劇場公開日 2010年5月22日

  • 予告編を見る

「西原さんが2回観て2回とも号泣したらしいです」パーマネント野ばら septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5西原さんが2回観て2回とも号泣したらしいです

2010年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

このストーリーの流れ
今年の潮流なのかなぁ
予告編にそれらしきヒントは
出ていたけど、ココまで続くと
感動の沸点は、下がっちゃうよね・・・

上映終了後、頭に浮かんだ感想には、
類似作品タイトルもあったのですが、
それを書いてしまうと、速攻でネタバレに
なってしまいますので、ここは勇気を持って割愛します(苦笑)

上映終了後の反応は
どちらを多勢と見るべきか
判断が難しいところでして、、、

①映画祭上映にも関らず、上映終了後
 劇場から拍手がまったく起こらず
 (一応、私はお義理でするつもりだった。
  拍手をしないほどつまらなくはなかったし、
  エンドロールでは作品の余韻に浸れましたから)

②吉田大八監督ティーチイン後、
 映画館を退出する皆さんの表情は
 笑顔の人、多し。特に女性のかたの笑顔が目立ちました。
 あとは、映画祭関係者らしき人の姿が、ここまで目立ったのも初めてかな(苦笑)

西原さん原作
『いけちゃんとぼく』『女の子ものがたり』

吉田監督
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』

舞台上の監督、司会者、質問者の女性からは
「過去の西原さん原作の映画の中では断トツだった」

また、
「西原さんが2回ご覧になられて2回とも号泣していた」

とも、今作を紹介されていましたが、
単に、私が天邪鬼なだけなのかな???

そう、言われると、
どうも発言に恣意的なものを感じてしまって
ドン引きしてしまうんですね。身内で褒めあうのは舞台裏だけにしようよ、と。

通常、上映後のティーチイン終了後は、
テンションだけでなく、作品への評価も上がるのですが、
今作に関しては、まったく逆の展開になってしまいました。

司会者が
「もう観るのは今回だけでいい人、手を挙げて」と
質問をしたとき、大真面目に手を挙げてやろうかと思いましたからね。

そこは大人の対応で我慢しましたが、
ここまでグダグダのティーチインは、
私自身のコンディションもあるのでしょうが、初めてでした。

◇     ◇

西原さん作品、吉田監督作品、
ハズレはありませんでしたので、楽しみにしていました。

今作、わたしの中では、
断トツとまでは行きませんし、
号泣もしませんでしたが、作品世界を
十分に味わい、堪能させていただきました。

原作者の西原さんが2回観て2回とも号泣していた

これが案外キーワードかな、と思っていまして、
つまり原作者の意図が今作では、キッチリと表現されていると
いうことだと思うんです。だから、私のように原作未読の人よりも
既に原作を読んだ上で、原作を良かった、と感じて劇場に足を運んだ人のほうが、
今作に対して、未見の人と比べると、心を激しく揺さぶられるのかな。そんな気がします。

◇   ◇

菅野さん、池脇さん、小池さん。
大好きな女優さんばかりで、みなさん
それぞれ個性を発揮されていましたが、
一番心に残ったのは、このお三方ではなく菅野さんの娘さんを演じた女の子。

要所要所で垣間見せる
なんとも表現しがたい
表情がとても印象に残っています。

ネタバレ防止でひとつだけにしますが、
海に買ってもらった自転車が落ちてしまうシーン。

海に落ちた自転車を見つめている表情

悲しむだけじゃなくて、そこには
普通あの年頃の女の子なら受け止めきれないであろう
様々な出来事が彼女の中で、グルグルと蠢いているように見えて

なんて表情をするんだろ

ここで映画の世界の中に完全に入り込むことができました(笑顔)

☆彡     ☆彡

撮影されたのは高知県宿毛。

劇中でパーマ屋として使われた場所は、
現在「野ばら記念館」として撮影風景写真などが展示されているそうです。

また、劇中にも地元のかたが多数出演。
映画後半の某シーンでは、地元の人が
役者の演技につられて一緒にフレームインしてしまったことも。

ちなみに、このシーン、そのまま劇中で使われております。
え~~~、プロかと思えるほど、まったく違和感ございません。
吉田監督が教えてくれなければ、まったくわからなかったでしょう(苦笑)

こうしてレビューを書いていると
1日寝かせたこともあってか頭の中が
整理されてくるのが不思議だし、うれしい(笑顔)

星の数は迷う所ですが、
地元の温かい心と吉田監督のサービス精神を
プラスして、3,5点とさせていただきます。

septaka