劇場公開日 2010年9月11日

「二人の逃避行がはじまる。 些細なことで加害者にも被害者にもなりうる社会。 吉田修一は今回も人生が思い通りにならないひとたちを描いたのだと思う。」悪人 ドン・チャックさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0二人の逃避行がはじまる。 些細なことで加害者にも被害者にもなりうる社会。 吉田修一は今回も人生が思い通りにならないひとたちを描いたのだと思う。

2025年2月9日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

動画配信で映画「悪人」を見た。

2010年製作/139分/PG12/日本
配給:東宝
劇場公開日:2010年9月11日

妻夫木聡(清水祐一)30才
深津絵里(馬込光代)37才
岡田将生(増尾圭吾)21才
満島ひかり(石橋佳乃)25才
塩見三省(佐野刑事)
池内万作(久保刑事)
光石研(矢島憲夫)
余貴美子(清水依子)
井川比佐志(清水勝治)
松尾スズキ(堤下)
山田キヌヲ(馬込珠代)
韓英恵(谷元沙里)
中村絢香(安達眞子)
宮崎美子(石橋里子)
永山絢斗(鶴田公紀)
樹木希林(清水房枝)67才
柄本明(石橋佳男)62才

原作の吉田修一が芥川賞作家だとは知らなかった。

監督は李相日。
流浪の月(2022)と許されざる者(2013)を見たことがある。

岡田将生はだいたいいつもエキセントリックな人物が配役されてしまう。
これは宿命なのかな。

登場人物たちが持つ携帯電話はこの当時は未だすべてガラケーである。

佳乃は祐一と待ち合わせていた。

しかし偶然、佳乃が好意を持つ大学生・増尾が車で通りがかった。

祐一とのデートをドタキャンして、祐一の目前で
増尾の車に乗り込んだ佳乃を見た祐一を憤った。

二人が乗った車をR33スカイラインで猛然と追いかける。

増尾は特に好きでもない佳乃に絡まれていると感じ、
だんだんとイライラしてくる。
そして山の頂上付近で佳乃を車から蹴り出した。

増尾が去った後に追い付いた祐一。

「送って行ってやるから車に乗れよ」

しかし佳乃は増尾に置き去りにされた恥ずかしさからか、
祐一に絡んできた。

「あんたが私をレイプしたって警察で言ってやる!」

「オレは何もしてないじゃないか!」

とまどいと驚きでとっさに祐一は佳乃の首を押さえつけていた。

あとで判ることだが、佳乃はその場所で絶命してしまう。

自宅に帰り、何事もなく仕事に行き、その後も普通に過ごしていた祐一。

祐一は出会い系サイトで別の女性と待ち合わせした。

駅前で光代と会った祐一は映画に行ったり、食事をしたり、
いわゆる普通のデートをしたことはなかった。

ホテルに直行し、光代の身体を求めた祐一。

事が終わって祐一は光代に金を渡した。
「これしか持ってないから」

光代は驚いた。

光代もまた男性とは交際経験がなかった

別れ際に光代は祐一に金を返す。

気まずい雰囲気で駅前で別れたふたり。

別の日、祐一は光代の職場の紳士服店に現れた。

不審に思う他の女店員。

祐一「あんたに謝りたくて来たんだ」

祐一も本気で出会いを求めていたが、
一般的な交際の仕方を知らず失礼な振舞いしたことを謝罪する。

光代を自宅に送った祐一は長崎に帰るつもりだったが、
祖母からの電話で自宅に警察が来ていることを知る。

祐一は急いで引き返して光代を車に乗せて走り出す。

二人の逃避行がはじまる。

些細なことで加害者にも被害者にもなりうる社会。

吉田修一は今回も人生が思い通りにならないひとたちを描いたのだと思う。

満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。

ドン・チャック