サバイバル・オブ・ザ・デッドのレビュー・感想・評価
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スピンオフと言うべきか
前作のダイアリーオブザデッドから派生した物語
小さな島で昔から反りの合わないマルドゥーン家とオフリン家の対立にゾンビの人権?(扱い方)を問う部分が物語の中心になっている。
オフリン家はゾンビになれば即殺。
マルドゥーン家ではゾンビになっても牧場で鎖に繋いで飼い殺し。
オフリン家が全面的に正しいとは思わないが、マルドゥーンの歪み具合は酷い(笑)
拘りの強い爺たちに振り回された奴等かアホに見える作品です。
そして散々理屈をこねてた爺たちが双方、自身の信念を投げ捨てる程度の意思の弱さなので世の中の愚かしさを代弁してるようです。
巨匠ロメロが作っただけに俳優たちもそれなりに演技力があり、淡々とした作品に安定感すら感じる。
有象無象のB級作品と比べると明らかに落ち着いて観られる実家のような雰囲気だ。
グロいシーンは安いB級と比べると段違いに力が入ってるのは間違いない。
所々CGも使ってるから、昨今のCGだらけよりはずっとゾンビらしく見える
ただ、馬は喰わんでもエエやろ?
ドーンオブでは犬は見向きもせんかったのに、何で今更馬喰うんよ?
ラストの爺二人には一言「死んでも殺しあってろ」って事かな
死んだロメロ、メロメロ男子
元のスタイルに戻してということだったが。
「ガキの考えてることはよくわからん」ってことなのか。あの設定たあの人物配置は、何かもっとしたいことがあったのではないだろうか。
殺り方、殺られ方にいろいろ工夫を凝らしているのは見てとれたが…。
The dead coming back to life. これが最後のジョージ・A・ロメロ
お盆だし、死んだ人が帰ってくる映画を見ようって事でジョージ・A・ロメロの遺作「サバイバル・オブ・ザ・デッド」です。ゾンビ映画界の大御所監督の遺作なのですが・・・まぁ、作品自体は普通ですね。
登場人物にやたらお爺ちゃんが多かったのは監督の年齢も影響していたのでしょうか?主人公もサージというよりオフリンですし。最後の月をバックに決闘してたのもオフリンでしたし。冒頭でサージの登場シーンは良かったものの、どんどん影が薄くなってる感じがしました。少年も出てきた割りに特に何も活躍しなかったのは、もう少年を書ける年齢ではなかったからでしょうね。その割りにトムボーイにはアーミーでレズビアンで仲間想いと設定が盛り込んでありました。
走るゾンビを嫌っていたというロメロ監督だけあって、本作のゾンビはジワジワと迫ってきます。一体一体はそんなに強くなくても、数の倫理で来られると厄介ですね。しかもいつの間にかヒョコっといるんですよね、ゾンビって。いつの間にかいる、見付けたらビックリする、という2つの理由で現実世界で一番近い位置にいるのはゴキブリではなかろうかと思っています。ゴキブリに噛まれてもゴキブリにならないので、まだ安心ですが。
本作は最後で「ゾンビとも共存できるのかも?」っという場面が示唆されて終了します。もしロメロ監督がもう少し長生きしていたら、自分が世界に広めた「ゾンビ」というキャラクターを今後どういう風に持っていきたかったのでしょうね?毎年世界中で大量生産されるゾンビ作品、これからどう進化していくのかも楽しみですね。
ゾンビ非常事態
州兵(スプラング)がゾンビを始末する苦悩を伝える独白シーン。始末するのは簡単だが相手が友人だと辛いものだと嘆くのだ。主人公の州兵はドキュメンタリー映画撮ってる大学生たちを襲った男であり、まるで前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』からの違う視点からの始まりだった。
マルドゥーンは蘇った死者を殺さずに奴隷のような形で生かすという意見の持ち主で、対するパトリック・オフリン(ウェルシュ)はすぐに頭に銃弾をぶちこんで殺すという主義。州兵のサージ(スプラング)が奇妙な共通項をオフリンに見出し、フェリーを奪って仲間と島に渡る。そして対立する二つのグループが激突するという、まるで西部劇のようなストーリーだ。どちらかと言えば、ゾンビを殺さずに生かした方が新たなゾンビ対策になるとも思うが、そのあたりは『ゾンビーノ』を見れば納得いただける(笑)。
ロメロ作品を続けて見てみると、二つの対立する意見がぶつかり合う葛藤はどの作品にも見られる。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、特にリメイク版なんかは「地下に籠る」か「窓をふさいで戦う」かでずっと対立している(笑)。そしてこの対立を世の中の政治的なものに反映させようとしているのがこの作品だが、あまりにもメッセージを強調するあまり、単なる西部劇で終わってしまっているのが残念だ・・・
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自宅で鑑賞。ゾンビと云えば泣く子も黙るG.A.ロメロ御大の新作。今回は風刺の効いた西部劇と云った処か。“ジャネット”と“ジェーン”役K.マンローが魅力的に感じなかった。ロメロのゾンビものと云う事でカメオ出演者が多いのかも知れないが殆ど見付けられなかった。全体に何とも微妙な出来だがゴアシーンは健在。唐突に双子の設定が登場したり馬に乗ってるゾンビがラストでその馬を喰べたりと破綻気味のシナリオだが前作『デイ・オブ・ザ・デッド('08)』より判り易く丁寧に作られてる気がした。冒頭前作からの引用有。60/100点。
・鑑賞日:2011年8月6日(土)
内なる恐怖
ゾンビを生みゾンビを見続けてきたロメロ監督
カオスな世の中は映画の世界だけではない
恐怖も悲しみも慣れてしまうのが人なのでしょうね
その中で正気を保って生きることはとても困難でとても難しい
ただ怖い映画を見たいのならお勧めできません
語り合える映画だと思います。
凝ってるなぁ…
前作、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」で脇役として登場した人物にスポットを当てた本作は、ロメロ監督の過去作品からでは想像していなかった新たな展開を向かえた。安全だと噂される島にやって来た軍人数人が、その島で生活する人々を見つけると共に、驚愕の事実を知る。それは、「人とゾンビの共存」だ。
村人の一部がゾンビに仕事をさせようとするなど共存を目指す一方、ゾンビは生きるに値しないと考える村人が対立しており、それぞれのリーダー格の老人二人が特に深くまで溝が生じている。
ここでも相変わらず人同士の関係の構築における問題や、人間そのものの狂気を描いているのには変わりはない。
ロメロが長年発信し続けていた、「人間とゾンビ、どちらが怖いのか」という思いを本作に特に力を入れてきたという印象だ。その中でロメロはゾンビを倒すべきか、共存するべきかという境地に至ったのだろう。改めて、凄いなぁ…と思ってしまう。長い監督生活の中で、自身が最も多く描いてきたゾンビというものに、一種のけじめをつけたのだろうか。
かつて郵便配達員だったゾンビが、新聞紙などをポストに入れるなどの動作を繰り返すシーンがあるのだが、それはやはり「正常な頃の記憶がある」ということだ。リビングデッド=生ける屍というスタイルだったロメロのゾンビに、革新的な変化が訪れていた。作品もヘタに金をかけた「ランド・オブ・ザ・デッド」よりもテーマや雰囲気がとても素晴らしい。ロメロ作品はこうでなくては。ただ今回は新規のテーマが含まれたためか、詰め込みすぎな感じは否めない。メッセージ性が強すぎて、もともと感じるはずであった恐怖というものが残っていないようだ。前作と同じ不満が残るのには残念だった。ただし新たな境地に至ったロメロは永遠にその考えを巡らせるのだろう。満月を背景に、空になった銃を敵対しているリーダー格の老人二人が向けあい、引き金を何度も引き合う姿を観て何だかそんな思いが込み上げてきた。
ロメロよ。永遠に。
☆☆☆ ※ 鑑賞直後のメモから 何だか島に行く理由がかなり適当。 ...
☆☆☆
※ 鑑賞直後のメモから
何だか島に行く理由がかなり適当。
案外と、最後のくだらないワンカットが撮りたいだけだったんじゃないかなあ〜?
馬が可哀相なんだが。よくよく考えたら、よくこれまで無事だったなあ(笑)
2010年6月20 TOHOシネマズ六本木ヒルズ/スクリーン4
難しいテーマになった
前作に引き続いて観賞しました。POVからは足を洗い、通常の撮影方法をとっています。 それはまた前作とは監督の言いたいことが違うからでしょう。そのためか、前作とかなり違う雰囲気になりました。
本作で驚いたのは、ゾンビの描きかたです。今までは人間VSゾンビというスタンスでしたが、本作でまず初めに取り上げるのは人とゾンビの共存ということです。そこは、監督の新たな視点だと思います。ロメロファンはかなり衝撃だったのではないでしょうか。
後半は今まで通りの人間VSゾンビがやって来るので安心しますが、メインとなるストーリーは田舎の島に住む人々の対立です。主にじぃさん2人がバチバチしていますが。その点がかなり複雑な心境になるので、彼の作品の中ではかなり難しい方ではないかと思います。
若干の人間否定的な考えが登場しますが、今回ゾンビと共存関係を築くシーンが描かれていたと言うことで、ロメロの新しい想像が膨らんでいったのではないかと推測します。
その点を含め、人とゾンビにどのような感情や関係性が描かれるのか、今後も期待しています。
ロメロのゾンビ映画は鉄板だが、これは頂けない
ゾンビ映画と言ったら、ロメロ。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」や「ゾンビ」は言うまでも無く、「ランド・オブ・ザ・デッド」も面白かった。
が、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」で“ロメロのゾンビ映画って面白かったハズだよな?”という疑問符がチラつき始め、そして本作は…。
一貫してゾンビ映画を作り続ける姿勢には感服する。
まるで一貫して人情映画を作り続ける山田洋次監督のようだ。(ジャンルも例えも全く違うが)
だけど本作は頂けない。
チープなB級感とユルい展開とグロい描写に面白味を感じなかった。
ゾンビは不死身だが、ロメロは老いたか?
ゾンビ監督が、生き残るために
イタリア映画の流れを脈々と受け継ぎ、今なお現役を貫くゾンビ映画の生き字引、ジョージ・A・ロメロ監督が、前作「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」に間髪入れずに作り上げた新作。
氷の世界におけるゾンビとの死闘、ラジオ局を舞台にしたゾンビ作品など、古今東西あらゆる映画人が異なる目線で挑んできたゾンビ映画に、最古参が提示した新しいテーマ。それが、「ゾンビとの共存」だった。
ただ死に物狂いでゾンビを打ち倒し、未来の見えない世界を歩いていく虚無的な世界観の中で展開されていくことを余儀なくされてきたこのジャンルにあって、ロメロが挑んだ本作の意義は大きい。「ゾンビを飼い慣らす」。この敢えて先達達が挑まなかった新境地に、農場で、馬場でゾンビに馬を食べさせるという画期的な実験を持ち込んで挑戦してくる。まさに究極の外道をリアリズムをぎりぎり保つ形で描き切るセンス。流石である。
宗教を徹底的に否定したアンチキリスト主義、ゾンビという特異なテーマを押し出しつつも、その中にあってもなお争いを止めない人間を静かに否定する視点はこれまでの彼の作品に共通したものだが、それだけでは、既に出尽くした感のあるゾンビものを今後続けていくことは出来ない。そんな危機感が、本作において強烈に滲み出している。
後半は、ロメロの代表作「ナイト・オブ・リビングデッド」から徹底して持ち込まれてきたゾンビの人間を食い散らかす描写がしっかりと時間を掛けて準備され、古くからのロメロファンを安心させてくれる。それでも、本作に感じられる焦りや、現状を打開しようとする試行錯誤には若干の寂しさも感じてしまう。
だが、このゾンビというジャンルを始まりから守り続けてきた巨匠が改めて、今後のゾンビを描いていく監督が生き残る道を提示しようとする想像力と、枯れることなき情熱。まだまだ現役をしぶとく、長く、続けていってくれそうな期待を抱かせてくれる。
これからも期待してますぜ、ロメロさん。
B級キングだ。
ホラー界の巨匠・ロメロ監督の最新作。元祖の粗挽きな感じがいい、と感じる人と、野暮ったいと感じる人に分かれると思う。私自身、途中から作風を思い出したので、切り替えて楽しんだ。いや、はや、危なかった。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の現代版とも言える前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』から派生した本作。どうやら、分裂が始まったようだ。さらに世界は広がるよう。
どこまで行ってもB級作品。このフィールドで未だ現役の監督に敬意を払いつつも、冷めた目で見てしまう自分の心の狭さにうんざり。それでも、劇場で最新作を鑑賞し続けるのだ。
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