グッド・バッド・ウィアード : インタビュー
チョン・ウソン、イ・ビョンホン、ソン・ガンホという3大スター共演が話題の韓国製ウェスタン活劇「グッド・バッド・ウィアード」。8月29日の日本公開を直前に、主演のビョンホン、ウソンが来日し、インタビューに応じた。(取材・文:編集部)
イ・ビョンホン&チョン・ウソン インタビュー
「もともとの西洋の西部劇とは、違うものになっていると思う」(ビョンホン)
「脚本を読んで、3人のバランスがとてもよく取れていたのに感心した」(ウソン)
――さまざまなアクションシーンがありますが、大変だったこと、挑戦だったことは?
イ・ビョンホン:「僕は初めて馬に乗ることが挑戦だった。乗りながら銃を撃ったり、近くで爆破があったりして、いつどこでなにが起こるか……。落馬するかもしれないし、誰かが怪我をするかもしれないしね」
チョン・ウソン:「僕は、あのカウボーイスタイルの衣裳を着ること自体が挑戦だった。あの衣裳は、まさに西部劇に出てくるもの。いわば西洋の人々のものであり、東洋人である自分が着て、その上でアクションをして、観客が違和感を抱かないか心配だった。また、クライマックスの大平原での追撃シーンは、あれだけの馬や車を走らせながら銃弾も飛び交い、とても大規模な撮影で大変チャレンジングだったけど、スピード感とスペクタクルに溢れ、映画史に残るアクションシーンになったと思う」
――中国のゴビ砂漠での長期ロケも大変だったのでは?
チョン・ウソン:「僕は何度か中国ロケを経験していて、今回の2倍以上の期間を使って中国で撮影したこともあるから、以前に比べれば自分でも慣れてきたと実感した。ただ、初めて中国ロケに参加した俳優やスタッフは大変だったと思う。そんな苦労の中で100%自分の役割を果たした俳優やスタッフを誇りに思うよ。イ・ビョンホンさんやソン・ガンホさんには、すごく大変だと言っておいた。あらかじめそうして脅かしておけば、考えていたよりもマシだと思うようになるからね(笑)」
イ・ビョンホン:「そのおかげか、他と比べて今回が本当に大変だったかはよくわからなかったよ(笑)。でも、やはり大変だったというのは事実だな。特に砂嵐がね。いい天気だったのに、遠くのほうから黒い物がすごい勢いで近づいてきたかと思うと、一瞬にして1メートル前も見えなくなる。中国の現地スタッフは、そんな状況を数多く経験しているからか、砂嵐が起こる前にさっさとどこかに隠れてしまう。韓国スタッフにそのことを伝えてくれなかったので、当初はとても苦労したな。あとは、撮影時期が夏だったので、40度を超える灼熱も悪条件のひとつだった。その上、僕は食事制限中だったので、現地の美味しい中華料理を口にすることができず、韓国から持ってきた缶詰を食べていたのが苦痛といえば苦痛だったね(笑)」
――韓国の3大スターが揃ったことで、引き出された自分の魅力というものはあったと思いますか?
イ・ビョンホン:「僕たち役者は、それぞれが与えられた役柄を忠実に演じていくだけだ。そこから生まれてくる3人の調和やキャラクターの個性、魅力を、あとは監督がうまくいかして撮影し、編集して仕上げていく。僕たち俳優は、自分が与えられたキャラクターを忠実に演じていくということを考えていればよかったと思う」
チョン・ウソン:「最初に脚本を読んで、3人のバランスがとてもよく取れていたのに感心したけど、実際に出来上がった作品も、脚本の通りにバランスが取れていたものになった。それが観客に伝わることが大切だね。僕は特にソン・ガンホさんとのやりとりが多かったけど、2人がやりとりすることによって、妙な面白さが出てきた。ソン・ガンホさんと僕という組み合わせだと、観客も相反するイメージを持っていると思うし、期待するものも違うと思う。そういう2人の俳優が演じる2人のキャラクターがぶつかりあい、そこから醸し出される面白みが、ちゃんと映画の中に盛り込まれていたと思う」
――タイトルが「続・夕陽のガンマン(The Good, The Bad And The Ugly)」のもじりで、さまざまな西部劇の要素が入っていますが、イメージしたもの、参考にしたものはありますか? また、好きな西部劇などがあれば教えてください。
イ・ビョンホン:「子どもの頃の楽しみは、週末にテレビでやる名画を見ることで、そこでは西部劇もたくさんやっていた。西部劇には、当時の子どもたち、特に男の子が好きなロマンが溢れていたと思う。セルジオ・レオーネの『夕陽のガンマン』も何度も見たよ。この映画に入る前に、もう一度見てみようかと思ったけど、やめたんだ。自分はあくまでも、今回の映画で新しい人物を創造していく立場だから、それらの作品を見ることで、知らず知らずのうちに、真似てしまうところが出てきてしまうのではと思ったからね。だから、いっそのことそれらの作品は忘れてしまおうと。それに、この映画は見てもらえればわかると思うけど、もともとの西洋の西部劇とは違うものになっていると思うよ」
チョン・ウソン:「僕も同じように、子どもの頃にテレビで西部劇を見るのが楽しみだったけど、この作品に入る前はあえて見なかった。監督はそれらの映画を見て再確認し、いろいろ考えたかもしれないけど、少なくとも僕は見なかった。あくまでこれは韓国の映画であり、韓国のスタイルの西部劇だから。それに、ジャンルとしては西部劇と銘打っているけど、本当にこれが西部劇に見えるか?といったような、さまざまな試みが含まれた映画になっていると思う」