「ツァーに参加した人々に捧げられるべき作品」マイケル・ジャクソン THIS IS IT マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ツァーに参加した人々に捧げられるべき作品
後楽園球場でライブを見てからもう22年が経つ。近年のマイケルは、これといった活動もなく、聞こえてくるのは奇行と醜聞ばかりだった。それが12年ぶりにワールドツァーを開催すると聞いたとき、正直、大丈夫?と思ったものだ。身体は動くのか?金銭的窮地に対する急場のシノギだと訝った。
ところがどうだろう。このリハーサル映像を観て、なんの危惧も不要だったと思い知らされる。以前は手足の末端まで緊迫した動きが、いまや、ゆとりさえ感じる“マイケルの完成された姿”を見ることができる。また、バックダンサーたちの動きに対してはもちろん、音のひとつひとつにもこだわりを見せるマイケルは、もはや演者ではなく、ステージを完璧なものに導くコンダクターだ。かと思えば、ステージで使う3D映像の製作現場では、チュッパチャプスを頬張り、モニターの映像に歓喜する無邪気なマイケルがいる。
生きていたら、ツァーは大成功したに違いない。なぜなら、マイケルは最後までファンが喜ぶことしか頭にない、真のエンターティナーだからだ。
よくできた作品だが、マイケルが亡くなってすぐに、この作品の企画が立ち上がったのには、ショービジネスの商魂の逞しさを感じたものだ。
それでも、本作を観ると、マイケル本人よりも、ツァーに参加した人々の実績をこういう形で残せたというのはいいことだったと思う。
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