月13日
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『悪人』鑑賞





私の大好きな作品、
『怒り』の李相日監督の過去作。


ずっとずっと観たくて、
でも観るのを躊躇してしまっていた作品。
何故か分からないけど、
とんでもなく凄い作品のような気がして
怖いと感じていた自分がいたから、


李監督の演出に関しては
何度か観たり聴いたり読んだりしていて、
本物のお芝居を、
芝居じゃなく本物を
というか
その一本の芯みたいなものが凄く好みで
そして憧れでもありました。




簡潔に表すなら、

名作、いや迷作
といえば伝わるかな、
終始胸が苦しくて叫んでた。



内容や空気感、湿度が自分好みであったのはもちろん、キャストの熱量、技量、語彙が無くなる感覚でした、、。
こんな映画があって良いのか、
こんなお芝居をする人がいて良いのか。
どちらも良い意味で、です

全員が全員、
想像をはるかに超える芝居をしていて、
分からなくて、震えた
どの瞬間を切り取っても隙がない
表情や表現の変化が突然で
それはもう、追いつけないくらいでしたけど、
私の記憶としてずっと残ってくれるだろうな
と、いった感じです。





題名の、悪人。

この言葉だけを聞くと、
とっても軽く聞こえてしまうけれど
この物語はそう簡単に扱えるものではないと
私は感じました。

もっと深くてもっと苦しくてもっと痛い。

何故、
こんな苦しい物語を作ってしまったのか
作ってしまう
観てしまう
移入してしまう

結局は客観視しかできないそれでも
踏み込みたい気持ちがあるから
きっとどこまでも
はまってしまうんだろうと思います。



嗚咽になる程
愛おしくて残虐で
代わりなんて見つかるはずが無くて。


大切な人がいない人間が多すぎる


失うものがないから、強くなった気になる


いつだって傍観者で
それを突きつけてくるから悔しかった。







誰が本当の悪人、?



罪を犯した人、
その人を生んだ両親
それとも、その人を愛した人

世間
マスコミ
横目で知らないふりをした人
嘲笑った人
一緒に苦しんだ人


罪を犯した人が本当に悪人なの?
誰の立場に立てば正解で、
誰の味方をして
誰のせいにすれば正解だったのか


愛してしまったら悪人
共感してしまったら悪人


じゃあ知らないふりをしている人は、
悪人じゃないの?


責任を押し付けて吐き出す場所にして
暴力
ナイフ
刺さる言葉にしかならないし

真意なんて誰にもわからない
謝れば良いの
悔やめば良いの

自分を壊して、
誰かの苦しみを笑えば楽になりますか、



傷つくのが怖くて
自分は強い人間だって思い込むために
踏み込まずに外から暴言を吐いて守って


そんな世界は嫌だな






だからこそ
二人の、二人しかいない
透明で冷淡な世界を救ってあげて欲しかった。

できればあの時、鍵を掛けて
誰も入れない
踏み込む事ができない

騒音も雑音もない



紛れもなく綺麗な世界に









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ただの女子高生

4.0人間って、

2018年10月10日
Androidアプリから投稿

人間って、
一度生まれてしまうと終わりまで止められないんだと思った。

本人の生まれ持ってきた資質と、後々生育環境から影響を受けて加味された部分と、両方含めて自覚の有無を問わず一生負って行かなけれはならない自分という存在。

あれだけ温かく素朴な理髪店の両親の元に生まれ育っても"満島ひかり"は誕生するし、
“樹木希林“がどれだけ大切に育てても孫は殺人犯になる。

「同じ国道を行き来するだけの人生」と呟いたのは"深津絵里“。この店員だけが運命を打破して生きようとしてたかも。

どうにもならない人生の哀しみ。それを突き放した目で描写する原作者。
そんな映画だった。

登場する若者たちはうちの子供たちと同世代なので、いろいろと他人事とは思えず、うなだれてエンドロールを見る。
救いはどこに?
登場人物全員がそれを探していたなぁ・・・

あと、撮影手法での感想-
ラストのカットで主人公の目をアップに迫るやり方、
「夢見るふたり」の松たか子。
「横道世之助」の吉高由里子。
そして今回の妻夫木聡。
安易な多用は監督の力不足=逃げにつながりかねないが、妻夫木の夕陽を見つめる顔のロングは、銘シーン。

(TSUTAYAにて、樹木希林追悼コーナーよりレンタル)

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きりん

0.5被害者の女にまったく同情出来ない

2018年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

一番の悪人は殺された女だろ。レイプをでっち上げるとか騒がれれば、どんな男だってキレる。正直、殺されて当然と思ったわ。この救いのない結果の原因も、殺された女にあるし、その連鎖によって関わった人達が不幸になってしまう胸糞悪くなる映画。

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笑顔日和@かおるの筆

3.5怒りの方が好きだった 大切な人を思う気持ちは人それぞれだけど

2018年6月24日
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怒りの方が好きだった
大切な人を思う気持ちは人それぞれだけど

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NORA

2.5重い

2018年1月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

どこにも救いが出てこないので、覚悟してみるべし。
テーマは重く、現代社会が生み出す悪ば、身近に溢れるていることを痛感する

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おのもん