劇場公開日 2025年12月5日

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「浴びるように体験するアニメーション」REDLINE 彩雲さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 浴びるように体験するアニメーション

2025年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

驚く

「石井克人ワールド 30th Anniversary」のリバイバル上映で初鑑賞。
終映日でしたが、数名のお客さんのみでした。
静かな客席と対局に、爆発的な熱量で展開されるアニメーションの台風というかハリケーンというか。
隠れた怪作、もとい快作、今まで知らなかったことを後悔。

アートワークを見た瞬間に、少年時代に見たオムニバスアニメ作品「迷宮物語」の一篇 「走る男」が思い浮かんだんですよね。
小池健監督がキャリア初期に川尻善昭さんの作品に多く参加されていたという事を鑑賞後に知り、私の直感が外れていなかったと驚きと納得感。
近年のLUPIN THE IIIRDシリーズも本当に素晴らしかったですね。

ハードボイルド、バイオレンス、エロス、パンチの効いたギャグ、加速度や爆発力、とにかく作画もデザインセンスも強烈。
誇張が効いた構図、止まってても動いててもとにかくカッコいい。
石井克人さんの日本人離れしたセンスがこんなに贅沢な形でアニメーション作品として実現した事は奇跡的なことですね。
声優は木村拓哉さん、蒼井優さん、浅野忠信さんという、えなんでと思う布陣なのですが、特にソノシー役の蒼井優さんは一聴して分からない程ハマってたし、独特の色気が声に乗ってて演技力の高さに驚きました。
浅野さんはビジュアル的には作品に合ってそうなんですがちょっとミスマッチだったかなと思いました。
木村さんはJPの破天荒さと優男ぶりが絶妙にブレンドされたいい演技でした。

とにかく浴びるように体験するアニメーション、考えるな感じろという感性に全振りした作品です。
アニメーションの面白さを脳天直下で味わいたいという人は絶対楽しめる作品だと思います。
手描きにこだわった作品として、恐らく今後ここまで突き抜けた作品はもう出てこないのでは?
人間ができる限界に到達してるのではと思えるほど作画は凄まじいです。
原画では今石洋之さんやすしおさんといったTRRIGER組も参加していたり、スタッフロールも気が抜けない笑
AIだ、CGだっていう現在、自分が見たいのはこれなんだよって強く強く感じた稲妻のような作品。
音の存在感、迫力も最高でした。是非またシアターで見たいと思える作品でした。

彩雲
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