劇場公開日 2010年7月24日

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「貴重な「陽性」のゾンビ映画」ゾンビランド gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0貴重な「陽性」のゾンビ映画

2011年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

怖い

ゾンビ映画“なのに”、明るく軽く楽しい一本。

登場する腐死体さんたちは、このごろの定番となった全力疾走で力強く追いかけてくるタイプ。加えて金網は乗り越える、ドアノブを普通に回して開けてしまうなど、ちょっとお利口さんでもある。

こんなゾンビ達で一杯の世界を力強く生き抜いてきた4人の男女のストーリーを描くのが本作だ。西海岸に行けばゾンビのいないハッピーエリアがある、とのうわさを信じて旅するロードムービーでありバディムービーでもある。

主人公、タフガイ、したたかで色気ありのお姉ちゃんとその妹、と4人それぞれのキャラ分けがしっかりしているが、やはり主人公の設定が楽しい。ひきこもりでオタクっぽくて臆病、故に絶妙な“サバイバルルール”を考案し生き延びている。

本作は、このサバイバル・ルールを視覚的に活かして軽~い雰囲気を上手に醸し出している。個人的に特に気に入っているのが“ダブル・タップ”。ゲーム上でボーナスポイントを獲得したような軽い満足感があり、ここで出るな!と先を読む楽しさを提供してくれる。登場のさせ方も毎回工夫されており、CGの上手な使い方を学ぶためにも日本の映画関係者には見てほしいところだ。
また、ビル・マーレイというビッグネームの使い方も見習ってほしい。

恋バナ、人情話などもこなしつつ、ついに来たクライマックスでは、ゾンビ映画ならではの恐怖展開が堪能できる。

エンディングは敢えて触れないが、これはこれで満足出来る終わり方だと思う。見終わった後楽しかった!と言える作品なので、「ゾンビなんて」と食わず嫌いの方に特に見てほしい一本だ。

gsacra