「貧乏と幸せ。」ゲゲゲの女房 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
貧乏と幸せ。
あれほど話題になった朝ドラの方は全く見ていなかった^^;
そもそも向井理と松下奈緒って(爆)なんか知的で綺麗すぎ。
(あ^^;水木先生、すいません)
今現在のお二人の笑顔がなぜこんなに素敵なのか、今作を
観てハッキリと分かった。
暗くて寒い、貧乏まっしぐらの話である。(爆)
が、そんな中で長らく育んでこられた夫婦の絆というものが、
これでもかこれでもかと訴えかけてくる不思議な作品である。
少し前に見たTV対談で、水木ご夫妻が肩を並べていた。
目の前のお菓子をパクつくしげる氏、あとでねというと、
「僕はね、食べられないもんは何もないの。皿以外はね。」
「固いから。(爆)」
「ほんとにこのヒトは何でも食べるんですよ。皿以外はね。」
「そう、固いからね。皿は。(爆)」
そして二人であっはっは♪と笑う。
この朗らかさとそっくりな笑い方に、いいな~このご夫婦v
と羨ましくなった。しかし今作を観て、更に納得してしまった、
今こんな風に笑いとばせる二人の生活が、並の貧乏でなく、
過去にあんな生活があったからこその笑顔だったんだな、と。
好きな仕事を商売にしているのだから、それで簡単に稼げると
思ったら大間違い。未だに苦労する人もゴマンといるだろう。
しかしそんな夫に嫁いだ妻は(しかも見合い後、たった5日で)
今晩の白飯から困ってしまうほどお金がないことを知るのだ。
まさかと思いつつ家具を質入れし、足りない原稿料で毎日を
のりきる。ゲゲゲ、というよりまさにゲゲーっとなる毎日(T_T)
それでも愚痴ひとつ言わず(弱音は吐いてたけど)黙々と働き、
いつかは売れてお金が貰える。と信じて頑張る二人。僅かな
望みに泣き笑い、腐ったバナナも一緒に食べれば美味しいと、
こんな細々とした生活をしているのに意志は骨太なのである。
特に飄々としたしげる氏を演じたクドカンは、かなりハマリ役^^;
ヘラヘラ笑ったと思いきや、仕事は真面目一貫、夢もあって、
自分の仕事に大いなる誇りを持っている。かなり言葉少なで、
腹立たしい一面もあるが(爆)あーこのヒトならば絶対憎めない。
こんなしげる氏だから、布枝もあれ程頑張れたのではないか。
吹石一恵もあのしっかりした太眉に決意を込め^^;沈みつつも
朗々と夫を支える妻を好演、あまりに貧しくて笑顔もないのに、
まったくこの二人の間には悲愴感が漂わない(妖怪パワーか)
前向き前向きと聞こえはいいが、お金がないとどうしたって
気持は後ろ向きになるものだ。結婚生活とは、まずそこから
土台が備わっていくものなのに、無い無い尽くしの夫婦には
希望の欠片すら見えてこない。しかし苦肉の策^^;かどうかは
分からないが、作家や芸術家には想像力や空想力なるもの
が働いて、辛い現実を理想的に描く能力が備わっている。
更にしげる氏には戦争で片腕を失うといった辛い過去がある。
今がどんなに貧乏だろうと、生きてさえいれば何とかなる。
「僕は貧乏は平気なんです。」
この朗々とした台詞の裏に、幾多の困難があったことだろう。
こんな時こそ夫婦力が試される。
昔の夫婦って、些細なことで別れたりはしなかったもんね。
チキンカレーに込められたささやかな願い(爆)が叶いそうに
なった時、キャーキャー喜ぶ二人の笑顔を見て嬉しくなった。
いまも、あのまんまの素敵なお二人である。
(我が家も貧乏だった^^;自慢じゃないけど私も貧乏は平気)