息もできないのレビュー・感想・評価
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Vシネマではない
えれー評価たかいなあ
この映画のもつパワーとは、自主映画なみの自己主張に成功していることと暴力シーンであって、やってることはVシネまんま。
なんだけど、Vシネマは視聴者に期待通りのつくりなわけなんだけど、これは編集が圧倒的に緻密で、どれだけ時間をかけたのか、センスなのか分からないけれど、そこは大変好きなところ。Vシネというとやはりまずいな。
ただ題材がパターンに落ちるので、編集をあれこれいじりやすい、ともいえる。
とはいっても、喜ぶ視聴者層はほとんど変わらないだけどな~。
正直、監督のメッセージがどうだろうが、父親が家族を殺したって、グレるのは、やっぱり甘えの一言で結論付けられるんだよなあ。とヤンキー世代は思うのであるよ。ヤンキーと一緒にするなって?一生懸命喜んでみるのは、そういうオレらみたいなヤンキー世代だってば。
キムコッピさんが素晴らしかった。 どんなに辛くても涙を流さず 人の...
キムコッピさんが素晴らしかった。
どんなに辛くても涙を流さず
人のために涙を流す。
希望のような人だった。
ただヨニの希望だったサンフンを殺すのは
ヨニの弟。
この結末だけは理解ができない。
動機という動機がなく
ただの衝動だったのだろうか。
人はそういうものなのだろうか。
ヤンイクチュンさんの監督主演作。
暖かいものと冷たいものが混ざった作品。
重苦しい家族関係が運命的に繋がっていく。
サンフンの父親は殺人罪で出所したばかり。妹を包丁で刺してしまい、母親は家を飛び出し車にはねられて死んだようだ。異母姉と甥ヒョンインとは口は悪いが仲良くしている。とにかくすぐに殴る蹴るの暴力男で口も汚いサンフンではあったが、道端で唾を吐いたところ、唾が女子高生ハン・ヨニ(キム・コッピ)のネクタイにかかってしまう。口喧嘩が始まるが、鬱陶しく感じたサンフンが思わず彼女を殴ってしまうという、最悪の出会い。「このチンピラ訴えてやる」とか「高校生は勉強してろ」とかで罵り合う2人だったが、何故だか仲良くなっていく。
ヨニの家では、ベトナム帰りの父親が精神を病んでいて、母親が亡くなってからは世話をするのも大変な状況。弟のヨンジェは遊んでばかりで金遣いが激しい。そんなヨンジェが友人を介して取り立て屋の仕事をするようになるのだ。サンフンにはその関係すらわからず、手下として働かせるようになる。この時点で、この2人が終盤の展開に大きく絡んでくることは予想がつくのだ。
新人の弟分でさえ、平気で殴るサンフン。これに我慢が出来なくなったヨンジェが金槌で彼をめった打ちにして殺してしまうのだ。終盤の怒涛の展開。甥のヒョンインの学芸会のために社長のマンシクとヨニを友達として引き合わせ、そしてヤクザな商売から足を洗おうと決心した直後の出来事だったのだ。
明らかに低予算の映画ではあるが、親子の血は切ることができないやるせなさを見事に表現した作品。
切なくて反吐が出る
サンフン役があまりにもハマってる。他の役者もピッタリだと思う。
最初から最後まで陰鬱だし主人公のサンフンの生き様には決して共感も出来ないのだが何故か涙が出てくる。
たぶん僕にとって今まで観てきた映画の中で三本の指に入るであろう名シーンは、河原での膝枕のシーン。
サンフンの泣き方、泣き声、その後、一緒に泣くシーンは胸を打たれた。
とにかく韓国映画はどうしても日本映画と比べてしまうのだが、ラスト付近のサンフンがハンマーでボコボコにされた後のアップのカットはそのリアリティも相まって日本の映画では絶対に観られないカットだろうと思った。
いやはや深いため息の出る映画でした。
“それでも暴力の連鎖は止まらない”
“それでも暴力の連鎖は止まらない”
ここに最低の男が居る。
何かにつけて暴力で自分の存在を示す。
ここに悩める少女が居る。
どうにもならない現実に絶望している。
この2人が出会う。
男は悲しい過去の記憶から脱却しようとして、暴力的になってしまった。
少女は、そんな男の底辺に潜む優しさに惹かれたのか、男の一方的な誘いにしばしば応じる。
まるで傷付いた2羽の鳥が、お互いの傷を舐め合う様に。
映画は一見恋愛映画の様な体裁を装うが、本質的な物は全く違う。
「高校生か?」
主人公の男は時々そのセリフを吐く。
なぜなら、男は暴力に対しての“或る踏ん切り”を高校生の時に感じたから。
実はその時、或る人物を悲しみの底に突き落としていた事を本人は知らない。
幸せな家庭に憧れる2人。
男は恥ずかしがり屋の性格故に、自分だけでは無く姉の幸せも同時に企む。
少女はやっと見つけた生きがいに喜々としていた。
崩壊した家庭が、少しずつだが新しく再生しかけて動き出したその時…。そんな幸せな空気を、切り裂く様に鉄槌が振り下ろされる。まるで“あの時”の様に。
それを行う人物は“あの時”の家族の人間。
お互いの存在を対照的に捉え、更なる悲劇へと向かわせる。まるでシェークスピア悲劇を見ている様だった。何と言う恐ろしい作劇術か。
凄い監督が現れたものだ!
(2010年4月22日シネマライズ UP theater )
息もできない感じ
冷徹な借金取りの男が男勝りな女子高生と出会いお互いが置かれている辛く苦しい現在過去から少しずつ解放されて行く姿を描く純愛ストーリー。母と妹の死の原因を作った父親に対して強い憎しみを持っているサンフン(ヤンイクチュン)は女子高生のヨニと知り合う。二人はそれぞれの境遇から逃避するかのようにお互い惹かれ合う。
ヨニと出会って優しさを引き出されたサンフンだったがヨニの弟であるヨンジェがサンフンの部下になり運命が変わる。
漢江でのヨニのひざにサンフンが頭を載せるシーンは涙が流れた。
サンフンは愛を知り亡くなることになったが死の時期としては幸せな最中だったからよかったのかもしれない。
なかなか良い映画でした。
泣ける
しゃべくりのTSUTAYA007で観て借りた。
久しぶりに映画で泣けた。
韓国映画は初めて観たけどとてもよかった。
サンフンが架け橋となって幸せな雰囲気をつくっているのがよかった。
シバラマ~~~~~!!!( ゚Д゚)
これは(・∀・)イイ!!
暴力と脅迫で借金を回収することを生業にしてる無骨な借金取りの男が、ふとしたことから女子高生と知り合いになって交流を重ねるうちに優しさを取り戻すという、話自体はさして目新しいものでもない。
でも一見関係なさそうな登場人物が、実は裏ではしっかりつながってるという設定が実に巧みで上手い。
その女子高生の兄貴が主人公の働く借金取りに就職し、主人公の下について借金を回収する方法を教わりながら働く。
その社長は主人公とは古い付き合いで、今は人懐っこい感じだけど昔はチンピラよろしく街を破壊して盗みや暴行を働いてた。
主人公は親父に虐待されて育ち、その勢いで親父は自分の娘、主人公の妹を殺してしまった過去があり、いまだに親父を憎んでいて顔を観るたびにぶん殴ってる。
そして女子高生の方も父親から虐待をされている。
そんな似たような境遇が互いを引き寄せたという側面もあり、徐々にいい関係性を作っていくが・・・
そして親父が手首を切った所に出くわし、そこでは人間性が発露し、憎んでも憎み切れない親父ではあるけど急いで病院に連れて行く。
そして主人公は人間らしさを取り戻す。
しかし自分の後輩、つまり女子高生の兄貴が仕事を覚えていくにつれ脅迫と暴力で返済を迫るやり方を覚えたものの、主人公は優しくなっていって次第に暴力を振るわなくなる。
それを観た後輩は、ふがいないと感じて主人公を殴り殺す。
そしてかつて主人公が歩んだのと同じような道を歩み、そしていずれ同じような流れになるだろうことを臭わせて終わる。
まず役者の表情が素晴らしい!!!
特に主人公のあのファッションがまた無骨さと暴力性を上手く表現できてるし、女子高生の気の強さも(・∀・)イイ!!
兄貴の狂気を感じさせる目つきと言い、姉さんの子供の表情もすごくイイネ♪d('∀'o)
監督主演のヤン・イクチュンは、暴力は暴力を生むという暴力の連鎖、そして憎しみは何も生み出さないことをこの映画で伝えたかったんだと思うし、それは見事に伝わってると思う。
あの「せっかくうまくいきかけたのに・・・」という残念さを醸し出す絶妙のタイミングで主人公を死なせる演出は本当に見事だし、あのタイミングで死なせることでこの映画の持つメッセージ性がより際立って観客に伝わると思うスンゲェ──―Σ(゚∀゚ノ)ノ─―─ッ!
韓国映画の中でも1、2を争う大傑作(`・ω・´)ゞ
いい
しゃべくりセブンで、原田泰造がオススメの映画として紹介していました。
2010年のTSUTAYA店員(?)か何かのオススメ映画ランキングで、
3位 アバター
2位 告白
1位 この作品(息もできない)
だというのを聞いて、そんなにいいのかと思い見てみたくなりました。
率直な感想は、なかなかよかったです。でも、
「心に傷を負って借金取りとして毎日暴力に手を染めて暮らしている主人公が、ある日女子高校生と知り合い、だんだん打ち解けて心通わせるようになる」
という、よくある感じのストーリーかなとは思いました。
終わりはなんとなく想像できたけど、やっぱり悲しかった。
基本的にストーリー全体は暗くて、見ると気分が落ちます。暴力シーンが多いので、見てるのがちょっとつらかったです。これを見ると、本当に救われない世の中はあるのだと考えさせられます。
この映画のコピーが、「二人でいるときだけ泣けた」なのですが、
見るとその意味がわかります。(まぁ、そのままの意味ですが。)
韓国映画としては、見てみて損はない作品です。
愛されていた。
ストーリーとしては、きっと似たような作品は、たくさんあるとおもうけど、
主人公サンフンと女子高生ヨニの悲しい心が、ゆっくり溶かされていく様な感じは、今までみたことなかった。
お互いのbackboneは、逃れられない暴力。そんな境遇を憎みながら生きることの辛さ。それを隠す為に暴力をふるうサンフン。それを隠す為に幸せと嘘をつくヨニ。そんな二人が漢江で会うシーンに心がざわついた。これから起こるもっと辛い悲しみが二人を包もうとしていたから…
監督と俳優をこなした、ヤン・イクチュン。この人これが「素」なんじゃないかと思わせる演技と、この役は、きっとこの子以外ありえないヨニ役のキム・コッピ。特にキム・コッピは、「目」が印象的だった。家に帰るとその目は、「絶望」「悲しみ」になるが、サンフンと会うと「慈愛」の目にかわる。さすが、韓国俳優のクオリティーの高さには、いつも感動しきりです。
あと、サンフンとヨニのデート(?)とサンフンの甥っ子と三人での幸せのはずの時間なのに「無音」という演出。この場面で明るい曲なんかが流れてきたら興ざめだったかも。へんに期待をさせないこの趣向にまたまた感動です。もう、だめだ!才能が溢れすぎてますよ。次回作も期待してます。そうそう最後に、
口が悪くて、暴力的なサンフンですがとても人を愛し、愛されていました。やっと気づくことができたのに…
ご飯、食べよう?
俳優として母国、韓国においてキャリアを積んできたヤン・イクチュンが私財を投げ打って完成させた、自身主演の人間ドラマ。
徹底的に登場人物たちを社会の底辺に突き落とし、そこから生まれる怒り、
衝動、やり場の無い葛藤を丁寧に掬い上げることで、類を見ない、観客を無条件に物語に引きずり込んでいく情念と、それでも上手く行かない毎日を必死に生きていく力を併せ持つ、秀逸な佳作として完成している。
「今日は、どなたとご飯、食べるんですか?」韓国にある程度滞在していると、知り合いの韓国人に必ずと言って良いほど尋ねられることだという。それだけ韓国では、日本以上にご飯を誰かと食べることを何よりも最優先させる文化が根付いている。
本作にも、唐突といっても過言ではないほどにいきなり、ご飯を食べる、あるいは作る場面が組み込まれている。人を殴り、大事にしたい人に殴られ、大切な人を罵って・・・。この物語の登場人物はいつも、何かを傷つけて、何かに傷つけられている。それでも、彼らは誰かとご飯を囲む。酒であったり、お菓子であったり、焼肉であったり。そして、その大切なご飯を囲む席を怒鳴り散らし、ぶち壊すのはいつも、男達だった。女達は拒絶され続けても、いつも寄り添い、一緒にご飯を食べようとした。
荒削りなカメラワークと、突き放した視線で描き出す物語においても、丁寧に寄り、見つめていくのは食事の場面。男が、最期の時、何故あれだけたくさんの人に泣いてもらえたのか。それは、どんなに荒んだ毎日でも人と向き合い、話し、一緒に食べようとしたからだと思う。暴力ばかりがクローズアップされがちな本作に潜む、食による小さな繋がりへの希望と、確信。この優しい視線も、今後の作品でどのように活かされていくのか、期待できる。
そういえば、ラストシーン、主人公ヨニの弟が荒れ狂うようにぶち壊していたものは、食べ物を売る屋台だった。ヨニはそれでも、諦めずに弟を見つめ、彼に話していくのだろう。
「ご飯、食べよう?」
暴力の嵐と純愛・・韓国映画の底力!
とにかくヤン・イクチュン演じる主人公サンフンが殴る、蹴る・・。借金の取立て屋なのだが、口より先に手と足が出る。
こんなサンフンは、幼い頃、父親の暴力で心に深い傷を負っている。
よく、DVされた者は自らもDVするようになる、というような話を(本当かどうか知りませんが)聞くが、この作品のサンフンは心が傷だらけのように見える・・。
そんなサンフンが、自分と同じように家族に問題を抱える勝気な女子高生ヨニと出会う・・。
サンフンのことを怖がりもしないヨニ・・そんな彼女に次第に心を許すようになるサンフン・・。
この二人のまさに“息もできない”ようなプラトニックな距離感がたまらなく愛おしい。手も握らず、キスシーンもない、ラブストーリー・・。
ヤン・イクチュン監督曰く、国家や社会から責任を押し付けられ続けたという韓国の“父親”たち。そういったものの歪みがこの作品に表現されているということを、日本人が感じとることが出来るか(私自身も鑑賞後に監督のインタビューを読んで知りました)・・なかなか難しいかもですね・・。
早くも今年「ナンバー1」映画!
暴力でしか自分を表現できないチンピラのサンフンと精神疾患の父とニートの兄を持つ女子高生ヨニ。同じ境遇で生きている二人はふとしたことで出会い、ひと時を過ごすことになるというストーリー。
喜びも・悲しみも・憎しみも全ての表現を「暴力」というかたちでしか表すことができないサンフンの不器用さがストーリーが進むに連れより深みを醸し出す。
「暴力」とは?「肉親」とは?まさに「息もできない」ストーリーは今年のナンバー1!!
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