「いたい。。深い。。」マーターズ(2007) じぶさんの映画レビュー(感想・評価)
いたい。。深い。。
所謂胸糞描写が満載。。
そういう描写は得意ではないけど映画なら大丈夫、という感じ。
色々解釈があって賛否がわかれてるっぽいけど、どや顔で過激な描写を見せてるだけの映画ではないと思う。監督曰く「ラブストーリーだけど孤独と人生の敗北についての映画」との事。
ベースとなる価値観として、痛みや悲しみ、絶望や怒り、喜びなどなどの「経験」や「な感情」は他者とは完全に共有出来ない信用出来ない、というのがあると思う。
あれだけ酷いことをされたリュシーが事件後唯一信頼したアナが自分を疑っていた事を知り、絶望し、自殺してしまう。そしてアナはリュシーのことを何も分かっていなかった事とリュシーの絶望を理解し「マーターズ」、となる。カルト宗教的な物が出てるけど殉教者、というより「大義の為に苦難を受け入れる事で知る事ができた者」というイメージかと思う。大義というのは恐らくリュしーに対する贖罪意識からくるもの。
そして最後にマドモアゼルが自殺したのは何故か。恐らくアナの言葉を聞いて絶望したからだと思う。
ではマドモアゼルに発した最後の言葉は何か?
恐らく「リュシーとアナ」と「自分」を絶望的に隔てる言葉、リュシーとアナの繋がりを示す言葉だろうと思う。何かはわからないけど、自分が必死に求めている物が絶対に手に入らない、知ることが出来ないと悟り、自分の人生の虚しさを知ったのではないか。
最初に書いた「他者の共感」、不可能なそれをできる事を目の当たりにすると同時に自分には不可能であると。
最後の目撃者の言葉はアナのことであり、マドモアゼルの事ではないかと思う。
以下は蛇足
この「他者との共感とその先」について、同様のテーマで漫画(趣味)を描いた事があるからこのような考察になったのかも。
もし自分ならアナの抜いたセリフは、機能を持たせるだけで特に限定はしないと思う。
(こんな感じの事、程度)
もっと言うとその漫画はそのテーマには誰も気づかずにただの鬱漫画と思われている節がある。。表現って難しい。。