「自分にとって大切なのは。」君が踊る、夏 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
自分にとって大切なのは。
チラシやポスター等で、初めてこのタイトルを見た時、
ん?と思った。別におかしなタイトルではないのだが^^;
映画のタイトルというより、違うもののタイトルのような
感じがしたのだ。で、後半「あ~なるほど」となった時、
作品につけるタイトルの種類ってやはりあるんだな、と
それでどう鑑賞者に訴えるかって部分もあるんだな、と
妙に納得してしまった次第^^;…明らかに余談ですが。
で、肝心の内容は、、
話題の高知県を舞台によさこいと恋愛と難病を見事に
ミックスさせた青春映画?といったところ。
本編の前に実在の少女を基にした物語だということが
流されるが、その少女が主人公という風でもなく^^;
古典的な内容に古臭いプラトニックな台詞、必ずしも
巧い!とは言い切れない踊り方…など、突っ込み所は
満載なのだが、これがまた意外に爽やかで好感触!!
(おそらく観る年代にもよるとは思うのだけれど^^;)
昨今の殺伐or過激化した映像世界に辟易した身には
なんとも爽やかな心持ちになれる良作だった。
主人公は田舎を出て、都会でカメラマンを夢見る青年。
学生時代に恋人や友達と踊ったよさこい祭りの想い出
をカメラに収めて一緒に上京するはずだった恋人と別れ、
(その恋人の幼い妹が難病に侵されているとは知らず)
たまたま母の病で帰省した折に全てを知ることになる。
互いに想いを残し、誤解が元で親友とも素直になれない
主人公のもとへ、難病の妹がよさこいを踊りたいという
願いを叶えるべく、もう一度チームを再結成させたいと
彼女が切り出すのだが…。
青春映画につき物の、キュンキュン♪する場面はあるが、
とにかくこの二人の恋愛を見ていると、ある意味イライラ
する。なぜ彼女は彼に本当のことを言わないのだろうか。
好きだからこそ言わない(言えない)という我慢強さが、
却って苦しくなるほど相手のことを思い遣る意思の強さに
後半はグイグイと引っ張られる感じがした。私だったら、
あんな時どうしただろう…。彼の夢を遮ることができたか。
彼にしてみれば、彼女がいてこその夢であったのかも
しれない。。まぁそれは、あとで気付くことになるけれど。
とりあえず若い頃は、そこですぐ結論を出すのではなくて、
何でもやってみる方に賭けるべきだと私も思う。
やらずにグチャグチャ後悔するくらいなら、やって自分の
才能のなさに泣いた方が潔い(あ~自分で言ってて辛い)
ラストの選択は、まぁ…ドラマ的だとしても^^;
このタイトルが意味を成す、あのシーンにはグッときた。
なにが自分にとって一番大切なものだったかは、だから、
いろんなことを経験したずっとあとで分かってくるのだ。
自身にとって当り前の風景や物が、他人に感動を与える
のにはワケがある。作り手の愛情が伝わるのは、案外
何の計算もない素顔に愛着を持っているからなのかも…?
(キレイに撮ってね。なんて言うとレンズを外されるかしら)