劇場公開日 2010年6月5日

「世代間ギャップ。あらゆる人の感想が聞きたい。」告白(2010) 小太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0世代間ギャップ。あらゆる人の感想が聞きたい。

2010年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

あの中島監督作品。何はともあれ鑑賞しに出掛けなくては。

 まずは監督。映像、演出、共にすばらしかった。モラル的に難しい内容の作品だっただけに、いかにポイントを外しながら、本質を見せるか。すばらしい仕事だった。
 本来的には映像技術を前面に出すのが好きな今時の監督であろうと思うのだが、中島監督が他の監督と違うのは技術に振り回されていない部分にある。作品に必要だから技術を使う。必要なかったら排除する理性を持っている。だから観客に集中力を強いる事ができるのであろう。

 予告やCMなどで情報なしでの鑑賞ではなかったが、はっきり言ってしまえば、予告とCMは無用。邪魔ですらあった。まっすぐ、見るべし。そして、考える。

 この作品は毒である。子供には見せたくはない、大人は反射的にそう思う。あまりに機械的に。
 実は本作、大人にとって不都合な話でもある。大人は全て人格者ではないし、知識が豊富でもないし、才能だってない、もしくは、才能を活かす術を知らず、社会から落ちこぼれないよう、ただ、汲々としている。子供と大人の差はどこにあるのか。

 本作の恐ろしさは、子供の愚かさを明るみにしながら、そのレッテルを貼った大人が甘えてくる子供にこたえようとしない、その能力を持ち合わせていない本当を見せつけられる部分にある。

 ここまで言ってしまうと世も末なのだが、ここで思考停止しては負け。答えを早急に求めてしまうから、世の中が悪くなる。目の前の失敗を恐れて未来の可能性を断ってしまうのはいかがなものか。遠回りしなければ、最善を導き出せない事もある。

 まぁ、世の中、みんな大変なんだよ、ってことで。書き続ける事が辛くなってきたので逃げました。

 まっすぐ見て、それに耐えられる作品だし、今日の私のように考えられる作品でもあります。
 注意としては、丸のみしないで下さいね。ふぐ料理は適切に調理してこそ楽しめるのですから。

小太郎