「反省なき更正はない」告白(2010) キャスケットさんの映画レビュー(感想・評価)
反省なき更正はない
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縁に金色を帯びた黒白色の厚い雲が空を覆っている。世の中はカラフルなものが溢れているが反して人間たちの心はその雲のように淀んでいる。物質にしか満たされていない。
反社会的なものへの憧れが強い年頃の生徒たちが母性を担任に求めるも、代用しそこねたための嫉妬が小さな命を消し去ってしまう。
自己アピールに犯罪を起こすあたりが彼らの浅さを物語っている。
注目されること記憶されることが愛と思う犯罪者はまだ本物の憎悪を知らなかった。
松たか子演ずる森口のシャットアウトした演技はその「注目」を与えず「関心」も見せず我が子への想いを語り復讐していく。凄まじい静な憎悪だと思った。
ショッピングセンターでの場面の母親ぶりがとても優しいから、その他の演技でみていてその暗い嘆きが伝わってくる。
この映画をみてリアリティがないというひとがいるようだが、これほどリアリティがある映画はまれだと思った。
勿論犯罪そのものは有り得ないけれど、子供の適性を見ようとしないことや親の幼稚さ鈍感さが子供を苦しめることは現実にある。
いつもの色彩を封じながら掴めぬ光を散りばめたあたりも監督のセンスが光る。
原作にないラストの一言にみせた監督の優しさにホロリとした。
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