「私の好きな名シーンが入ってないのが残念極まりない。」SPACE BATTLESHIP ヤマト KIDOLOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)
私の好きな名シーンが入ってないのが残念極まりない。
私が一番好きなのはヤマトが初めてエンジンをかけるシーンだ。ヤマトが発進する少し前に敵に見つかってミサイルを発射されてしまい一発でエンジンをかけないと破壊されてしまう状況にあった。エンジンをかけると最初にズーンと大きな音がするのだが、すぐに止まってしまう。乗組員たちがみんな狼狽して騒ぎ出す。すると艦長の沖田十三が叫ぶのだ。「うろたえるな!」その言葉に皆ピリッとしてシーンと静まり返る。すると聞こえてくる・・・かすかなエンジン音が・・・波動エンジンは動いていたのだ。沖田はすぐに発進を指示すると、船体を傾けさせた。ミサイルが飛んでくる方向がほぼ真上なので主砲の可動範囲を超えていたのだ。船体を傾けさせると言う素早い判断と同時にヤマトが船体を傾けて主砲を発射しミサイルを爆破させるシーンがとてもかっこ良かった。そしてこのシーンがあることによって沖田十三すげえ奴という印象が頭に刻み込まれるのだ。あのシーンから子供達はヤマトが大好きになったのだ。なぜあの名シーンをやらなかったのだろう?
もう一つは最後のところだ。自分を助けようとして死んでしまった森雪を抱いて古代進が管制室に現れる。 そして目の前に見えている地球を見せようとして「帰ってきたよ」と囁く。折しも艦長室ではちょうど沖田十三が息を引き取ろうとしていた。「 人間の魂は死んだらどこへ行くんだろう」とつぶやいて彼は死ぬ。するとそのすぐ後で死んだはずの森雪が目を覚ますのだ。目の前で起こった奇跡にみんな歓喜する。なんと素晴らしいラストシーンだろう。話全体が SF で、それまでずっと科学的にやってきたというのに最後の最後で魂ですよ。そこんところに私は松本零士イズムを感じてとても感激した。その素晴らしいシーンがこの映画に無いのは一体どういうわけだろう?
でもまあ全体的にはうまくまとまっていて日本映画にしてはかなり良かった。この監督には是非一皮むけてほしいものだ。
そしてこの映画を見て
私は中学生の時、古代進や森雪達と一緒にイスカンダルへ行ってきたのだということを思い出した。だから一言付けくわえたい。サンクス。