「既存の映画産業形態をはみ出た(現実の惨事ににじり寄った)、「エクソシスト」と並べて映画史 に残すべき超傑作。」マーターズ(2007) equinoxさんの映画レビュー(感想・評価)
既存の映画産業形態をはみ出た(現実の惨事ににじり寄った)、「エクソシスト」と並べて映画史 に残すべき超傑作。
全くの主観・個人の経験に基づくが
“宗教”という言葉に拒否反応を示さざるを得ないこの国。
(いや、既にもっと悪い方へひっくり返っているかも?)。
しかし、この映画に示されているような
“金持ちが集まる(ここではキリスト教的な)宗教団体”では、
昔から異常犯罪が常習化されていて、教義の為なら
団体外の人間など屁とも思わんらしく
(私が食肉用の家畜やモルモットを見る目と同じかな。
まさかあの連中もそんな目で他人の生活を奪うのか?)
まるで玩具を弄り壊すように“モテアソブ”事が、
教義の実現・発現の名のもとに
日常的に行われている(のであろう)。
この狂った集団は即刻壊されるべき“悪”であると、
今我々は「こんな連中は悪魔の手先だと思っている」と、
大前提として思っているという体で、
この映画では描かれているのだと、
この“強烈過ぎる感じ”に、そういう意図を
ちょっと感じさせて頂きました。
監督はこの映画の撮影時、かなり精神的に
追い込まれていたと、後に言っている。
前作にはちょっと夢見がちでおセンチな、
別世界への憧れとも思える甘めの味付けが感じられた。
国を限定せず世界中に有った筈の、戦争と母子の痛みを
観せる為に国籍不明感が必要だったかと思ったりした。
(最後の空間の凄絶な冷たさ、
日常生活からいきなり連れて来られた人間の
無力感で、その甘みが一切否定されたのか?
ちょっと「あ、ココだ」とは感じたが。)
にしても今回はなにしろ直接、「暴力」そして「犠牲者」を、
しかもかなり徹底的に見せ付けて来ている訳だし。
こんな映画作っていいのかと躊躇したのか?
脚本も書いた監督は、復讐し殺し続けて来た少女なのか、
それに付き合わされ続けて来た、少しスレてはいるが
まだ少し健康な部分もあるし家族もいるらしい少女なのか、
それとも愉悦に浸りながら狂いまくった悪行を続ける
一般市民(?)の皮を被った“悪”の団体なのか、
はたまたその悪行を知らずに平和に胡座をかくその家族なのか、
誰に寄り添えと、観客席にのうのうと座ってフィクションを
愉しみ続ける我々に語り掛けているのだろう。
でそのフィクションでは、少女が惨たらしい記憶を頼りに、
自分の、狂わされた一生の復讐の為に
その家族を子供含めていきなり皆殺しにする。
その家族の幸せな時間をたっぷりと
お腹一杯観せられてからのイキナリの虐殺である。
ピンポン鳴った時も、近所の知合いかと思ってたし。
果たしてその家族な幸せこそが少女から奪われたものなのか。
親が宗教団体構成員なのだと少女は言い張るが
長年の友人は信用している訳では無い。
現在の本人は歳が判り難くなっているが、
中身は事件から一切成長していない、
イカレたまま戻って来られないヒトとして
描かれているようである。
彼女はまるで一切の説明も弁護もせず
世界の総てと戦って、ただ自分を守っていたい、
守って欲しいだけなのに、さらにどんどん深く
傷付きまくって来た孤独な子供の一人のように見える。
そして映画後半、話はひっくり返るのだが、
なんと前半の少女の復讐は既に意味を成していない。
“悪”はここでも何ひとつ変わらない。
直前にあった“少女の復讐”など“悪”には微塵も効いていない、
どころか、次の犠牲者に向かって堂々と教義を語っている。
“神”や“仏”は尽く、侵略や破壊や、
社会を自分達に都合よく作り替える為の建前、言い訳として
永くあり続け、恐らくは現在も未来も機能し続けるだろう。
しかし“今回の少女”の一言が
宗教団体の婆の望みをへし折り、殺した。
それは人類の“進化・成長・悪からの脱却”への
小さな希望だと思いたい。
しかし「疑いなさい」とは?
赦されないと解ったとでも?
余計なお世話と思われるかも知れないが
映画の外、こちら側では戦争、テロ行為も終わりそうも無い。
また直接的な暴力などでなくても、経済という暴力によって
人が殺され、逆に人を殺し続けている。
圧倒的な暴力に対して、弱き者は現実から目を逸らし
狂うより他ない。そうでもしなければ
現実の世界を生き続けて、家族を護る事など出来ない。
歴史が始まった時から既に世界はブッ壊れ続けている。
そして今後も一切、良く成りそうに無い。
「疑いなさい」って、
この“強烈過ぎる感じ”のウラを読めとでも?
アホかよ。
「世界が悪い」とでも言いたくなった?
ちょっとと云うか、かなり自分に酔って
長文に仕上げてしまいました。ごめんなさい。
”印象”の顔文字に、
「超怖い」とか「痛い」が欲しいくらいだ。
☆5つじゃ足りない。