マーターズ(2007)のレビュー・感想・評価
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神に至るフェチズム
倫理的な是非はさておくとして、個人的なフェチに完全に振り切った映画は見ていて清々しい。言い訳じみた皮肉や社会啓発から完全に隔たれた、エゴイズムそのものとしか形容のできない映画というのがあってもいいと俺は思う。そういうものには良かれ悪しかれ力がある。ある一点をひたすら愚直に目指し続けることでしか辿り着けない景色がある。
本作はよくある露悪映画のような体裁から始まるものの、最終的に目指される地平は遙か彼方にある。この映画に受け手をジェットコースターのように振り回すための「遊び」は存在せず、女が辿ることになる一本の道筋だけが残酷な結末に向かって淡々と伸びている。脇道はなく、引き返すこともできない。
サスペンスも倫理も物語もあらかた剥ぎ取られた映画は、やがてモノセイズム的な宗教空間へと突入する。女を監禁・加虐するのが宗教団体であることには必然性がある。神へと至る光芒を辿る者にとって、もはやそれ以外の何物も意味をなさない。
作家のエゴイズムから始まったはずの映画が勢い余って神の領域に触れてしまった、そういう映画だったように思う。最後の皮剥ぎのシーンで女に一切の叫び声を上げさせなかったこと。それは愚直なフェチズムが横紙を破り、その向こう側に神の世界が垣間見えてしまったこと、そしてそれを監督が目撃してしまったことの証左なのではないか。
俺にもう少し肉体的苦痛描写に対する耐性があったらもっとノれたんじゃないかと思うとただただ惜しい。
私が愛せるホラーではない
ネガティヴとはいえ感情をかなり揺さぶられる、という意味では、力作ではあるのかもしれない。観ていて痛みを感じそうなほどの暴力、流血描写も群を抜いている。
ただ、私はダメだこれ…ホラーはかなり観ているし、バッドエンド、厭系映画も好きだしそこそこ観ていると思うけど、本作はダメ。
救いがない、と思われる中にもどこか,誰かに共感できるとか、トラウマ級に嫌な話だけど何か考えさせられるポイントがあったとか。何か「この映画観て良かった」と思いたいんだわ。
本作はそれがまったく無い。少女を含め若い女性を拉致監禁し酷い目に遭わせる輩の動機が意味不明(説明はなされるが理解し難い。ラストに至って、富裕層の老人らが集う場面でようやくそれなりに推測できたが、動機と行為のバランスが不均衡にも程があるので納得行かなすぎる)とにかく醜いエゴと選民意識が根底にあるのは伝わるけど、だから何なのか。こんな残酷描写をしてまで何を表したかったのか。むかむかするだけ。残酷だから、グロいから受け入れられないわけじゃないです。『屋敷女完全版』や『哭悲』もちゃんと観られたし、共感ポイントあったし。でも本作はね…
エグさではさすがフランス映画。でもこの独りよがりっぷりがどうにもフランス映画。
韓国映画観て、口直ししようかな。
何を感じても罪悪感に叩き落とされる
痛みで目を背けるほど残忍でグロテスクで、人の所業とは思えないほど狂気に満ちているのに心が温まってしまうという物凄い作品。前半のスピード感と中盤での転換、静謐ともいえる終盤に至るストーリーの緩急が素晴らしい。後半は時計の針のような規則正しい冗長さの演出に管理者の日常風景まで垣間見せて、そこで繰り広げられている残虐の極みを不意に忘れてしまいそうになるのがあまりにも罪深い。観ている人の感性を破壊し何を感じても罪悪感に叩き落とされるような真の問題作だと思う。
もうお腹いっぱい。ドラン(笑)
親はともかく子供は悪くないのでは。エッ、男の子の方はグザヴィエ・ドランなんかーい。ボーナスポイントをあげよう。
色々とイヤーな気分になる話。これも「怖い」よりは「痛い」が先行する。フレンチホラーは笑えないのが余計にキツく感じる。
動機が弱い
なんでこんなことするの?の答えが最後にようやくわかるのだが、ちょっと動機が弱くてがっかり。
死後の世界にめちゃくちゃ興味がある人達みたいだけど、人づてに体験聞いたところでね、、、。手の混んだことするわりには得るものが小さいと言うか、、、。
残酷で、衝撃的なシーンを撮りたくて、設定や動機は後からつけたような映画だと思った。
映画よ、これ以上はやめてくれ
フランス版。
初見。エグ過ぎ。
映画よ、これ以上はやめてくれ。
疲れ切らせて尚ここから本題、の構成に唸った。
悪が全く猟奇的ではないという不気味も買おう。
パスカル・ロジェには残酷描写を封じての例えばロマコメ快作を期待。
構成の意外で魅せろ。
米版も見るか、修行の為に。
ゴーストランドの惨劇を観る前に再鑑賞しました。
最初に観た時の衝撃程ではありませんが、二度目でも精神的に来るものがありますね。
そして、やっぱり結局何だったのか、ラストも含めて分からないんですよね(笑)
結末に関してはネタバレになってしまうので、コメント欄に書かせて頂くとして…このような作品を作り上げたパスカル・ロジェ監督はある意味称賛に値すると思います。
そして、それと同等にアンナ役のモルジャーナ・アラウィやリュシー役のミレーヌ・シャンパノイをはじめとするキャストの演技は真に迫る素晴らしいものでした。
初鑑賞の時は全く目にも留まっていませんでしたが、死体の役も嘸かし大変だったでしょうね。
ここからネタバレです。
結末もですが、前半の復讐劇が終わった時点で何故彼女たちがあの場から逃げなかったのかは謎ですよね。
まぁ、逃げていたらこのような事にはならなかった反面、たんなる復讐劇で終わってしまったわけですが…。
それと、管理していた夫婦には子供がいたわけですが、自宅の地下にあれだけの設備があり、多分、外に働きにも出ていないでしょうし、子供たちに気付かれないまま人を監禁し拷問を加えて長年過ごすのは無理があるような気がしますね。
子供たちもカルト教団の洗脳を受けて育ったと考えれば納得出来なくもないですが、少し腑に落ちませんね。
腑に落ちないと言えば、拷問の末に死後の世界が垣間見えるという理屈が分からないですよね。
確かに仏教などでも苦行の末に悟りを開いたりするわけですから、そう考えれば分からないでもないですが、そうまでして知りたい事だったら(若い女性が一番可能性が高いみたいですが)先ず自分たちが実験台になれば良さそうな気もしますが、カルト教団だから仕方ないと言ったところでしょうか?
あとアンナですが、あれだけ長い鎖で繋がれていたのですから反撃出来たような気がするんですよね。
男の方は無理でも食事を与えに来る女ならなんとかなったような気が…。
だからと言って逃げ出せるわけではありませんけどね。
と、まあ粗も無いわけではないのですが、それは一先ず置いといて、ラストの意味ですよね。
ネットでは諸説囁かれているみたいですが、いったい本当のところはどうなんでしょう?
アンナは何を囁いて、何故マドモアゼルは自殺したんでしょう?
誰かすっきりする解説をお願いします。
圧・倒・的・大・傑・作!
監禁された少女が脱走して数年後、復讐の為に武器を持ち、凱旋する話。
私はスプラッターは得意ではないのですが、今作は好みを超越。
開始5分に圧倒され…
中盤の衝撃展開を経て…
終盤【並のホラーとは格の違う】凄みのある恐怖を味わえる大・傑・作!
(2014/2/4)
いたい。。深い。。
所謂胸糞描写が満載。。
そういう描写は得意ではないけど映画なら大丈夫、という感じ。
色々解釈があって賛否がわかれてるっぽいけど、どや顔で過激な描写を見せてるだけの映画ではないと思う。監督曰く「ラブストーリーだけど孤独と人生の敗北についての映画」との事。
ベースとなる価値観として、痛みや悲しみ、絶望や怒り、喜びなどなどの「経験」や「な感情」は他者とは完全に共有出来ない信用出来ない、というのがあると思う。
あれだけ酷いことをされたリュシーが事件後唯一信頼したアナが自分を疑っていた事を知り、絶望し、自殺してしまう。そしてアナはリュシーのことを何も分かっていなかった事とリュシーの絶望を理解し「マーターズ」、となる。カルト宗教的な物が出てるけど殉教者、というより「大義の為に苦難を受け入れる事で知る事ができた者」というイメージかと思う。大義というのは恐らくリュしーに対する贖罪意識からくるもの。
そして最後にマドモアゼルが自殺したのは何故か。恐らくアナの言葉を聞いて絶望したからだと思う。
ではマドモアゼルに発した最後の言葉は何か?
恐らく「リュシーとアナ」と「自分」を絶望的に隔てる言葉、リュシーとアナの繋がりを示す言葉だろうと思う。何かはわからないけど、自分が必死に求めている物が絶対に手に入らない、知ることが出来ないと悟り、自分の人生の虚しさを知ったのではないか。
最初に書いた「他者の共感」、不可能なそれをできる事を目の当たりにすると同時に自分には不可能であると。
最後の目撃者の言葉はアナのことであり、マドモアゼルの事ではないかと思う。
以下は蛇足
この「他者との共感とその先」について、同様のテーマで漫画(趣味)を描いた事があるからこのような考察になったのかも。
もし自分ならアナの抜いたセリフは、機能を持たせるだけで特に限定はしないと思う。
(こんな感じの事、程度)
もっと言うとその漫画はそのテーマには誰も気づかずにただの鬱漫画と思われている節がある。。表現って難しい。。
マーターズ
愚かなシナリオとユビキタスでばかげた啓示でうんざり。残っているのは、たっぷりと吐き気のある物質だけです。この映画はホラー映画のタイトルに値するものではなく、ホラーの本質を裏切っているので、私の軽蔑を抱いた詐欺のタイトルである。スリルの背後にある慈悲深いメッセージ。この映画が喚起する唯一の事は、吐き出す衝動です。
すごかった
地下室の存在が明らかになって女の子が狂ってなかったことに主人公と一緒に驚いた。組織の連中がひどい目にあって欲しかったが、そうならないところがリアルですっきりしなくて、怖い。主人公には助かって欲しかった。なんであんな家に長居してんだよ〜と思った。
もし自分があの状況ならと考えながら見たのだが、なるべく服従して食事を採って体力をためて、油断させる。スキンヘッドの男の攻撃は強い日とそうでもない日がありダメージの低くて、体力があって手錠を外した日にチェーンを使って大男の鼻に一撃加えて悶絶させてその後、股間を蹴るなど徹底的にダメージを与えて、できれば殺せれば一番いい。条件が揃う日はそうそう来ないだろうし、武道の経験もない女の子には難しいかもしれない。
(追記)
アマプラにあって随分前に見た記憶があるけど、内容がまったく思い出せず、面白かった気がするので2度目。こうして感想が残っていたので、前回が5年前であったことが判明する。やはりとんでもなく恐ろしい映画で、怖さ嫌さで言えば『ホステル』に次いで2番目かもしれない。自分が主人公なら心が折れてやっぱり脱出は不可能だ。
疑いなさい!
死後の世界を知りたい団体に拉致監禁拷問される女の話。
前半は前に監禁されてた人が復讐に行く話ですが、後半は他の人が監禁されます。
グロいです。
女性が殴られ、髪を切られ、皮を剥がれます。
耐性のない人は観ない方が良いです。
そういう系が好きな人にはオススメです。
ホステルと比較して
ホステルは終盤になって、カタルシスがあったが、この映画にはそれが無く、ただただ不快で意味不明。
トラウマ度はホステル互角だけど、映画の出来としては、だいぶ劣ると思います。
美しさがある
ナチスが個人の都合で行った悲しい実験に似てますね
この映画を見る前にナチスが行った実験などを調べるのもありかも
人の好奇心は残酷であり 好奇心と残酷が存在する中で
究極の状態(死、拷問など)は無駄な動きをはぶき
その動きを極め美しくこの作品を作っていく
目的のために努力 研究を重ね続けるお互いの関係は
飽きることなくスピーディーにストーリーを構成していく
お互いに目的のものを見つけることは出来るのか
ドラマッチクで哲学的な映画でした
新世代を築いたホラー
物凄く残虐で、凄まじいホラーです。
いわゆる「鬼畜ホラー」であり、私は今まで「ホステル」が一番だと思っていましたが、大差で本作の方が鬼畜です。耐性が無ければトラウマになりかねないのではないでしょうか。 気分を悪くする事もあるかと思います。
児童虐待の冒頭直後、復讐劇の始まりで、玄関から堂々とショットガンでメッタ撃ちに。
ストーリーだけを考えると二度と観たくない様に感じますが、出演者達の演技力にただただ圧倒され、何度も観てしまいます。
スプラッタではありますが、「13日の金曜日」の様なアトラクションチックの「楽しめる」ホラーとは訳が違います。
近年のホラーは面白い作品が多いですが、同じような恐怖感のホラー映画界に大きな風穴が開いたと思います。
本作、非常に現実味溢れる作品です。ネタバレ禁物ですが、キーワードとしては
監禁 虐待 拷問
の3つです。
主人公をさらった犯人の衝撃的な「目的」にもあんぐり…
ただ、単刀直入にマイナス面を言うと、「意味不明」
です。さっぱり分からないまま始まって終わっている
…の様な。
ちゃんと分かりやすい普通の映画が良い人には向かないでしょう。また、グロが苦手な人も止めましょう。
それ以外の人には是非観て欲しい一作です。
これが本来のホラーと言う名のホラーでは?
洋画で怖いと思うことは一度もなかった自分が、この映画を見たあと、後味の悪さとひきずるかんじ、忘れられない感じがうまく融合されて、自分の背中をなんども気にしてしまう位ゾクッとした映画だった。
ホラーを好きな人だったら絶対にみとかなきゃいけない作品じゃないかと痛感した
これが現代的なホラー映画。
レアな一本。。
理解し難い
内容と設定は個人的良いと思いました。
しかし、
中盤からの演出や進展が少し無茶があるというかやり過ぎな気がしました。
落ちもあって無いようなものというか、無いというか。
超展開且つ意味不明です。
色々と許せる人向けですね。
グロ苦手な人は見ないほうがいいと思います。
奇形、監禁系のスプラッター映画が好きな人は楽しめる?かもしれないです。
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