劇場公開日 2010年3月13日

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「凛とした美しさ」花のあと かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凛とした美しさ

2010年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

拙ブログより抜粋で。
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 一歩間違うとただかったるいだけのゆったりとした時間の流れに、中西健二監督の信念が滲む。
 じっくりと時間を掛けて描かれる細やかな所作が、美しい“和”の伝統を伝えるとともに、この時代の厳しさも伺わせる。
 そんな時代を生きる以登が貫いた恋、そして見つけた愛。

 それまでのじれったいほどの時間の流れがあるからこそ、女一人で挑まんとする立ち回りに手に汗握り、ラストシーンのただ歩き続ける姿に感動がわき起こる。
 このラストシーン、ほんとに素晴らしい終幕だと思う。実は予告編にも含まれていたのだが、映画のラストシーンとして観たとき、その見え方がはっきりと違う。
 想いを貫き、それを果たした充実感。新たに見つけた愛の後ろ姿。
 丁寧に一々の所作を捉えた演出はまるで時間が止まったかのような錯覚に陥らせるが、最後の最後で1カットで捉えた延々と歩き続けるその姿には確かな未来が見える。

(中略)

 映画自体が凛とした美しさを湛え、チャンバラとは違う時代劇の良さを今に伝える。
 咲き誇る桜を愛でるように、ただ静かに日本の良さに感じ入る。
 素晴らしい佳作だ。

かみぃ