「よくできた作品だけど・・・」告白(2010) Tomさんの映画レビュー(感想・評価)
よくできた作品だけど・・・
(読んでいませんが)「告白」という小説の評判がよいことと松たかこさん主演ということで、観に行こうと決めていました。ただし、(ちょっと御幣のある言い方かもしれませんが)これまでの中島哲也作品とは180度ちがう題材で、正直「下妻・・・」とか「嫌われ松子・・・」はあまり好きな方ではないので気にはなっていましたが、実際観てみて、よくできた良い作品だと思いました。
原作ではどう描かれているのか分かりませんが、日本の法律では裁けない「(凶悪)少年犯罪」のあり方をどう考えるべきか、また、彼らにこの情報過多の状態にあって「命」の重さをどう“実感”させるのかということを恐ろしいまでに上手く表現できていたと思います。
同時に、情報過多の一方、(本当のところは別として)わずかな電気ショックで気絶した女の子を死んだと思い込んでしまうとか、HIVが単純接触で感染すると思い込んでいるとかいう内容もある意味リアルだと思いました。
ただ、映画を観始めて5分ぐらい経過したところから僕の中でガス・ヴァン・サントの幾つかの作品のタイトルが頭に浮かびました。実際、自分がプロデューサーで、彼に「あのタッチで日本映画を撮ってくれ!」と頼んだらこれに近い作品になるような気がする。音楽の使われ方、挿入の仕方もそっくり、まるで、今までの作風と違うところで「この撮り方・作り方ししたかったためにこの題材を選んだ」と言ってもいいようにさえ感じてしまいました。
ただし、知っている人なら分かると思いますが、彼(ガス・ヴァン・サント)の作品にはあまりエンタテインメント性がない、でもこの映画には明らかにそれがあるので、それだけを比較すると、「告白」の方が彼の作品よりも「面白い」ということになってしまうと思います。とわいえ、日本人が昔から海外の物を真似て、物を作ってきたようにそれらはやはり2番・3番煎じには違いないわけで、監督のオリジナルの部分が作品の中にあればよかったのになぁと思わせえられらたのが残念でなりません。