バグダッド・カフェ 4Kレストア版のレビュー・感想・評価
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よくよく引き合いに出される作品なので見てみた
この映画ちょくちょく引き合いに出されない?コーリングゆぅ~のフレーズも。多分この先も挟まれることがあるだろうからと見てみることに。
うん、面白かった。なんか不思議なテンポと色使い。ボタン掛けちがえたまま真顔で事が運んでくような。え、笑っていいんだよな、と戸惑いながらオズオズ笑う。面白い小品という位置づけならわかるが、そんな語り継がれるようなもんでもないような…。エリックサティ感。小さなサロンで楽しむような。こういう類の映画が少なかった時代に、知っている人は知っているという面白さから、後の年代になって伝説化された感じかね。
終盤で店が繁盛してブイブイいわしてドヤってるあたりはあんまり乗れなかったけど、「仲良し過ぎる」と去って行った女がそのへんを拾ってくれたのも良い。
曲だけ聞いたことがあった
テーマ曲だけ聞いたことがあったが・・・
記憶の中では、1980年代前期かと思いきや後期。
こんあ映画があったとは。
1980年代は、ほとんど映画を見ていなかったので、当時の作品の傾向などは知らないが・・・
冒頭が唐突過ぎ、ラストがあっさりで、ちょっと戸惑った。
途中、(早朝の運転疲れで)うっかり寝てしまって、主人公が事務所の片づけをするところは、見損ねた。
映像は恐ろしく精細な感じで、フィルムの底力を堪能できた。
また、途中で挟まれる夕景などもきれいで良かった。
女主人がギャーギャーうるさいのは、演出とは言え、少々くどかった気がする。
また、終盤のミュージカル風の演出も冗長な気が。
冒頭の夫婦喧嘩が、どういう理由なのかチンプンカンプンで、掴みとして、どうなのか・・・
盛り上がったところで、落ちるんだろうなと思っていたら、まさにその通りで、作劇はこんなものなのかなと。
本編のほか、あの曲が、この映画の主題歌なのだと、分かったのは収穫だった(割と好きな曲だったので~最近は聞かないが)。
ほのぼのとした映画だったが、(劇中で)ショータイムがないと、客足が良くない演出と言うのは、良いのか悪いのか・・・
愚にもつかない新作よりも、精細化した旧作の復活を望む・・・
75点ぐらい。主題歌「Calling You」
幸せの黄色い。
30数年ぶりの答え合わせ
「ヤスミン」と「ジャスミン」が、同じつづりなんだということにも気づかないほど、外国語にうとい自分。なので「JM」というシールが貼ってあるトランクは彼女の物なのに、中身が夫の物と入れ替わっていたということも、30数年たってやっと理解した。(スッキリ!)
彼女がたどり着いた、西部の砂漠地帯にあるカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンドのバグダッドカフェ。そこを切り盛りしている女主人のブレンダは、中々にアグレッシブな性格なのか、イライラ怒鳴りまくっている。
ぐうたら亭主に「出ていけ!」と叫んだら、本当に出ていってしまうし、娘は男友達と遊びに出かけ、息子はずっと赤ん坊の世話もせずに、鍵盤の前でポロポロ何かを弾き続けているといった具合で、明らかに家庭も仕事もうまくいってない。
カフェなのにコーヒーマシンはなく、客室もオフィスも掃除されないまま放置されているのは、まるでブレンダの心象風景のようだ。
そこに、ある意味ズカズカと入り込んでいくジャスミン。「スタッフオンリー」のドアの中に忍びこむ彼女の姿が映し出されると、思わずこちらも身構えてしまう。
ただ、そのときは赤ん坊をあやすためだったように、彼女の行動はいつも利他的で、暇つぶしが主な理由なので、何か代償を求めるようなものではない。でも、どんなに机や部屋が汚くても、誰かに勝手にきれいにされたら気味が悪いように、ブレンダも「客なのになぜ?」という疑問から、警戒心を増幅させる。
母親同様に、娘もジャスミンにはベロを出し、息子も彼女を陰でデブ女と罵っていて排他的なのだが、それぞれがジャスミンとの関係を変化させ、ヤスミンと呼ぶようになっていく一瞬の描き方がとてもいい。
娘との関係が変わったきっかけは、ファッションやダンスをもとにした異国への興味関心。息子は、敬愛するバッハの生まれたドイツからきた彼女が演奏を認めてくれたこと。そして、ブレンダとの関係改善のきっかけは、ジャスミンの「自分の子どもはいない」と俯いた姿だった。
自分とは違う部分への興味。そして、自分と同じ部分への共感。画家との関係の変化も含め、その人との関係が変わるバリエーションが様々に描かれている映画だった。
結果的に、ヤスミンとブレンダの関係は、自立がテーマ同士の連帯から、まさに姉妹のようなシスターフッドを築いていったことが、最後のセリフからもわかる。しみじみとした余韻が残るいいラストだと思った。
他にも、息子の演奏の場面で、ヤスミンが聴衆になった途端、運指練習の時とは演奏の質が全く変わり、表現における他者性の重要さがさりげなく描かれていたことや、先住民をルーツに持つであろう保安官が、法を守ることでジャスミンを助けつつ、ビザ切れにも私情を挟まない厳格さを見せるところが個人的に好き。
それにしても、ヤスミンの夫は何のためにマジックセットを持っていたのだろう。もしかして、ラスベガスで、一旗あげようとしていたのかな?
それから、トランクの中身がヤスミンの持ち物だった訳で、きっとかなり困っただろうと思うが、そっちのドタバタも面白そう。
あと、入場者特典のカレンダーがうれしかった。
多分、これで今年は劇場での鑑賞は終わり。
締めに、いい映画が観られて幸せでした。
<追記>
「翻訳 戸田奈津子」という字幕が本当に懐かしかった。
ビジョンとマジック
#バグダッドカフェ 4Kレストア版を名古屋の初日(#伏見ミリオン座)で観ることができました。
35年前っていうから、学生時代。
スクリーンでの再会は、そんなに時が経ったとは思えないほど心がときめく。
高校時代から映画館に入り浸るようになり、それくらい大好きな映画として5本の指の1本で、ビデオはもちろんレーザーディスクにDVDが出る度買い直して、いつも身近に居て欲しい映画だったから、この歳になって再び映画館で鑑賞(人が作った芸術作品)、いや観賞(大自然の美しい風景)できることはこの上ない幸せなのでした。
やはり、若い頃や今までと違った部分に目が行き、どこを切り取ってもいい場面なんだけど、今の自分にストレートに突き刺さるシーンを改めて堪能することができた。
ビジョン。
二つの光り。
ここがめちゃめちゃ胸騒ぎする。
何でも無い主人公とまわりの配役それぞれがいい味出してるんだよなぁ。
すごい俳優とか、飛び抜けた才能の役じゃない普通の人たちが、淡々とその冴えない日常に文句言いながらも、実は人と人のつながりの中で美しく生かされている。
お互い亭主を捨てたジャスミン(ヤスミン)とブレンダ。
そんなことは露知らず、人種も生まれも育ちも性格もまったく正反対の二人が、客の旅行者と店の経営者という立場で出会ってしまう。
なんと必然な出来事だろう。
そこには不思議なキャラの同居人があちこちに居て、それぞれが趣味の世界を楽しみながらここでの生活を愛し、実に活き活きと家族のように暮らしてる。
この地に立ってジャスミンが見た不思議な二つの光りと、画家の描いた二つの光りが、すべてを物語っているように感じる。
輝かしい希望とか、とにかく何かわからないけど、そこにはビジョンがある。
二つの偽の太陽であれば、幻日なんだろうけど、真ん中にホンモノの太陽が無いから、光学現象ではない。
画家が、宇宙エネルギーの何万もの鏡が太陽の光を反射させると語ったように、まさに啓示としてのビジョンだ。
それは相反するもの同士のはずのジャスミンとブレンダが出会うことで、最初は衝突しながらも、徐々に受け入れることで生まれたハーモニーというか相乗効果が、この店を瞬く間に魅力的な空間に生まれ変わらせた。
バグダッドのセンターとして、トラック運転手が心から休める店として大繁盛する。
旅行カバンに入っていた手品セットが功をなしたジャスミンの手品の腕もすごいけど、魂を震わすブレンダの歌声がまた素晴らしくいいのだ。
あの重苦しい演奏だった息子のピアノまで、そのときから名ジャズピアニストに生まれ変わったのだから。
まさに、マジックだ。
もう一つのビジョンとして、あの二つの光りは、やはり男と女ということか。
亭主を捨てたブレンダは本当は寂しかったから、エンディングで戻ってきて抱き合う。
一方、ジャスミンの亭主はあれからどうなったか、ドイツに帰国してまた一人で再入国して戻り、なんと画家と結婚して永住権まで得る。
本当に、どっちもよかった。
映像エフェクト処理されたオレンジ色の世界で、渇いたモハヴェ砂漠のハイウェイに溶け込むサウンドトラックがずっと永遠耳から離れない #コーリングユー とか、80年代カルチャーとしてとても話題となった映画だけど。
そういう表面的な心地よさの下に幾重にも敷かれた、何でも無いような日常の一つ一つが実は素晴らしい可能性を秘めていて、いくら反発しようと心さえ動けば、自分の意思とは関係なく、一度動き出したら止まらない、思いもよらぬ方向へ導いてくれる。
そんな #ビジョン と #マジック という魅力的な世界が観るものに感動を与え、映画館を出た後に自分の中へ落とし込んでいける。
そんな映画なんだと、何度も観ていながら改めて感じました。
大学生の時に話題になっていた作品。 午前十時の映画祭で初鑑賞。 序...
タイトルしか知らなかったけど、 こんな感じの映画だったんですね 変...
タイトルしか知らなかったけど、
こんな感じの映画だったんですね
変な表現だけど、
なんか微妙に凄くいい
数日経って思い起こす時の方がじわじわ来る
メインの2人の女性の、どちらもいい感じ
ところどころよくわからないシーンもあったけど、
みていて嫌じゃないし、そんなに引っかからない
不思議な魅力
あと、曲もいい
頭に声が残る
35年経った今でも印象深い80年代のミニシアターブームを牽引した代表作
1989年の日本公開から35年。
『バグダッド・カフェ』が 4Kレストア版になって再上映されているとのことで、クリスマスのイルミネーションが眩しく煌めくYEBISU GARDEN CINEMAさんへ。
『バグダッド・カフェ』(1989)
ジェヴェッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」と黄色い給水塔をブラシで清掃する主人公のキービジュアルが35年経った今でも印象深い80年代のミニシアターブームを牽引した代表作を久々に鑑賞。
舞台はイラクの首都ではなく、アメリカのカリフォルニア州の砂漠地帯にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」。
ドイツから旅行に来た夫婦が道中で喧嘩別れ、夫人・ジャスミン(演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト)が「バグダッド・カフェ」に滞在する中で、女主人ブレンダ(演:キャロル・クリスティン・ヒラリア・パウンダー)たちの警戒を解きつつも徐々に心を通わせ、夫の荷物にあった手品セットで手品を習得し客前で披露することでカフェが大繁盛するハートウォーミングでファンタジーな作品。
久々に鑑賞すると映画の作法を無視した斜めの構図や独特の色彩調整、粒子の粗いざらついた映像など「バグダッド・カフェ」自体を浮世と離れた理想郷、ユートピアのように描いているのではないかと感じましたね。
常軌を逸したブレンダのジャスミンへの拒絶が、徐々に相互理解と尊敬、友情が芽生えるストーリーが実に素敵で、ジャスミンに恋する老人ルディも名優ジャック・パランスがペーソスの漂う演技が見事です。
作品内容も映画史に残る名作ですが、やはり「コーリング・ユー」の楽曲ヒットと、黄色い給水塔のキービジュアルの世間へ浸透、ミニシアターブームのなかで、本作品が流行の最先端のファッションのように洗練、昇華されたことも大きいですね。
昨今、映画オリジナルのテーマ曲のヒットや、ポスタービジュアルが部屋で貼られるぐらい認知と人気を獲得した作品は随分と減りましたね。
特にポスタービジュアルは配信会社によってデザインがカスタマイズされるので「この作品ならこの絵柄」とすぐに想起することが難しくなって「バグダッド・カフェ」みたいな成功例が減ってくるのは寂しいですね。
スクリーンで観れて嬉しいな
初公開当時は田舎の中学生で知る由もなく、この映画を知ったのは18歳ごろ。『ニューシネマパラダイス』や『ベルリン・天使の詩』と並ぶミニシアターブームのパイオニアながら、リバイバルに出会えず観たことはなかった。
サンフランシスコには同じ名前のカフェがあって、そこのミートローフが好きでよく行ってた。
名曲Calling Youにのせて初めての『バグダッドカフェ』は、なんだかつかみどころがなく不思議な空気感。ポットはドイツらしくてカワイイ、デザイン的には東ドイツっぽい印象。でもなんで旅行にわざわざ持ってきた?
朝から晩まで怒鳴ってるブレンダうるせーと思いつつも、あの有名なタンク掃除!なんか嬉しい。
はじめは謎のヤスミンに訝しげだった人たちも、次第にヤスミンの人柄に惹かれ、カリカリうるさいブレンダも表情が柔らかく笑顔になる。
オシャレ映画の金字塔は、ものすごい多幸感に溢れていた。
ヤスミン役の女優さん、『ある一生』のおばあちゃんだった!今もご活躍でなにより。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 映画によるマジックの様な至福の108分間。
映画で詩を謳う
あの景色に再会した!
名作は何年たってもあせない
不思議な映画
生きる喜びを再発見する物語
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