花のあとのレビュー・感想・評価
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凛とした美しさ
拙ブログより抜粋で。
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一歩間違うとただかったるいだけのゆったりとした時間の流れに、中西健二監督の信念が滲む。
じっくりと時間を掛けて描かれる細やかな所作が、美しい“和”の伝統を伝えるとともに、この時代の厳しさも伺わせる。
そんな時代を生きる以登が貫いた恋、そして見つけた愛。
それまでのじれったいほどの時間の流れがあるからこそ、女一人で挑まんとする立ち回りに手に汗握り、ラストシーンのただ歩き続ける姿に感動がわき起こる。
このラストシーン、ほんとに素晴らしい終幕だと思う。実は予告編にも含まれていたのだが、映画のラストシーンとして観たとき、その見え方がはっきりと違う。
想いを貫き、それを果たした充実感。新たに見つけた愛の後ろ姿。
丁寧に一々の所作を捉えた演出はまるで時間が止まったかのような錯覚に陥らせるが、最後の最後で1カットで捉えた延々と歩き続けるその姿には確かな未来が見える。
(中略)
映画自体が凛とした美しさを湛え、チャンバラとは違う時代劇の良さを今に伝える。
咲き誇る桜を愛でるように、ただ静かに日本の良さに感じ入る。
素晴らしい佳作だ。
北川景子の挑戦
爽やかな気持ち
爽やかな後味が残りました♪
藤沢周平原作。
原作は未読で向かいました。
まもなく
劇中のように
桜も満開になるのでしょう。
劇場は自由席。
劇場の思惑通り約10名ほどとガラガラでした。
☆彡 ☆彡
爽やかな後味が残りますねぇ(笑顔)
映画の中身よりもチラチラと垣間見える
北川景子所属事務所の思惑のほうが気になったんですけど(苦笑)
時代劇ですから
当然なのですが、
とても“和”の情緒溢れる作品でした。
それは時代ある家や衣装だけでなく
半年間練習を重ねたという殺陣や、
扉の開け閉めなどといった細かい
所作からもにじみ出ていました。
要領よく
効率よく
なにごともせっかちな時代
孫四郎の器の大きさとともに
昔に学ぶべきことの多さを痛感させられました。
◇ ◇
北川景子さん、
かなりサマになっていました。
殺陣、剣術シーンだけなら
『ブザー・ビート』で仲良くなったという
『龍馬伝』出演の貫地谷しほりさんのほうが上ですけどね(苦笑)
今まで現代劇では
見せたことのない清楚な姿に驚きました。
今作のように
強気でありながらも
ときに女性らしい恥じらいをみせ、
男性をたて一歩うしろにひいてついていく。
新境地といえなくもなく、
藤沢周平原作というところからも
従来とは異なるファン層を開拓に来た気がしました。
彼女
フジ月9のヒロインを演じたとはいえ、
綾瀬はるかさんが持つ1位の潜在視聴率には、遠く及びませんからね
(ちなみに2位は佐々木希らしい)。
『間宮兄弟』の
お姉さんも復活しました(「別に」の人)。
これからが正念場ではないでしょうか。
☆彡 ☆彡
と、なんとなく
北川景子さんの
人物レビューみたいに
なってしまいましたが、
役者さんの演技、存在感もよく、
スローでありながらも、決して、
だれることのない、良い作品になっていました。
北川景子さん、
テレビ朝日の枠を超え、
いろんなメディアに登場して、
一生懸命、今作の宣伝をしています。
若い女の子が
キャー!キャー!
黄色い声を上げて
応援していますが、
今作のターゲットとはずれている気が。
『はなまるマーケット』はドンピシャでしたけど(苦笑)
1,800円の一般料金に見合うかどうかで
B+にしようか、A-にしようか、
迷うのですが、モーニングショーなどの
サービス料金ならアリだと思いますので、
A-に近い、B+とさせていただきます。
私は、北川さんのファンだから
普通に、満足はできましたよ(笑顔)
昔の人が似合うのかな。
北川景子の殺陣シーンが素晴らしい。けれども・・・
海坂藩の堀端は、春爛漫に桜が咲き誇り、
水面にその花弁を敷き詰めていた。
枝に留まる花びらも、一片二片と舞い散り、
華やかりし花のあとの、
寂静が忍び寄っていたのだった。
人の一生においても、華やか時のあとは、寂しさばかりが募るばかり。けれども主人公の以登は、若き頃の一瞬の華を何十年も忘れず、大切に仕舞って、心の糧としていたのでした。
満開の桜の下で以登に声をかけたのは、羽賀道場の高弟・江口孫四郎でした。父・寺井甚左衛門に剣の手ほどきを受けた以登は、道場の二番手、三番手を破るほどの剣豪だったのです。わずかでも孫四郎の人柄に触れた以登は、父に孫四郎との手合わせを懇願します。
念願叶って、孫四郎と剣を交えたとき、女だからと手心を加えない真剣さに、一瞬で胸を焦がしてしまった自分がいることに気がつきます。ただ一度の手合わせで以登が感じたものは、紛れもなく初めての恋とかなわぬ想いでした。
どんなに思い詰めても家が定めた許婚がいる以登は、孫四郎への想いを断ち切ります。 許婚の才助は、粗野で大飯ぐらい。生理的に嫌悪感を感じてしまった以登は、婚儀が済むまで、指一本も触れることを許さぬくらいに、才助を拒み続けたのです。
その数ヵ月後、孫四郎が藩の重役・藤井勘解由の卑劣な罠にかかって自ら命を絶ってしまいます。江戸から帰国した才助の手を借りて事件の真相を知った以登は、孫四郎の無念を晴らすために、そして自らの淡い想い出のために剣を取るのでした。
才助は以登の想いをわかっているにも関わらず、笑って気安く彼女を手助けします。凡庸な人物なら、そう簡単には感情を殺せないだろうと思います。そうに見せてしまう才助の心の広さと非凡さが意外でした。
才助は後に家老に出世して、昼行灯と呼ばれたと老いてからの以登が語っていました。 そんな以登の一途さと、それを優しく包み込む才助の心象に心が沁いくような「原作」だったのです。
映画では、随所に冬の鳥海山が写し込まれて、映像美溢れるところは、監督が替わっても『蝉しぐれ』『山桜』とシリーズ共通のこだわりのようです。
冒頭の以登と孫四郎が桜の下で出会うところも、凄く『山桜』に似ています。ただ、ここから数シーンに渡って、ふたりの台詞が完全に棒読みで、興ざめしました。なんであんな演出をするのか、理解できません。
宮尾俊太郎の映画出演は初めてなので、経験不足だったのかも知れません。孫四郎の演技に固さを感じました。『山桜』の冒頭のふたりが出会うシーンが、凄く良かったので、本作でも、孫四郎に東山紀之クラスの俳優を投下したら、もっと引き締まった作品となったことでしょう。
比べてみますと前作『山桜』の篠原哲雄監督の演出が、際だって良かったですね。
それでも、北川景子の殺陣には感動しました。素人目にも半年間みっちり鍛錬に励んだという努力の跡が感じられました。敵役の藤井を演じる市川亀治郎と果し合いシーンでは、尋常ではない気迫で迫ってくる亀治郎に、五分で殺陣にぶつかっているのです。役者としてはどんなに恐かったことでしょう。
この真剣さに加えて、孫四郎との試合の後、一瞬覗かせる女しての恋する顔、この素早い変化を演じ分けられたからこそ、たった一度の出会いで抱く恋心が、その後の仇討ちに繋がる展開に現実味を持たせてくれました。
シリアスな展開のなかに、剽軽さをもたらしてくれるのが、才助の存在。ポーカーフェイスを気取りつつも、一度行動すると、持ち前の巧みに人を動かす才能を発揮するなど、一見馬鹿のように見えて、なかなかドラマのキーマンとなっていました。しかも抜け目なく以登を見守っていて、ピンチの時どこからともかく現れて、仇討ちの後始末を引き受けます。(何故か剣では加勢しようとしなくて、見殺しにしていたのが気になりましたけど)そんな才助を表情豊かに演じた甲本雅裕の演技も、良かったです。
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